欧州にて、新型TRACER 9/GT/GT+が発表されました。結論から言いますと、現行TRACER 9 GT/GT+よりも次期主力戦闘機としての食指が動かされることはありませんでした。いや、勿論性能や装備面に於いては確実に進化を遂げているのですが、管理人が二輪車を購入する際の基準として重きを置いている意匠や塗色に関しては、もう好い加減にして欲しいというのが正直なところです。その辺りの詳しい話は後で述べるとしまして、先ずは新型TRACER 9 GT+の画像をご覧下さい。



<新型TRACER 9 GT+(YーAMT)>
それでは、新型TRACER 9 GT+の新装備及び車体色を見ていくことにしましょう。

<アダプティブマトリクスLEDヘッドライト>
先ず、この厳つい前照灯の意匠、もう少しどうにかならなかったのでしょうか。ここ最近のヤマハ車全般に言えることですが、前照灯の異形感や異物感(後付け感)が目立ち、周囲の意匠から浮きまくっており、やっつけ仕事に思えてなりません(飽く迄、個人的感想です)。前照灯も意匠の一部として取り込む努力をしてもらいたいものです。
その機能面は現行TRACER 9 GT+のコーナリングランプを更に進化させたものであり、申し分ありません。前額部のカメラと連動し、周囲の状況に合わせて最適な照射範囲となるよう、個々のLEDを自動的に制御するようです。

<Y-AMT(クラッチレバー・シフトペダル無し)>
新型TRACER 9 GT+はY-AMT搭載の一機種のみのようです(TRACER 9 GTはY-AMT搭載/非搭載の二機種を併売、TRACER 9(無印)は仕向地によってY-AMT搭載機種もあり)。

<7インチ高輝度フルカラーTFT液晶メーター>
現行TRACER 9 GT+とは形状が異なるので、別物と思われます。

<スマートキー>
メインキーやハンドルロックの操作、燃料タンクキャップの開閉は勿論のこと、国内ではオプション装備となる純正サイドケースや同トップケースも開閉できるようです。

<KYB製電子制御サスペンション>
6軸IMUの情報に基づき、減衰力を自動で調整してくれます。

<電動スクリーン>
現行TRACER 9 GT/GT+は手動/10段階の調整ができますが、新型TRACER 9 GT/GT+は電動/無段階の調整が可能です。

<YRCモード(スポーツ/ストリート/レイン/カスタム×2の5つのライディングモード)>
現行TRACER 9 GT+のYRCモードはスポーツ/ストリート/レイン/カスタムの4つです。尚、現行TRACER 9 GTのライディングモードも4つですが、こちらはDモードという名称なので、別物かも知れません。

<ブラインドスポットモニター>
四輪ではお馴染みの装備、後方のミリ波レーダーで死角に存在する車両を検出して、ミラーに警告が表示されます。

<車両ホールドコントロール>
ヨーロッパヤマハのHPには「停止時に直感的にリアブレーキを踏むことで、坂道でのシームレスな発進を可能にします」と書かれていますが、これだけだと一寸よく分かりませんね。

<グリップヒーター>
10段階の温度調節と、3つの設定を記憶できる機能が備わっているようです。

<DID製エンデュランスチェーン>
ローラーがコーティング処理されていることで摩擦が減少し、チェーンの伸びも少なく、より長い耐用年数が期待できます。

<TPMS(タイヤ空気圧監視システム)>
TPMSが標準装備されていることは喜ばしいことですが、長らくTPMSを「千早」を初めとする愛車で運用してきた管理人にとって、看過できない問題があります。それは、空気圧センサーの装着や交換をする際、前後輪とタイヤの着脱が必要なことです。新型TRACER 9 GT+は恐らく新車時からTPMSが組み込まれていると思われますが、空気圧センサーの電池の寿命が訪れた時、タイヤの交換時期と重なるとは限りません。余談ですが、以前、ワイズギアにて仏LDL社製「TIRE WATCH」なる製品を取り扱っていたようですが、これも空気圧センサーをタイヤ内部に装着するものでした。


<新型TRACER 9 GT+の車体色。左よりCobalt Blue、Icon Performance>
続いては、新型TRACER 9 GTです。



<新型TRACER 9 GT>
新型TRACER 9 GTの装備と車体色を紹介します。

<第3世代クイックシフター(Y-AMT非搭載機種)>
クラッチ操作無しでのシフトアップ/シフトダウンの双方向に対応しています。

<クルーズコントロール>※ACC(アダプティブクルーズコントロール)は新型TRACER 9 GT+のみ搭載
クルーズコントロールは、現行TRACER 9 GT/GT+では4速から作動するようですが、新型TRACER 9(無印)/GTでは3速から作動させることが可能になりました。
ACC(アダプティブクルーズコントロール)は新型TRACER 9 GT+のみに搭載され、ミリ波レーダーと連動して定速巡航と加減速の制御を自動的に行います。

<バックライト付ハンドルスイッチボックス>※TRACER 9 GT(Y-AMT)のみ
夜間でも簡単にスイッチの操作が行えるよう、バックライトが備わっています。

<新型サブフレームとシート>
新型TRACER 9(無印)/GT/GT+の全機種に於いて、現行TRACER 9 GT/GT+と比べて50mm延長した新型サブフレーム(シートレール)を採用したのに伴い、クッション性と足付き性が向上した新型シートとなっています。また、新型TRACER 9 GT/GT+と新型TRACER 9(無印)とではシート表皮が異なっています。


<新型TRACER 9 GT+の車体色。左よりCeramic Ice、Tech Black>
最後に、新型TRACER 9(無印)です。



<新型TRACER 9(無印)>

<コーナリングライト、手動スクリーン>
新型TRACER 9(無印)/GT/GT+の灯火類とスクリーンについては一寸分かり難い点があるので以下に纏めます。
新型TRACER 9 GT+:前額部カメラ+ミリ波レーダー=アダプティブマトリクスLEDヘッドライト+ACC、電動スクリーン
新型TRACER 9 GT :前額部カメラ =アダプティブマトリクスLEDヘッドライト、 電動スクリーン
新型TRACER 9(無印):(カメラ、レーダー無し) =コーナーリングライト、 手動スクリーン


<新型TRACER 9(無印)の車体色。左よりMidnight Black、Redline>
ここで、車両の塗色に関する私見を述べたいと思います。先ず、管理人は艶有り塗装が大好きです(笑)。何故なら、綺麗にしたら綺麗にしただけ、手を掛ければ手を掛けただけ愛車が輝きを増すのを見て、満悦に浸ることができるからです。これまでの愛車の遍歴の内、「千早」以降の全ての愛車に(簡易コーティングを含めた)ガラスコーティングを施工してきましたが、ガラスコーティングを施工してあるのとないのとでは、特に洗車後の輝きが段違いです。このように、管理人は愛車の輝きを維持することに無類の喜びを感じており、これは艶無し塗装の車両では満たされることが無いため、車両の塗色を選択する際は艶有り塗装一択ですね。また、管理人は艶無し塗装の車両を所有したことが無いのですが、艶無し塗装は手入れが大変という話も耳にします。
さて、昨今のヤマハの二輪車を見てみると、何と艶無し塗色の二輪車の多いことか。特にスクーター系でこの傾向が顕著ですね。最近は艶無し塗装が流行っているようなので、そこを否定する心算は毛頭ありませんが、艶無し塗色を容認するにしても解せないのが、同一車両で艶有り塗装と艶無し塗色が混在する機種の存在です。例を挙げると、YZF‐R系で艶有り青色と艶無し紺色の取り合わせがありますね。まあ、管理人自身が美的感覚を持ち合わせているとは思いませんが、それでも敢えて言わせてもらうなら「せめて艶有りか艶無しか、どちらかに統一しろ!」。また、最近ヤマハでSP等の上位機種に於いて採用することが多い、所謂Icon Performance(銀色+黒色+青色)の塗色について。ヤマハではこの塗色設定で高級感を演出しているようですが、これまでの当ブログでも散々言ってきた通り、まるで継ぎ接ぎをしているかのようで、寧ろ高級感とは程遠く感じられて頂けません。一方、汚れが目立たないという理由で銀色を選ぶという方もいるようですが、乱暴な物言いであることを承知で言わせてもらうと、「アルミや鉄等金属の地色を隠すために塗装をするのに、何故態々金属色で塗り直すのか!」(勿論、YZF‐R1Mのガソリンタンクやスイングアームのように、敢えてアルミ地を魅せる意図がある場合は別ですが)。
こうした個人的な事情を踏まえ、改めて上記の新型TRACER 9(無印)/GT/GT+の塗色を見てみます。TRACER 9 GT+は①艶有り紺色+艶無し銀色+銀色ホイール②艶有り黒色+艶無し銀色+青色ホイール、TRACER 9 GTは③艶無し薄灰色+艶無し濃灰色+黒色ホイール④艶無し黒色+黒色ホイール、そしてTRACER 9(無印)が⑤艶有り黒色+艶有り濃灰色+黒色ホイール⑥艶有り赤色+艶無し黒色+黒色ホイールの全6色展開ですね。ここに上で述べてきた管理人独自の塗色の選択基準を当て嵌めてみると、何とTRACER 9(無印)の⑤艶有り黒色+艶有り濃灰色+黒色ホイールしか該当する塗色がありません。更に日本国内では現行TRACER 9では無印の設定が無い上に管理人の嗜好と相容れない意匠、そしてこれだけ新機能がてんこ盛りですから、大幅な価格上昇も否めず、冒頭の「次期主力戦闘機としての食指が動かされることは無い」結果となってしまう訳です。
うーん、やはりTRACER 7/GTを国内に導入してもらえないでしょうか、ヤマハさん。