自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

グローバル化と軍事化の裏にある支配者の歪んだ欲望(追記)

2019-06-01 16:00:00 | 自然と人為

 グローバル化とは、経済のみならず環境問題も、地球が1つになって考えねばならなくなった時代の流れを言う。これに対して軍事化とは、常に仮想敵国を想定した軍備の増強である。グローバル化と軍事化が並行して行われることは世界の矛盾であるが、世界の支配者にとっては矛盾を矛盾とは考えない支配欲に起因し、その矛盾した動機は国民支配と金儲けへの欲望からであろう。戦争は作られる!(2)。軍事と言えども、国民の命と税金を利用した経済行為であることに違いはない。日本の国を守るために軍備が必要なのではなく、アメリカのために戦うための再軍備である。ことに軍産複合体と言われるアメリカの支配者は、国民支配と金儲けのために仮想敵国を作って軍を持ち、戦争をしたがっている。そして、日本の産軍複合体もこれに従う。
 国を守るとは国民を守ることであり、それは戦争をすることでは絶対にない!「戦争放棄」を憲法で世界に宣言している日本という国が、アメリカの圧力によって「再軍備」したり、アメリカの核の傘に頼って「核兵器禁止条約」に反対する等もってのほかだ。それよりも武装解除(2),(3)をして、戦争放棄の先頭に立つことこそ、国民を守る日本の唯一の道だ!
 戦争対策ではなく、自然災害防止対策と災害時の緊急支援、高齢化社会に安心して暮らせる社会の構築こそ、今の日本に求められている緊急の政治課題ではないか!
 参考:トランプ大統領、国賓として来日 天皇陛下と会見へ
     令和初の国賓でトランプ来日 「ゴルフ・大相撲」のおもてなしで日本経済守れるか?
     日米首脳が自衛艦視察 艦内で“武器取引”
     安倍首相、「空母化」を約束 大統領、F35「105機」歓迎
     トランプ大統領「この素晴らしい新しい装備で、護衛艦はわたしたちの国々を守って
     くれる。さまざまな地域の紛争、また、離れた地域の紛争にも対応してくれることにな
     る」と述べ、「日本防衛」とは無縁の海外の米軍主導の紛争への参戦を期待した。
     トランプ米大統領来日「日本経済新聞」関連記事
     まずは知る事から始めよう ⑩日本(世界)支配の構造⑩ 戦争は作られる!
     山本太郎「総理の指示:参議院 予算委員会」2018年5月28日
     安倍政権の「圧力」、望月衣塑子記者や前川喜平氏らが明かす。2019年06月01日

     
 アメリカの今の支配者トランプ大統領を日本の支配者安倍首相が国賓としてもてなした最後の日、2019年5月28日に「児童を巻き込む殺人事件(川崎”通り魔事件”)」が起きた。両者が関係があるはずはないが、希望のない淀んだ日本の空気の中で、安倍首相だけが病的にはしゃいでいる時に起きた事件には違いない。将来に夢のある子どもの命が奪われた深い悲しみとやり場のない憤りのある事件であった。その日の午後、帰国の途についたトランプ米大統領も、ヴァージニア州市職員が同僚に乱射事件の悲報を受けることになる。アメリカは、何度も銃乱射事件があるにも関わらず銃規制をしない。今回も対策は打たれないのだろうか? いずれにしても、日米の首脳は国民生活のカヤの外で、政治と軍事を楽しんでいるように見える。
 参考:川崎”通り魔事件”
     岩崎容疑者の同級生が語る素顔「おとなしいが、切れると豹変する奴」
     5・28川崎殺傷事件<本澤二郎の「日本の風景」
     米ヴァージニア州で市職員が同僚に乱射、死者12人に


 人類はいろいろな集団で生きている。「幸福」は他者との関係により生まれ、集団で生きる幸せの原点は他者を尊重することにあると思うが、今では「他者を尊重することより、自己を主張すること」を当然とする雰囲気の時代となったように思う。集団には市民として生きる個人と個人の関係で生じる社会現象と、社会全体と集団との間に生まれる力関係における個人の生き方が関係している。それぞれについて考えると、あの事件は、希望を失い集団から病的に孤立した個人の理由なき自虐的殺人であり、一方の支配層が権力を持つ軍事を含む国事行為の裏には、軍による殺人や破壊を「国民を守る」という偽善のもとに、国民に「犠牲を強制」する歪んで病んだ支配欲が潜んでいる。

 トランプ大統領は権力を維持するために、アメリカ選挙民の支持を求めて属国日本の支配者にそれを求め、日本の支配者安倍首相は日本国民にその犠牲を求めて自己の病んだ夢と利益を追求する。一市民の自虐的行為も支配者の支配欲も、どちらも病的だと思うが、メディアは両方がそうだとは伝えない。「川崎”通り魔事件”」については、どうすれば防げるかと対応策を求めるが、国賓問題とその裏にある支配者の欲望については対策を講じるべき問題が多いにも関わらず、日本のメディアは国事行為を祝賀するだけで、大変な問題だとは騒ぎもせず、問題視さえしない。日本の支配者は、その能力とは関係なく日本を支配する権力を求める集団を作り出し、日本もある意味では、自主的情報統制の戦時下体制に入っているのかも知れない。

 ものの考え方とは、ある事象に対する反応の違いであり、人それぞれの立場によって反応が違うとは知っていたつもりだが、庶民と支配者によっても大きく反応が違うことを北野幸伯氏のロシアの情報から気づかされた。庶民と国を動かす支配者とでは、欲望も組織の力を利用する力も大きく違っているので、それも当然かもしれない。病的な軍国主義者であり、アメリカの属国としてその夢を実現しようとしている安倍首相により、「戦争放棄」の日本国憲法は無視させられつつある。すでに安倍政権は2018年12月18日に、日本の新たな軍事方針「防衛計画の大綱」(大綱)と、2019~23年度の武器調達計画を示す「中期防衛力整備計画」(中期防)を閣議決定している。
 災害救助で国民に親しみのあった自衛隊の正式名称は、安倍内閣の下に実質的には「国防軍」に変化している。そこで、ここでは日本の国防費と消費税を例にして、支配者の態度について考えてみたい。
 参考:北野の声 北野幸伯 公式ホームページ
     空母向け含むF35を105機購入へ その裏側に苦渋の決断 2018.12.21
     違憲の攻撃能力へ27兆円 空母化・F35明記 新「防衛大綱」・中期防 閣議決定


 国民生活を潤す生産活動に、消費税を何故課税をするのか?2%の消費税率引き上げで、見込まれる税収増は約5兆6千億円という。そうして国民の生活の場から奪う税金の額は、まだ実践能力は未知数の開発段階にある戦闘機F35を105機追加購入して、147機体制とし、総額は6.2兆円で、消費税より多いだそうだ。しかもそれを空母に搭載するという。「日本は戦後空母を保有してこなかったが、先の閣議決定で、現在2隻保有するヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」型を飛行甲板の改修などにより事実上の空母(政府呼称は「多用途運用護衛艦」)として運用する計画が了承された。」
 国民の生活は生産と消費活動によって営まれる。政治は税金によって国民生活を守っているが、軍事費に消費税等の税金を使うことの意味を問い直そう!すでに大企業は内部留保したお金で経済活動ができる状態で、事業のために銀行から借金をする必要がなくなっている。借金をしないということは、大企業の生産活動にお金を発行する必要が無くなっている状態を示すのではなかろうか?発行されたお金は軍事費、不動産、株等の投資に使われる。今こそ、国民生活の基本は税金ではなく「お金の発行方法」(2)から見直す必要があろう。
 参考:日本政府、米にF35を105機購入の意向示す トランプ氏「同盟国中、最大の部隊に」
     F35 147機 総額6.2兆円
     105機を追加購入し、147機態勢
     消費税増収分の使い道(2018年10月)
     いずも型搭載F-35はどの程度戦力になる?
     空母向け含むF35を105機購入へ その裏側に苦渋の決断
     違憲の攻撃能力へ27兆円
     安倍政権は18日、5年間で過去最大の27兆4700億円を計上し、前中期防の24兆
     6700億円から2兆8千億円増額した。安倍政権下で進む大軍拡路線をさらに加速さ
     せるものだ。
     安倍首相“幇間”外交大失敗 トランプ手の平返しで円安叩き


 「旧東ドイツで育ったドイツのメルケル首相は、2019年5月30日に米東部ボストン郊外のハーバード大卒業式で講演し、第2次大戦後の欧州復興の原動力となった米『マーシャル計画』が1947年にハーバード大で発表されたことに触れ、『ベルリンの壁』の向こう側にある『自由』に憧れていた自身の経験を紹介しつつ、自由を阻害する保護主義や単独主義などの「壁」を壊して国際的な協力を進めるよう呼び掛け、『心の中の壁を壊せば敵が友に変わる』と主張した。トランプ米大統領を間接的に批判した形で、卒業生らは熱狂的に拍手した。」
 参考:独メルケル首相がトランプ氏批判 「壁」崩し国際協力を
     民主党がトランプの岩盤支持層を切り崩せない本当の理由
     トランプを支持しているのは誰か?アメリカ「極右化」の真実
     アメリカの世論調査機関ピュー・リサーチの調査では、高卒以下の白人の57%が
     トランプ候補を支持しているのに対して、クリントン候補を支持する比率は36%に
     すぎない。逆に大卒以上の高学歴者では、クリントン候補支持52%に対して、トラ
     ンプ支持は40%と逆転している。


 個人の欲求不満は集団を動かし、集団の欲求不満は国や世界までもを動かすことがある。人は他者との関係で「幸福」になれるので、他者を尊重する社会を構築すること、そのような社会を維持することが、人類が幸福に生きる前提として何よりも重要だと、私は確信している。


初稿 2019.6.1 更新 2019.6.16