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K子のこと

2020-06-07 12:27:14 | 日記
家人には2人の妹がいる。下の方のK子が茨城の田舎町の県立高校を卒業したのが昭和36年で、私と家人が結婚したときだった。前年の秋に家人から電話があった。「K子が地元の関東配電(現在の東京電力)と北辰電機(現在の横河電機)の両方の採用試験に合格した」と言う。どちらがよいかという相談である。田舎の高校にそれだけの求人があったわけで、要するに日本国は好況下にあった。

地元の電力会社に入れば、親の家から通えるし会社も大きい。仮に社内恋愛をして結婚まで進んだとしても、生活は安定している。家賃が要らないから貯金もできる。そう考えるのが普通だろう。しかし、私は上京(北辰電機は蒲田にあった)を奨めた。理由は、田舎に埋没してしまうことを心配したからだった。私はその田舎町で小学5年から高校1年までを過ごした。高校2年になるときに上京した。その際に知った田舎と東京の差はあまりにも大きかった。呼吸する空気さえ違う気がした。60年前のことである。現在とは違う。現代の若い人にそのことを説明するのは極めて難しい。

K子は上京して電機会社のOLになった。みるみるうちに、東京の女性らしくなった。オシャレになった。女らしい装いが似合うようになった。その後のことは省略するが、私は自分の上京推奨は正しかったと思っている。何度も書くように、振り返ってみれば人生はタラレバである。そしてもう1つ「から」もある。つまり、<Aと結婚していたら>もあるが、<Bと結婚したから>もあるのだ。そして人は結局「から」で生きることになる。K子もあのとき地元で就職していたら、と考えることはあったはずだ。そして、あのとき東京の会社を選んでいたから、と考えあわせて、やっぱり良かったと思ったのではないか。彼女は49歳の若さで世を去っていて、それを確かめることはできなかったけれど。

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