富岡製糸場世界遺産伝道師協会 世界遺産情報

「富岡製糸場と絹産業遺産群」は日本で初めての近代産業遺産として2014年6月25日付でユネスコ世界遺産に登録されました。

茨城・栃木方面産業遺産等現地研修会・結城紬、蚕影神社、足利織物記念館、足利織姫神社など

2013年05月23日 08時59分36秒 | 世界遺産伝道師協会

茨城・栃木方面産業遺産等現地研修会

 

 晴天に恵まれた5月21日(火)、平成25年度第2回研修会・「茨城・栃木方面産業遺産等現地研修」が行われました。伝道師26人、事務局1人の参加を得て、中型バスで高崎駅を朝8時に出発し、最初の目的地である「本場結城紬郷土館」へ向かいました。

 

 車中、近藤会長から「『富岡製糸場と絹産業遺産群』は、当初10の構成資産で世界遺産推進運動に取り組みましたが、検討委員会で協議の結果、4つの資産を世界遺産にすることに変更されました。このため、4資産の関連性を持たせた説明をしていただければ有り難い。健康に気をつけて頑張りましょう」等の挨拶がありました。

 

 その後、町田伝道師から「結城紬とは?」「養蚕に関する地名が一番多い茨城県」 「上垣守国の『養蚕秘録』の中に出てくる『金色姫伝説』の話」「栃木県の延島新田と島村の人たちとの関係」など盛りだくさんの話を聞き、息をつく間もない事前学習でした。

 

【本場結城紬郷土館】(茨城県結城市)

 結城紬の歴史や製造工程を紹介する施設で、「本場結城紬」の産元である(株)小倉商店に隣接しています。一階は織機や八丁撚糸機の展示と紬製品の販売、二階は工房です。

 結城紬の三要素である、①真綿から手紡ぎした糸を使い、②藍染による括り絣を施し、③地機で織り上げたものという過程を見たり、「純国産マーク」を見たりして、手仕事の価値を認識しました。

 なお結城紬は昭和31年に国の重要文化財、昭和52年に通産大臣(現経済産業大臣)の伝統工芸品に指定。平成22年ユネスコの無形文化遺産に登録されています。

 

【蚕影神社】(茨城県つくば市)

 標高200メートルの蚕影山山頂に鎮座している神社で、古来より蚕の神様として北関東や甲信地方などの養蚕農家の信仰を集めていました。全国にある蚕影神社は、本社を分霊したものだといわれています。

 

『金色姫伝説』の中に「金色姫の亡骸を納めた唐櫃を開けたところ、中には小虫がたくさん入っていた」というところがあり、その場面の絵馬が架けられています。

 また、お堂の中を覗いたところ、養蚕が隆盛だったころ奉納されたと思われる「○○養蚕農業協同組合」と書いた幕があり、桑の紋が付いていました。「桑紋」は見たことがなかったので家で調べたところ、「『日本紋章学』に名称があるだけの幻の紋」と出ていました。

 

【足利織物記念館(旧木村輸出織物工場事務所棟)】(足利市助戸仲町)

 明治44年、木村輸出織物工場の事務所棟として建てられ、明治から昭和にかけて隆盛を極めた足利の絹織物や輸出織物関係の資料が展示されています。木骨石造り、2階建て、寄棟石綿スレート葺の近代洋風建築で、平成元年、県指定有形文化財となっています。

 東隣に私邸が残されていて、鬼瓦に「キ」の字を入れた特注品が使われていることからも往時がしのばれます。

 

【足利学校】(足利市昌平町)

「日本最古の学校」「日本最古の総合大学」と言われる足利学校の創建については、奈良時代の国学の遺制説、平安時代の小野篁(おののたかむら)説、鎌倉時代の足利義兼説などがあります。しかし歴史が明らかになるのは、上杉憲実(室町時代)が、現在国宝に指定されている書籍を寄進し、庠主(しょうしゅ学長)制度を設けるなどして学校を再興したころからです。(パンフより抜粋)

 

 栃木県が「近世日本の教育遺産」として、茨城県水戸市(弘道館)、岡山県備前市(閑谷学校)、大分県日田市(咸宜園)とともに、世界遺産登録を目指している「足利学校」についての取り組みを市教育委員会の方から次のような説明を受けました。

「足利市は平成12年6月20日、歴史都市宣言をし、歴史遺産を活かしたまちづくりに取り組んできました。そうした中、平成18年~19年度の2ケ年限定で国が都道府県市町村から世界遺産登録の候補を受け付け、審査することになりました。足利市も応募しましたが、暫定リストに記載されませんでした。その時、教育のコンセプトで類似する他市提案との比較・検討を行うべきとの意見が添えられ、シリアル・ノミネーションによる「近世の教育資産」の方向性が示され現在に至っています」

 

 説明を聞いた後、国指定史跡足利学校の見学を行いました。

 足利学校で教授していた「儒学」は、古代以来現在まで連綿と続いており、日本人の精神構造に影響を与え続けています。儒学の祖・孔子は「満ちて覆らないものはない」と弟子たちに教え、目に見える形にしたものが、方丈の玄関前と屋内にある「宥座之器(ゆうざのき)」です。「空(から)の時は傾き、水をほどほどに入れると起きてきます。また、いっぱいに入れるとひっくり返ります」

 これを「中庸の教え」というそうです。

 

【足利織姫神社】(足利市西宮町)

奈良時代初期(約1200年前)から織物の伝統を持ち、足利織物の守り神として祀られています。昭和12年に建設された鉄筋コンクリート造の建物で、中央に拝殿、その両側に翼廊(よくろう)を配する形は、日本古来の寝殿造建設をモデルにしています。

 神楽殿・社務所・手水舎と共に、平成16年に国登録有形文化財になりました。(案内板より抜粋)

 

 229段の階段を上ると、朱塗りの社殿が見えてきます。境内から見下ろす関東一円の景色は絶景で、階段の辛さを忘れるほどでした。帰りは足取りも軽く、いっきに駐車場へ下りました。

 

 午後5時に全行程を終え、バスは一路、高崎駅へと向かいました。

(Y.N 記)

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