鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

波龍図小柄 岩本昆寛 Konkan Kozuka

2012-02-02 | 鍔の歴史
波龍図小柄 (鍔の歴史)



波龍図小柄 岩本昆寛(花押)

 強弱変化のある片切彫を巧みにし、立ち込める雲か霧の中から現われた龍として、線描写と点描のみで描き表わした作。寄せる波の崩れ落ちる辺りに突き出た爪の様子、雲間に見え隠れするところなどの表現が巧み。朧銀地。昆寛と言えば市井の風俗や自然風物に取材し、写実的に表現するを得意とした江戸を代表する金工。高彫色絵象嵌を多く見る機会があるのだが、このような横谷風の片切彫も得意としたようだ。


波龍図鍔 江府住並壽 探幽図写之安親

 これも同様に波間に龍神を片切彫で描いた作。並壽は江戸金工。裏に添え銘が「探幽図写之安親」とあって興味深い。鉄地。78.6ミリ。