鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

双龍図鐔 南蛮 Nanban Tsuba

2012-01-14 | 鍔の歴史
双龍図鐔 (鐔の歴史)


双龍図鐔 南蛮

 鉄地に異風の龍を高肉彫して金銀の布目象嵌を施し、その背景に唐草文を透かしの手法で施したものが、我が国で流行した南蛮鐔の典型。耳は二重三重にし、ここにも文様を加えている例が多い。唐草文には特徴があり、中国の貴石を素材とした彫刻のように、複雑に彫り込んで唐草の筋が立体的に組み合わさるような構成とした例も多い。この辺りに中国文化の影響が窺えるところであろうか。地鉄は彫り込みを複雑に行うことを目的としているために、焼き入れが為されていない軟質のものが多い。それが故に錆が出やすいという特徴がある。切羽台の形が長方形であるのは西洋の鐔を手本としているところ。74ミリ。