富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

美術館・博物館にもあるS字型の需要飽和曲線

2018年09月28日 | Weblog

需要は最初は少数者にしか知られないうちは、低位で平行線をたどる。つぎに、認知が進むと爆発的に普及する。そして、まだまだ伸びると思ったとき、突然に需要が飽和に達し、一気に下降し、衰退する。この法則は、ある国の鉄道の営業距離がS字型のカーブを描くことから社会科学の法則のひとつとして認知されている。富山市立のガラス美術館や、環濠公園の「世界一景色の良いスタバ」も、実は同じ運命をもっている。それは、ガラス美術に関心を持つ人、あるいは富山の街歩きをしたい人は、無限に新規の需要者を生み出すよりも、潜在的な需要者を呼び込んでしまうと、その絶好調の瞬間にうまれる衰退のシグナルを見落とすのである。利賀村の演劇の拠点も、観客にいかにリピートしてもらっても、そこに時間と費用をかける価値をみいだす需要者の数には限りがあり、ある日、維持する限界点がくる。これは、大学の学部、学科、講座でも同じである。それを回避するために、次のS字型の「新商品」や「新サービス」の準備を怠らないで、マイナーチェンジを繰り返していると、突然に終焉を迎えることになる。富山を含め、北陸は注目度が高まり、S字型のカーブを下から上に急速に上り始めた。これが30年に続くわけがない。北陸新幹線が敦賀まで延伸すると、最後のピークに向け、つまり衰退の始まりを迎える。その日に備え、減価償却を積み立て、新奇性を生み出す基礎の投資と研究を怠ると、スクラップしたあとの新規の再生が不可能となる。「地域起こし」は誰でも面白い。だが、破綻と再生の日に備えた準備は困難である。ゴルフ場経営がそうである。下降に転じると、だれも面白くない。デパート経営もそうである。意外に不易流行型は、図書館である。コアー施設としては、持続する。それは、所蔵書籍の新陳代謝と、所蔵図書の貴重本化という強みである。かといって、公益性はあっても、収益性がない公立図書館には、財政難による廃止の日がある。ここまでインターネットが発達すると、読書空間としての居心地のよさという空間の提供が持続の決め手となる。美術館・博物館は、歩かせるという行動が、観客を疲れさせる。図書館は、座席に腰をかけさせるという行動パターン、入館料が無料という強みがある。それも、不易流行の理由であろう。


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9月27日(木)のつぶやき

2018年09月28日 | Weblog

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