鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

剣掴龍図小柄 江川斎桂宗隣 Sorin-Egawa Kozuka

2012-01-07 | 鍔の歴史
剣掴龍図小柄 (鍔の歴史)


剣掴龍図小柄 江川斎桂宗隣(花押)

 一見して後藤に倣った作ではあるが作風に後藤とは異なる要素が窺え、違いは容易に判断できよう。宗隣もまた後藤家とは直接的な関わりはないが、この作例のように、後藤に挑んで見事に成功している。後藤家の創案した龍や獅子などの図の装剣小道具は、江戸時代の高位の武家の式正の拵には必要な金具でもあり、後藤で揃えられない場合には町彫金工の作品を用いたものであろう。綺麗な赤銅魚子地に金無垢地を龍がくっきりと浮かび上がって見える。美しいだけでなく貫禄も備わっている。
 宗麟は水戸の生まれ。横谷英精に学び、後に桂永壽の養子となり、永壽の名跡を襲い久留米藩有馬家の抱え工として幕末頃の江戸に活躍した名工の一人。