質問
3月、6月の定例会一般質問で、指定管理者制度の下で働く人々の処遇と情報公開について取り上げました。指定管理者制度で「コスト削減」は大きな評価要素となりますが、多額の税金が投入されている以上、労務関係は適切なものでなければなりません。税金で官製ワーキングプアを生み出すことは許されません。
しかし、全国の地方自治体で、指定管理者のコンプライアンス違反(雇用契約上のトラブルなど)が相次いで発覚しています。問題が起こる背景には、地方自治体が制度をよく理解していないことが指摘されています。そこで、総務省は昨年末、「指定管理者制度の運用について」と題する通知を出し、制度の改善を促しています。
さて、東京都内の自治体などでは、労務監査(労務審査)を実施する取り組みを始ました。労務監査とは、社会保険労務士に委託して、企業・団体が労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法をはじめとする労働関連法令を順守し、適正な労務関係の下に管理・運営が行われているかどうか、さまざまな項目ごとに監査・評価することです。未達成事項があれば改善勧告を行います。
江南市は、指定管理者の第二期指定にあたり「モニタリング」の実施を義務付けました。また、布袋北保育園の指定管理者は独自に第三者評価を受けています。しかし、労務関係については十分にチェックできておらず、ブラックボックスとなっています。
またこれまでの当局答弁は、「協定書や業務仕様書に労働関係法令の順守が盛り込まれている。それに基づいて、労務関係は適切に実施されていると考える」というものでした。もし何か問題が発生したら、責任がとれるのでしょうか。
労務監査などの外部監査や第三者評価の導入について答弁を求めます。
質問
自治体がアウトソーシングを行う場合、その目的は「コスト削減」だけとは言いません。判を押したように「コスト削減」と「質の維持向上」を2つ並べます。しかし、市民からみると「本音はコスト削減だろう」と思われるものが多くあります。現実にそれが下請け構造のゆがみをつくってきました。
税金を使う事業でも、公務員よりも民間がやった方が、はるかに質が良くなるものはたくさんあります。コストよりも、誰が最も高い質のサービスを提供できるかで、公共サービスの実施者を決めることが大切です。
こうした発想を取り入れたのが、千葉県我孫子市の提案型公共サービス民営化制度です。市の全ての事業を公表し、民間から委託・民営化の提案を募ります。市役所よりも自分たちの方がより良いサービスを提供できるという提案を民間から出してもらい、それを専門家と市民が審査します。
我孫子市の制度が指定管理者制度と決定的に異なる点は、「行政が自分の都合で民間に出したいもの」ではなく、「民間がやりたいと思うもの」を民間に移すことです。この制度は、公共サービスにおける官と民の関係性を変えることができ、いわゆる「新しい公共」を創っていく上で有用です。
少子高齢社会、環境、格差・貧困………どれを考えても、公共はより大きく豊かにする必要があります。
「新しい公共」についてどのように考えていますか。江南市がいう「市民協働」との共通点、相違点にも言及した答弁を求めます。
また、民営化・民間委託にあたって市民の声を聞く機会を設けていくべきと考えますが、答弁を求めます。