森の中のティータイム

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ドラマ「日本沈没」に、真鍋さんの言う「協調性」を見る

2021-10-16 | 映画ドラマ
10日から始まったドラマ「日本沈没」は、大昔の映画のリメイクに留まらず、現代の私たち
を脅かす「地球温暖化問題」もからめて描かれていて、今後の展開が興味深い。温暖化によ
る気候変動と言えば、今回ノーベル物理学賞を受賞した真鍋さん(温暖化理論の事実上の提
唱者)が、会見で「日本で研究を続けなかったのは、自分に協調性が無かったから」と答え
たことが、話題になっている。

温暖化理論に関しては、政治・経済界的に認めたくない「不都合な真実」であり、今でも政
治的な対立があるという。ドラマ「日本沈没」では、沈没の原因が温暖化問題と関係はなさ
そうだが、「小栗旬」演じる主人公が会議の席で「一刻の猶予もない海底の状況」を主張す
る学者の警鐘に耳を傾けようとする発言に、政治家、専門家たちを含めた参列者たちが、一
斉に否定し嘲笑う態度は、やはり「異論を唱える人間を排除する」国民性を表している。

強い者に同調することで保身を図る人の方が、現実でも多い。たとえ正しくとも、他の大勢
と相反する意見は退けられることって、実際はドラマ以上かも。
先日の羽鳥モーニングショーでも、「真鍋さんの言う協調性」の話題に関して、考察を繰り
広げていた。

そのやり取りの中で、記者でコメンテーターの玉川さんが大学院まで進んだあと、なぜこの
道を選んだかということについて「自分が取り組みたい研究というものに出会わなかった」
というようなことを話していたが、自分は、50年以上協調性がないと言われてきたが、日本
の“協調性”に疑問をだくと言っていた。(私はこの時、彼が京大出身であることを初めて知
った)

テレビ朝日入社後も「10年ぐらい前に通信簿みたいなものを出されたことがあって。協調
性は5段階で1だった」と(笑)「集団の中で力を持っている人が決めたことに合わせて同
調できるかが協調性。それを違うというと協調性がないと言われるが、学校でも会社でもず
っとこういう人生でした」と続けた。

さらに、「日本で言う協調性って同調のこと」と語り「同調は個人的な意見や考えで行動す
るより、多数者と行動すること」「ぼくは同調はしたくない」と訴えた。記者としてもコメ
ンテーターとしてもこれは正しい姿勢だと思った。

報道する側の姿勢について、二つ前の記事で挙げた、日本版「エネミーオブアメリカ」を思
わせる映画「新聞記者」の原案者である記者の望月衣塑子さんはこう語る。

「安倍政権下では、安倍氏に非常に近い言論人が活況を極めた。民放のテレビに出て、安倍
氏の広報官のように話す人、SNSで安倍氏を擁護するあまり、批判的なメディアを徹底して
非難する人、本人に代わって政策の意図や思いを解説する人がいた」

最大の原因は、権力者ではなく、メディア側にあったと思う。権力者は意図をもってメディ
アに近づく。そこで一線を引かずメディア側も近づいてしまうことが問題だ。
元首相の小泉純一郎氏は「メディアは基本的に批判する側に立つもの、だから総理になって
特定のメディアと懇意にしたり、逆に拒否したりしてはならないと認識していた。」と話し
た。

小泉氏だけではなく、歴代の首相は、批判することがメディアの役割と割り切り、一定の距
離を置いていたという。
一方で安倍氏は、自身を批判する勢力を敵とみなし、たとえば朝日新聞のことは国会で何度
も名指しで取り上げて「ファクトチェックしてください」などと発言した。マス・メディア
に対する不信感、左翼やリベラルなメディアに歴史を修正され、自虐史観が煽られてきたと
思う(右よりの)人たち
から、安倍氏の物言いは、なぜか一定の支持を得ていた。

一部の熱狂的な支持層に乗り、メディアとの等距離外交もすっ飛ばした。朝日新聞の南彰記者
の著書『政治部不信』(朝日新書、20年)によると、在任中の単独インタビューの数は、産経新聞
(夕刊フジ含む)32回に対し、朝日新聞は3回だという。

かつてはそういったことを政治家側もしなかったから、メディアもすり寄ることはなかった。
安倍氏に気に入られたいというメディアはどんどん近づいていき、安倍氏を批判するメディアを
なぜか産経新聞が批判するという構図になった。

産経はネットにいち早く流し、世間では私も含め、「反日認定」「北朝鮮スパイ」などと認定さ
れてしまう。
異様な空間がネット上だけではなく、雑誌や新聞といった言論の世界でも広がってしまった。

また、望月氏は「メディアのコントロールを強化した安倍政権」について、こう語る。
「安倍さんがお気に入りの媒体なら何度も単独インタビューを受けるけれども、気に入らない媒
体だとほとんど受けないというようなことも出てきた。

すると、メディアの側も安倍さんに単独インタビューを受けてほしいところと、それとは対照的
に批判的なトーンを強めて報じようとするところに分かれていきました。
つまり安倍政権のもとでは、徹底して自分たちに都合のよいメディアを味方につけながら、記者
が一丸となって権力者に対抗する構図にならないようにコントロールしていくという流れが進ん
だように感じます。」とも。

望月さんは、あの菅氏への記者質問でも有名だが、あの時の菅氏の皮肉に満ちた卑怯な答えに、
その場に居た大勢の記者たちまでもが同調し笑ったことを、鮮明に覚えている。
結果、短命に終わった菅政権は(すり寄ったメディアの責任も大きいと思うが)これらの会見
でも垣間見えた「権力を笠に着た傲慢な姿勢」によるものだった気がしている。

自民党の総裁選ではやはり派閥争いの色濃く、若手議員の間でもにも「風穴」は開かなかったけ
れど、「AERA」調べで「嫌いな政治家No.2」だった麻生氏の言う「権力闘争」丸出しの結果に
「戦国時代じゃあるまいし」・・と多くの国民の意思と反対の結果にがっかりした人も多かった
ように思う。

逆に好きな政治家No.1だという河野さんが後退したことで「反原発」が遠のき、多くの先進国と
異なる方針に舵を切ることになりそうな気配だけど、腐敗しきった党の支配に抗うには、「選挙
で選ばない」ことくらいしか、私たちの意思は反映しないのだと感じている。(因みに嫌いな政
治家No.1は安倍さんだそう・・やはり)

※一部、誤解を受けそうな部分を訂正しました。

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