昨今、格納式の日除けを装備したヘルメットが全盛を誇り、各メーカーが挙って販売していますね。交換用のシールドを携帯するのはやはり嵩張りますし、シールドの換装がどれ程簡単にできたとしても、都度交換するというのは余り現実的とは言えず、件のヘルメットが売れているのも頷けます。それらの殆ど全てが中へ格納する構造(所謂インナーサンシェード)を採用していますが、この構造ですと日除けを格納するための間隙を設けなくてはならず、ヘルメットの帽体や緩衝体にも少なからぬ影響を与えることは想像に難くありません。
管理人が愛用するOGK KABUTO「VALER」は日除けをシールドの外側、つまり、ヘルメットの最外側へと位置することで、帽体や緩衝体への構造的制約を皆無にした、画期的なヘルメットであると言えます(現在は後継の「AFFID」に引き継がれています)。当然、インナーサンシェードを出し入れするような機構も必要ありませんし、ヘルメット内の通換気性能(特に前額部から後頭部に掛けて)に与える構造的影響もありません。また、日除け自体が自らの吐く息で曇る心配もありませんね(これ、意外と盲点ではないでしょうか)。但し、VALERとAFFIDにはピンロックシールドの設定は無いため、日除けとは別にシールド自体の曇り止め対策が必要となります。
そして今春、Araiからプロシェードシステムが発売されました。この商品の特筆すべき点は先のVALERのようにシールドの外側へ日除けを装備していることも然ることながら、ヘルメット側の構造に依拠せずに直接シールドへ装着するため、この方式に対応したシールドであれば装着できる汎用性や拡張性の高さでしょう。また、VALERと比べて日除け自体の大きさが最小限に抑えられていることに加え、日除けを上方へ上げた時の整流効果も謳っている点が羨ましくもあります(笑)。
しかし、プロシェードシステムを装着したヘルメットの画像を見た時、或る点が非常に気になりました。それは日除けがシールドの高さの3/5程しか覆っていない上、左右の端へ行くに連れて更に幅が狭まっていることです。
実は、VALERも日除けがシールド全体を覆っている訳ではなく、下側約1/4が空いています。つまり、視界全体の内、日除けによって暗くなる部分と日除けに覆われずに明るいままの部分とができ、この明暗差に対して違和感を覚えるのです。然も、この明暗差が曲者です。視界全体が明るい(日除けが無い)状況と比べ、明暗差によって明るい部分が更に強調されてしまうような気がします。特に、夏場の路面からの照り返しは強く感じられましたね。昨年の東京モーターサイクルショーではOGK KABUTOの担当者へ、この不満点と日除けの下方向への延長を要望として伝えたという経緯もありました。現時点では改善された気配はありませんし、後発のプロシェードシステムを初め、各社インナーサンシェードにしても、視界下方に間隙が空いているのが当然のようですから、前傾姿勢で乗車する機種を前提に作られているのかも知れません。
余談ですが、Araiのプロシェードシステムと既存のインナーサンシェード内蔵のヘルメットを比較する際、Arai独自のSNELL規格に対する盲信とも思える意見を目にする機会の何と多いことでしょう。既知の通り、ヘルメットに関する規格には日本は元より海外にも様々な種類が存在します。例えば、日本ではSG規格やPSC規格、JIS規格があり、先のSNELL規格は米国の規格、欧州で一般的なのはECEという規格ですが、当然ながら、それぞれの規格によってその性格が異なっています。SG規格やPSC規格はヘルメットという製品としての強制規格であり、後者の3つはヘルメットの安全性に関する言わば任意規格ですが、極めて乱暴な捉え方をするならば、SNELL規格は耐衝撃性や耐貫通性を、ECE規格は衝撃吸収性を重視したものであり、JIS規格はSNELL規格とECE規格の中間的性格を有しています。誤解を恐れずに言うならば、厳しい規格の代名詞でもあるSNELL規格はヘルメットの強度を重視する方向へ偏っているということであり、そういった性格の一面だけを捉えて、最も安全なヘルメットであると絶対視することはできないのです。
追伸:SNELL‐M2010では帽体全体で衝撃を吸収するECE規格的な性格が強化されたようです。
![OGK KABUTOオージーケーカブト/AFFID [アフィード]](http://w1.webike.net/catalogue/10121/w-527-396s.jpg)
OGK KABUTOオージーケーカブト/AFFID [アフィード]

Araiアライ/スーパーアドシスIプロシェードシステム スーパーアドシスIシールド
管理人が愛用するOGK KABUTO「VALER」は日除けをシールドの外側、つまり、ヘルメットの最外側へと位置することで、帽体や緩衝体への構造的制約を皆無にした、画期的なヘルメットであると言えます(現在は後継の「AFFID」に引き継がれています)。当然、インナーサンシェードを出し入れするような機構も必要ありませんし、ヘルメット内の通換気性能(特に前額部から後頭部に掛けて)に与える構造的影響もありません。また、日除け自体が自らの吐く息で曇る心配もありませんね(これ、意外と盲点ではないでしょうか)。但し、VALERとAFFIDにはピンロックシールドの設定は無いため、日除けとは別にシールド自体の曇り止め対策が必要となります。
そして今春、Araiからプロシェードシステムが発売されました。この商品の特筆すべき点は先のVALERのようにシールドの外側へ日除けを装備していることも然ることながら、ヘルメット側の構造に依拠せずに直接シールドへ装着するため、この方式に対応したシールドであれば装着できる汎用性や拡張性の高さでしょう。また、VALERと比べて日除け自体の大きさが最小限に抑えられていることに加え、日除けを上方へ上げた時の整流効果も謳っている点が羨ましくもあります(笑)。
しかし、プロシェードシステムを装着したヘルメットの画像を見た時、或る点が非常に気になりました。それは日除けがシールドの高さの3/5程しか覆っていない上、左右の端へ行くに連れて更に幅が狭まっていることです。
実は、VALERも日除けがシールド全体を覆っている訳ではなく、下側約1/4が空いています。つまり、視界全体の内、日除けによって暗くなる部分と日除けに覆われずに明るいままの部分とができ、この明暗差に対して違和感を覚えるのです。然も、この明暗差が曲者です。視界全体が明るい(日除けが無い)状況と比べ、明暗差によって明るい部分が更に強調されてしまうような気がします。特に、夏場の路面からの照り返しは強く感じられましたね。昨年の東京モーターサイクルショーではOGK KABUTOの担当者へ、この不満点と日除けの下方向への延長を要望として伝えたという経緯もありました。現時点では改善された気配はありませんし、後発のプロシェードシステムを初め、各社インナーサンシェードにしても、視界下方に間隙が空いているのが当然のようですから、前傾姿勢で乗車する機種を前提に作られているのかも知れません。
余談ですが、Araiのプロシェードシステムと既存のインナーサンシェード内蔵のヘルメットを比較する際、Arai独自のSNELL規格に対する盲信とも思える意見を目にする機会の何と多いことでしょう。既知の通り、ヘルメットに関する規格には日本は元より海外にも様々な種類が存在します。例えば、日本ではSG規格やPSC規格、JIS規格があり、先のSNELL規格は米国の規格、欧州で一般的なのはECEという規格ですが、当然ながら、それぞれの規格によってその性格が異なっています。SG規格やPSC規格はヘルメットという製品としての強制規格であり、後者の3つはヘルメットの安全性に関する言わば任意規格ですが、極めて乱暴な捉え方をするならば、SNELL規格は耐衝撃性や耐貫通性を、ECE規格は衝撃吸収性を重視したものであり、JIS規格はSNELL規格とECE規格の中間的性格を有しています。誤解を恐れずに言うならば、厳しい規格の代名詞でもあるSNELL規格はヘルメットの強度を重視する方向へ偏っているということであり、そういった性格の一面だけを捉えて、最も安全なヘルメットであると絶対視することはできないのです。
追伸:SNELL‐M2010では帽体全体で衝撃を吸収するECE規格的な性格が強化されたようです。
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