うちの家から奈良方面へ車で走っていると、工場が見えてくる。
セメント工場とか、砂利採掘とか。だいたい休日に通りかかるので動いている場合は少ないのだけれど、たまに動いているときに出くわすと、車をとめてそこに立ってみていたいという衝動にかられる。
港近くにある工場ナイトクルージングもきれいですてきだけれど、がらがら動いているのを見るのがいい。
ああ、あの砂利になって運ばれて行ってぐるぐる回されてなにか別のものになって、するぅーっと流れてみたいなぁ、と思う。
完成された美しさに惹かれる場合とはちょっと違う。なにが生まれるかわからない、これからできてくる過程を含んだ高揚感、べつのものに変わっていく力、とでもいうのか。
2月に横浜へいって、係留されている氷川丸を見学した。内装も甲板から臨む海もすてきだったけれど、やはりいちばん惹かれたのは動力部の見学だった。こんな大きなものを動かすためにさまざまな機器や機械がそれぞれの働きをしていたんだなぁと思うと、わあああっとなる。
そう考えると、短歌の場合にもあてはまる。
展覧会みたいに完成されてガラスケースに入って並んでいる作品よりも、これからどうなるのとか、迷ったり不安になったり、するほうが心に残る。そして、そういう作品を作っていきたいなぁと思うのだ。