鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

雲龍図鐔 松尾月山 Gssan Tsuba

2012-02-12 | 鍔の歴史
雲龍図鐔 (鍔の歴史)


雲龍図鐔 松尾月山作

松尾月山は京都大月派の重鎮川原林秀興の門人、その奇抜な龍神。葵木瓜形の鉄地を微細な石目地に仕上げ、これを雲に見立て、雲を掻き分けるように姿を現した龍を金高彫象嵌している。筋骨隆隆、四肢の張った身体もそうだが、顔の表情が良い。彫り込み深く高肉に彫り出し、鬣は渦巻き、顎から口を経て鼻の辺りなどは実際の動物を手本として表現したとも考えられるほどの写実感がある。宙を掻き宙を蹴るその鋭い爪、鱗の様子も独創的である。81.2ミリ。