暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

FN Browning M1922

2013年10月11日 00時40分03秒 | バンバン


この15年ぐらい年に3度ほどぐらい出かける射撃クラブがある。 家から35kmほど離れたそのクラブの地下の射場で50m先の紙の標的に向かい火打ち石で発火させるフリントロック式のライフルを13発、25分ほどかけて撃ったらその後は上のクラブハウスに戻って真冬などはほぼ0℃の寒い射場で凍えた身体を温めながら昼食を摂り仲間と駄弁ってあれやこれやと話しに花を咲かせるのだがその一角にガラスケースに収められた一丁のピストルが飾ってある。 戦後すぐ設立されたこのクラブで初めてクラブの練習用ピストルとして元警官のものだったものを使用、と書かれている。 傍にはその警官の身分証明書と皮のホルスターも添えられピストル自体はもう実銃として使えないように処理されている。

これが FN Browning M1922 である。

ウィキペディア; 本銃の元となるM1910及びM1922モデルの項
http://ja.wikipedia.org/wiki/FN_%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0M1910

本銃には少々思い入れがあっていつか手にしたいと思っていた。

春にハーグの街を歩いていたときにたまたま長らく寄っていなかった銃砲店を覗いたらこれがガラスケースの中にあって手にとって考えた。 夏休みが済んでまだあれば手に入れようと思っていたら結局その通りになった。 ただいつもの如く買ってもそれが実際手に入るまでに手続きが煩雑で、銃砲店、自分の属するクラブ、管轄の警察をめぐって書類をそろえなければならないのだがそれが昔のように同じ町で出来れば楽なのだがこの10年ほどで徐々に警察の再統合、官公庁の経費削減などで管轄区域が大きくなりそれに伴って担当警察署が遠くなっている。 そこまで行くとなるとほぼ半日仕事と見たほうがよく、そろえた書類も郵便で送り返事を何週間も待つ、というのが現在の状況だ。 そしてやっとその書類をまとめて郵送したのが先週のことであり返事が来るのを待っているのだが返事が来るのが11月の中頃になればいいほうだろうというのがクラブの同僚の意見である。

そんなときにまた見たのがこのクラブの初代練習用ピストルだ。 自分の買ったものも1922年モデルでオランダ内務省の印が刻まれていて銃口の上に王冠と J の文字が刻まれているのだがそれに依って公用使用時期が分かる。 J はこの5月に戴冠したヴィレム・アレクザンダー国王の祖母、ユリアナ女王の頭文字 J であり、在位:1948年- 1980年の中で50年代に使われたものだ。 自分がオランダに来たときはこのユリアナ女王の御世で、それから一ヶ月ほどしてユリアナ女王の娘、現国王の母親であるベアトリクス女王の即位となっている。 この王冠と J というのはこのピストルが1922年以来使われ続けていたものだけれど特にユリアナ女王の刻印で製造期間、使用期間を示唆しているのであり、公務使用の銃としてはそれを持つ者に一定の感慨を催させていたのではないだろうか。

目の前のガラスケースに入ったブローニングM1922には多分この王冠と J の刻印がされていないと思われるのはこのクラブが終戦後すぐに設立されたからである。 そうなるとこれは多分戦前、戦中を通じてオランダ占領軍のドイツ軍、オランダの警察用として使われていたものだ。