自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

生きるということ~感性/理性と集中力/考えること

2018-09-25 11:04:20 | 自然と人為

 人間や動物は、外界を感知するための五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を持ち、脳はその情報を組織化して行動に移しているが、その時、脳を動かすエネルギーは何であろうか?

 ビッグバンにより宇宙が生まれ、そして地球と生命が誕生した。ウィルスは「細胞膜やタンパク質の殻に核酸(DNA or RNA)が入った物質」で増殖に生物を利用する無生物と生物の中間にある。ウイルスは増殖するが生命とは言わない。「生命とは自己複製を行う動的平衡の流れである。脳細胞の内部では常に分子と原子の交換がある。脳細胞のDNAを構成する原子は、むしろ増殖する細胞のDNAよりも高い頻度で、部分的な分解と修復がなされている」。

 「生きる」とは「自己複製を行う動的平衡の流れ」であるとして、集中力はどのようにして生まれるのであろうか?
 脳が働くとき、ネットワークを構成する神経細胞で電気的な活動が起き、脳波として調べることが出来る。脳波には4つの種類があり、脳波と心は影響し合う。心身がリラックスし、一番脳のエネルギーが高い脳波はアルファー波状態だそうだ。人間や動物は五感から得られる情報に対して、普通は条件反射的に行動をしている。したがって、米国の研究にあるように、意識的に行動を決定するよりは、無意識下で行動をしていることが殆どである。人間の場合は「ひとつのことに集中する」瞑想で、集中力は鍛えられる。瞑想だけでなく、雑音に紛らわされないで、何かに集中すれば脳のエネルギーは最も高くなると考えられる。

 人間の行動で最もシンプルな目標を持つ陸上スプリンターがある。これは速く走るには身体をどう鍛え、その身体をどう動かせれば早くなるのかの問題を問い続ける強い意志を必要とするスポーツだ。若い頃は、身体と身体の反応は鍛えることは出来ても、歳を取れば維持することさえ困難になる。いつまでも競技に出場したいと思う意志から、今でも新しい工夫を続けているアスリート・末續慎吾選手の挑戦は、我々庶民にも参考になる。
 参考:アスリートの魂38歳 未知の走りへ~陸上・末續慎吾~」

 一方、数学は論理的世界であり、我々の住む世間のノイズに邪魔されないで仕事をするのが、最も脳のエネルギ-を高めて利用することになる。若い日、快活であったソ連(現ロシア)の数学者・ペレルマンは100年間誰も解を得ることが出来なかった「ポアンカレ予想」に取り組んでから、引きこもりになった。問題を解決し数学界のノーベル賞と言われる「フィールズ賞」さえ受賞を辞退し、世間との付き合いを全く止めてしまった。数学という論理の世界に熱中したことから、世間に生きる興味を全く無くしてしまったのだろう。今は違うテーマに取り組んでいるという。彼にとっては数学の世界がすべてで、世間の常識などには興味もなく、それによって行動する必要もなかった。純粋に論理の世界に生きたペレルマンからも、生き方の多くを教えられる。

 参考:数学者はキノコ狩りの夢を見る(2)(3)(4)

 この動画の「イタズラ書き」は神経集中を阻害して迷惑だが、多分、この悪戯書きにも著作権があるのだろう。理由はともかく、この録画を残して公開してくれていることに感謝したい。youtubeは誰でも簡単に動画を投稿できるので重宝していた。大切なNHK番組の録画を投稿して、皆様にもお知らせ出来ると喜んでいたが、ある日、著作権違反の理由でバッサリ削除されていた。公共放送であるNHKの著作権の根拠とは何だ。NHK番組がコマーシャル付でネットで公開されていることと、コマーシャルなしでは削除される矛盾をどう説明するのか。最近、そのコマーシャルも強制的に見せられるようになっている。情報は公開すべきだが、押し付けられるとコマーシャルで流れる商品や会社まで、卑しく見えて嫌になる。広島カープの応援だけは許せるが・・・。
 参考:ポール・セザンヌとグリゴリー・ペレルマン~その純粋な生き方

 「生きるということ」は、五感から得られる情報にどう反応するかということ。そして、反応の一つとして「集中力」があるが、「考えること」について教えてくれるドイツの若き哲学者・マルクス・ガブリエルは史上最年少でボン大学教授に就任したが、「なぜ世界は存在しないのか」という著作出版(2)がベストセラーになったことで、一躍、世界的スターになった。

 今年2018年6月に、彼は日本を訪問し、講演、対談等で忙い様子を、NHK番組欲望の時代の哲学」が記録に残してくれた。
 「全体としての世界」が存在するのではなく、「個人の見える世界」の集合体が世界であり、それは集団、組織、国等では「情報」としてまとめられるが、情報も一つではなく個人や集団で重なり合い、人間として見える個々の世界は重なり合う。動物+道具(機械)+情報=人間であり、「お金」は人間の欲望を増加させる。これらは放置すると暴走するので、全人類に共通の世界として倫理を持つべきであり、倫理の原点は「人間の尊厳」である。様々な人間をまとめるために「権威」があり、日本では「天皇の尊厳」を最高の権威としてきた歴史がある。天皇も存在することに権威があったが、生前譲位(2)されることになった。このことは退位までの仕事があることを示す。退位されようがされまいが、天皇の権威は「人間の尊厳」の象徴でなければならず、現役の場合はより積極的に活動されるということだろう。しかし、我が国には「天皇の権威」を権力が利用する歴史があった。このことは断じて許されないし、忘れてはならない。天皇は権力の暴走を抑えるために存在するのだから。

 恐竜の絶滅は巨大隕石の地球への衝突が原因と考えられているが、人類もどのようなことで絶滅するかもしれない。人類の破滅を救うのは、「人間の尊厳」の倫理を人類で共有し、科学の力(機械)を発達させて、宇宙レベルで資源の循環を行うことである。欲望の時代の今、『宇宙という新しい「市場」にチャレンジする時代が、ついに来た』のだ。「人間の尊重」と「宇宙の時代」で、人類の破滅を救おう。
 参考: 前澤友作 月の周回旅行動画英語版


初稿 2018.9.25


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