富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

「モノづくり」と「マネジメント」

2015年11月23日 | Weblog

TMA講師代表からの提案:「起業者」教育は止めませんか!「最強の学問は、情報統計学」である、大事なのは、企業内での起業です。それには、理工系の学生が、副専攻として経営学を学ぶ手がかりを与えることです。

12月19日、富山マネジメント・アカデミーは、富山県立大学において、右手で「モノづくり」、左手で「マネジメント」ができる経営者をお招きしてセミナーを開きます。

そこで、その深い趣旨を述べておきます。

歴史の反省:

富山県では、製造業が主力産業である。農業社会から製造業を主力とする産業社会になったのは、電力事業、特に水力発電への投資である。その結果、電気の化学的な性質を利用する電気分解、メッキ、さらには電気炉、電磁炉が生まれ、さらにはガラス加工まで盛んになった。その結果、富山では「モノづくり」信仰が、支配的な思想となった。

富山県立大学は、最初は大谷製鉄の寄付による短期大学がらスタートし、「モノづくり」信仰を原理として、工学部だけの単科大学として大学院までもつようになった。しかし、ここへきて、県下の中堅企業に異変が起きた。最初は、三協立山アルミ、リーマンショック、最近は、タカギセーコーの不調など、「マネジメント」が企業の基本であることが誰の眼にも明らかになってきた。

経営学は経営者としての権限をもつひとしか、利用価値がない、という偏見が大きく広がっている。しかし、全国の基幹産業の主役をなしている大企業では、どの部署、どの社員でも、高度なマネジメント意識があり、企業の持続的な発展には、環境対応の生産、社会的な貢献、そして企業経営の統合力の透明性に力を入れている。

今後の課題:

その中で、工学部の教養教育は、依然として、人文、社会、自然科学、語学、体育という「古典教養主義」から抜け出ていない。今後、大事なのは、現象を統計学的に分析処理する学力をコアーとして、右手で「モノづくり」、左手で「マネジメント」が学力の座標軸にあることが望ましい。その時、統計学を古い例題演習を黒板で教えるのではなく、情報処理の教育として基本に置くことである。

マネジメントでも、基本となるのは、モノ、カネ、ヒトである。儒学でいう「格物」である。多変量解析の思考で、目的変数を何に求めるのか、どのような要因が説明変数として相関係数が高いのか、すべて正誤を2分するの思考法ではなく、複雑思考で考えることができる。「最強の学問は、情報統計学」であるというのが、今後の「モノづくり」と「マネジメント」を結ぶ鍵である。


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高岡人は町衆、現代都市の経営はできない。

2015年11月22日 | Weblog

TMA講師代表から:11月21日、富山マネジメント・アカデミーでは、元富山県土木部長であった白井芳樹氏、オオバ株特別顧問をお招きして、「都市の景観を考える」という経営戦略セミナーを開いた。白井氏は、2時間にわたり、富山市の都市計画が歴史的にも先進的で、現在も、日本のみならず世界の都市づくりにおいて成功している事例として紹介された。そこには、行政と市民との協調関係がある。

それに対し、高岡では、町並みの保存という点では成功しているが、高岡市が重大な判断ミスを犯したことを指摘された。それは、北陸自動車道に高岡インターチェンジを設ける得策を、国土交通省と富山県からお勧めしたが、当時の高岡市長が断ったそうだ。また、新幹線の高岡駅は、在来線の高岡駅に併設する形で企画するように勧めたが、結果として、高岡市が断ったので、新高岡駅になった。大阪、横浜のような巨大都市でも、新大阪駅、新横浜駅の周辺の開発には20年を要した。高岡の場合、20年かけても不可能である。国や県の行政と、高岡市民との協調ができなかぅたために、高岡が現代都市としてして再生するのは極めて困難だという意味である。

ロジスティクス・マネジメントと現代都市とは、不可分の関係にある。観光を考えても、高速道路と新幹線とを組み合わせた「誘客」の利便性が決定的な意味をもつ。例えば、東京駅から新高岡駅との新幹線の指定席の往復切符は買えない。帰りの便は、あいの風鉄道で高岡から富山をはさみ、別の鉄道会社となる。だから、往復割引の制度が利用できない。

オオバという企業は、東証1部上場の都市計画のコンサルタント企業としては最大手である。そうした世界で、富山市と高岡市の歩みの違いは、全国の地方都市にとり、いい意味でも、悪い意味でも、モデルとなっていることが分かる。

大変に有機義なセミナーであった。朝日建設の林和夫社長が、TMAに招いたらどうかと提案していただいて実現した。ボランティアで来ていただいた白井芳樹氏には、感謝の言葉もみつからない。富山大学の経営学科の学生や、富山の企業の内定者が、白井氏の話を聞き、将来に資することがあろうかと思われる。

 

 


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