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お辞儀

2012-03-22 08:50:58 | 日記
製造と購買が同居する部屋に、営業のA子が入って来る。室内は15人ほどがそれぞれに電話をしたり、ハンコを押したり、計算機を回したりしていて、たいていの来訪者はまっすぐに目的の相手のデスクに向かう(そういう場合、小走りになったりする女子社員が多い)。 しかしA子は違った。 入室して、2,3歩進み、誰かと視線を合わせるのではなく、いわば、中空に向かってお辞儀をする。黒いミニスカート、スラリとした脚線に男性社員の視線が集まる。前髪をまとめあげたカチューシャ、意志的な黒い瞳にも魅力があった。昨日、「この人、この一作」について書いたが、A子の場合、その黒のミニスカートと脚線とお辞儀が、あてはまる。 彼女とは戦友会などで何度も会っているが、そのたびに40年も前の、あのお辞儀の場面を思い出す。 大相撲のことは(テレビ観戦はしているが)よくわからない。 わからないながらも大好きなのが、豊真将だ。 彼は勝っても負けても、深々と頭を下げる。そこには、「相撲をとらせていただきました、ありがとうございました」といった感謝の意もあるだろうし、なんといっても、清々しさが漂う。男性的な顔立ちもいい。 一昨年の大病のとき、直接の執刀医であるB氏に会えたのは、術後3日目だった。 B氏は、私のベッドに近づいて、「いかがですか?」と腰を折る姿勢になり、私はあわてた。腰を折り頭を下げねばならぬのは私の方であるのだが、体が動かないからどうにもならない。 命の恩人がとてもいい先生であるとは次女から聞いていたが、その通りの素晴らしい紳士だった。 私は、威張る医者も何人か知っているが、人間、威張ったら終わりである。 考えてみれば、B氏の神の手によって救われた人は何十何百といるだろうし、その人達、すべてが名医の人柄に頭を下げているに違いない。

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