暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

靴を買う

2013年10月09日 23時14分34秒 | 日常

朝出かけようとして靴を見たら右の内側がぱっくりと開いていた。 黒の革靴なのだが底は皮ではなく人口樹脂でもうそろそろ買い換えなければと思っていたところなので別段驚きはしなかった。 3年ほどで右の靴底の踵が右側に傾いて擦り減り、磨り減った部分から靴を軽くするために穿ってある穴が見え出す。そのようになればそれが寿命がきた兆候なのだ。 そんなときに今日のように他の部分がぱっくりと開いてもそういうことかとも思い、この一ヶ月ほど脚の痛みを感じながら歩いているときに無意識にそこに力が入るような歩き方をしていたからなのかとも思った。 そしてぱっくり開いた靴を履いてそのままもうこの15年ほど三年に一度ほどでかける靴屋に出かけた。 オランダ中にあるチェーン店で安売りの店だ。 わざわざそんな安物を買わなくてもいいものをと言われるけれどどういう訳か或るメーカーの安い靴が自分に合う。 

オランダに来る前、大阪で輸出商社に勤めていたときにはかなりいい靴を履いていた。 取り立てて悪い道を歩くわけでもなくスーツを着て街の舗道やオフィスのフロアを歩くぐらいだから特にむやみに痛むこともなく何年も履きそのうち自然に買い換える。 オランダに来るのだからといってイタリア製の柔らかくいいものを買い、パリ、ブリュッセルの街、美術館を廻って落ち着き先のオランダの北の街、グロニンゲンの大学に到着し研究所のメンバーに紹介され休み時間に中庭の広場でサッカーをした。 馬鹿なことにそのときそのイタリア製の新しい靴でボールを蹴ったらぱっくり割れてそのときにライフスタイルが変ったことを思い知り、その時以来靴に金をかけず普通の頑丈なものを履いている。 

40になった頃、体重のかかり方が気になって知り合いから特別に自分の体に合った靴をつくってくれる靴屋を紹介してもらい数万円かけて作ってもらったがなるほど履き心地がいいけれど特に効果というものははっきりと見えなかった。 その後、偶々この安売りチェーンの靴屋でみかけたのがこのモデルで安いからだめなら棄ててもどうということはないと履いてみたら丁度足にあった。 それ以来もうこの15年ほど2,3年に一度ここに来る。 多分どこにいってもいいものはあるのだろうが一度慣れたら同じものを続ける。 止める理由がないからだ。 ファッションなどには関心がない。 履き心地が悪くないのでずっと続けているということが一番の理由だが、目立たず、見られて恥ずかしくない程度のものであればいいということだけだ。

磨かない、洗わない、手入れもしない。 よっぽどのときは靴墨をつけて磨くけれどそれも一回か二回ぐらいだろう。 それはほぼ車を洗うのと同じ頻度かもしれない。  うちにはもう一足革靴がある。 もう亡くなって10年ほどになる隣の老婆にもらったものだ。 彼女のご主人が亡くなってもう二十年ほどなるころに我々はその隣に引っ越してきた。 あるとき、主人の靴があるけれど合うなら履いて貰えないかというので履いてみたらあつらえたように自分の足に合う。 その人に合わせてあつらえたものだそうで自分は特別な機会があってドタ靴では差しさわりがあると思ったときには履いていく。 ぴったりと足に合って時には気味が悪くなるほどのそのドタ靴は重さを実感するほど軽い。 こちらの靴のほうはもう作られてからほぼ40年ぐらいたっているのにそんな風に履いているから靴底も減らない。 それに比べて今日買った靴はやはり安物なのか3年で履きつぶれる。 今日新しく買った靴が自分が買うこのブランドの最後のもののように思うのは特別安かったからだ。 この何年も4000円ほどだったものが今日のは大安売りで2500円だったからだ。 売れないから半額にしてストックが捌けたらこの種類をもう作らないのではないかと危惧している。