富岡製糸場世界遺産伝道師協会 世界遺産情報

「富岡製糸場と絹産業遺産群」は日本で初めての近代産業遺産として2014年6月25日付でユネスコ世界遺産に登録されました。

富岡市立額部小学校キャラバン報告

2020年11月15日 10時28分24秒 | 世界遺産伝道師協会

富岡市立額部小学校キャラバン報告

去る11月10日(火)標記額部小学校に於いて、J保千代子伝道師、M下禮子伝道師、T越朗伝道師、I井規雄伝道師の4名が参加して、開始1時間前の午後12時45分に現地に集合し、13:45より4年生1クラス24名を対象に学校キャラバンを実施しました。

開始前に校長室にお邪魔し、ごあいさつと自己紹介をし、担任の先生参加のもと予めI井伝道師が印刷用意した「富岡市立額部小学校キャラバン日程(案)」に基づき本日の打ち合わせをしました。「この日程表の通りでよろしくお願いします」ということで早速本日の会場である3階の音楽室に向かい準備を始めました(器材の搬入も校長先生始め職員の方が応援して下さり、短時間に終了しました)。

会場では担任の先生や教務主任の先生がいろいろ相談に乗ってくれ、またいろいろご配慮下さり、時間的余裕をもって準備も整いました。

キャラバンの最初はT越伝道師の講話で『お蚕さんから絹織物までー群馬に見る世界遺産が果たした役割』と題して手作りのパワーポイントを使って、広い角度から優しく丁寧にお話ししてくれました。

まず導入として「絹笠明神」の画像を示し左手に桑枝、右手に蚕種紙を持っていることにも注目させ、上野村では昔から子供たちが元日の朝このような蚕の神様の初絵を各家庭に販売し、各家庭ではそれを神棚などに貼っておくことにより養蚕の豊作を祈ってきたという話から「昔は、養蚕は神頼み」であったことを話しました。

そしてT越伝道師は「蚕の一生と養蚕技術」「富岡製糸場と絹産業遺産群」「蚕糸絹業」の3つについて講話を進めてくれました。

 

「蚕の一生と養蚕技術」では一代交雑種(「外国の蚕と日本の蚕を結婚させて…」という言葉を使って)を中心とする蚕の品種改良のことを強調されました。

「富岡製糸場と絹産業遺産群」では4つの資産が関わって世界遺産になっていること、そして各資産の具体的な役割や、構造的なことなど鮮明な画像でわかりやすく説明してくれました。富岡製糸場の繰糸所の説明では、自己が収集した自動繰糸機の動画を見せ、子供たちから「すごい」という声があちこちから聞こえました(とても効果的でした)。子供たちが特に関心をもったのは、「トラス構造」で次の画面に移ろうとすると「待ってください」と必死に図面をメモしていました。富岡製糸場はいつも時代の最先端を行ったこと、また今よく言われる「働き改革の原点」でもあったとも話されました。そして製糸の技術革新の結果、日本は世界一の生糸輸出国になったことにも言及しました。

「蚕糸絹業」では「糸を染め、織り、着物」ができることを、反物を見せながらわかりやすく話してくれました。子供たちは反物の美しさに感動していました。

最後は「みんなで世界の宝物を大切にまもって行きましょう」とまとめてくれました。

次に休憩時間を取ったのち2コマ目の「座繰り体験」に入りました。J保伝道師とM下伝道師の呼吸がぴったり合って、全力で指導してくれました。

まずJ保伝道師が座繰りに入る前に全体的な話をし、蚕や繭に関することや、繭糸と生糸と絹糸の違い、座繰りの仕方、特に「右手はミゴボウキを、鉛筆を持つように握り早く、左手は片仮名のノを書くようにしてゆっくりと」「ミゴボウキは早く操作しないと折角撚ったものが元に戻ってしまいます」と右手と左手の動かし方の模範を示しながら話してくれました。

次にM下伝道師が座繰りを実演して見せ、操作する中で解説を加えてくれました。

そして児童の体験に移り、「接緒」の仕方を一人一人に教え、接緒が済むと一人ずつ、右手と左手の両方を操作する座繰り体験をしてもらいました。J保伝道師とM下伝道師が児童に手を携えてやったり、操作の手本を示したり、「ミゴボウキは鍋から出すようにして」などと助言したり熱心な指導をしてくれ、やがて児童の操作の仕草も二人の伝道師に似てくるほどでした。うまく操作できると「上手、上手」と励まし、また児童も友達の操作に思わず拍手を送ったりしていました。児童の中には回っている小枠にそっと手を近づけて「風が来る」と小枠の回転の速さを実感している子もいました。

繰糸鍋の繭層が薄くなると、「蛹」に着目させ、蛹に関する解説や、昆虫食として蛹はたんぱく源として食され、富岡製糸場の工女さんもかつておやつに食べていたことや現在も販売されていることなどにも触れてくれました。

終了の時間も近付き、体験できた児童は自席に戻って、担任の先生が印刷作成された用紙に感想文を書き始めてもらいました。自席に着くと子供たちは素早く鉛筆を走らせていました。子供たちの意欲・関心の高さを伺わせるものでした。

 

最後は児童に囲まれ「先生頑張れ」の声援を受けながら担任の先生にも座繰りを体験していただきました。本日みんなで頑張って取った生糸は「大切に学校で使ってください」とお願いし、また整列して終わりの会に移りました。まとめとしてI井伝道師が本日みんな真剣に取り組んですばらしかったこと、今日の講話や座繰り体験を生かしてさらに勉強を深めてほしいことを述べ、元気な全児童による心のこもった「ありがとうございました」のあいさつをいただき、本日のキャラバンを終了しました。

 器材の搬出も職員の皆様にお世話になりありがとうございました。会場が一体となって子供たちとともに過ごした本日のキャラバンのことを思い出しながら帰路に就きました。

 末筆になりましたが、校長先生、教頭先生、教務の先生、担任の先生はじめ職員の皆様には大変お世話になりありがとうございました。

                               (I井 規雄 記)

 

 

 

 

 

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