2011年3月27日をもってヨーロッパでもうこの7,80年は聴かれていたであろうラジオ中波、648 kHz、BBCワールドサービスの英語放送が消えた。 その理由をBBCワールドサービスのサイトでは次のように示している。
http://www.bbc.co.uk/worldservice/institutional/2011/02/110208_648khz_mw_closure.shtml
資金難というのは理解できるがリスナーの数が減少して、、、、というのは納得が出来ない。 中波がなくなっても衛星放送、ケーブルやネットでカバーできるようなことを書いているがそれは新技術依存への移行政策とリスナーの利用幅の現実の違いを無視した理屈ではある。 そもそもどういう風に廃止にむかうのかそれに備えるための調査の段階からに疑いがいく。 たとえばもっとも簡便なネットでどういう風にきいているかどちらのほうをよく聴くかと調査すれば、日頃単純作業をしながら中波などを聴いているリスナーに比べると圧倒的にネット人口の伸びが大きいというのが結論だろうし、いちいち考えられる現場でのモニターでもないだろうと調査するほうも高をくくり、それとモニターさせる側の期待に沿っての仕事であれば出来レースであることは事前に分かっている。 リサーチ会社がイギリス保守政権の財政カットの方針になびくのは当然のこと、そういうことなのだ。 もっとも、この方法というのも世界中どこでも行われているものだからここだけで言ってみても詮もないことは承知している。
中波のワールドサービスはどこでも簡単にスイッチを押せば聴けるというのが強みだった。 それに、ニュースはもとより政治、経済、文化をカバーして最良の情報が手軽に得られることにも拠っていた。例えば30分ごとのニュースである。 英語世界で生活しているものの共通情報源だったのだ。 ヨーロッパの何処に行っても英語がまともに話せる人間たちと話しているとワールド・サービスの話がでた。 とくに旧東欧諸国がそうだ。
この30年ほどほぼ毎日聴いていたのではないか。 家庭でソニーのシャワー・ラジオは風呂に横たわって聞くのに都合がいいし、ヨーロッパの彼方此方をバカンスの折、車で走り回っているとき意味のよく分からないローカルのラジオ局に混じって様々な情報を得るのに最適だった。
イギリスに深く関係するものを除いて諸外国に関する論評にはもっとも公平で客観的な局だとおもえるし、それに、自国に関する事でもアメリカほどの「親自国」的傾向の強い報道はなされていなかったように思える。
オランダに住んでいてオランダ語放送と英語放送を交互に聴き合わせ、それぞれの違い、報道の速さ、量、傾向を知るのに役に立った。 様々なニュースを聞いてこの放送局は信頼に足り、いつまでも長くその情報が参考になるのは多くこの局のものだったように思う。
最近は夕食後、皿あらいをしながら台所で、世界中からスカイプ、ネットにツイッターの新メディア、それに加えて直接の電話経由でその時々の出来事についてライブで討論する番組「WORLD HAVE YOUR SAY」を楽しみに聴いていて、世界中には様々な意見をもつ人たちがいてその話すさまざまな英語を聴くのでもだいぶん鍛えられる思いがするのだが、悲しいことに日本の若い人たちが発言しているのを聞いたことがない。 最近の地震・津波・原発事故の時でも日本人の意見は入ってこなかった。 ここでもこの頃日本の若者が海外にでない、というようなことを示しているのだろうか。 日本ではライブで聴く人が少ない、ということだろうか。 それとも時間があわないのか。 インドネシアからはイスラムとの共存について盛んな意見がライブで述べられていたしインドネシアと日本は時差はほぼないはずなのだが。
家の中で料理しながら、また洗い物をしながら聴くのだったらステレオのケーブルチャンネルからBBCを探し出してプリセットしておけばこれからも聴けるのだが、風呂の中とカーラジオで聴けなくなるのはかなり痛い。