中国が対日関係の改善ができなかったのは、江沢民政権が親日派を派閥闘争の敵として発動したからである。胡錦涛政権は、対日関係を正常化する思考があったが、それを表面化すれば、「親日」を理由に党内少数派に追い込まれるという党内環境にあったからだ。習近平政権は、江沢民派の完全後退を見届けるまでは、対日関係の改善に臨めなかった。このような党内事情が消滅し、習近平ー李克強が論争しながらも、ともに学習進化した。さらに、外的要因としては、アメリカのトランプ政権と、世界の金融界の連携拠点であるIMFとの間の軋轢が高まり、トランプ政権の孤立化という事態のなかで、中日の通貨スワップ効果が決定的な意味をもつことになったからである。第三には、地球環境の保全において、中国は日本との協力関係を強固にしないと電気自動車のヨーロッパ輸出が困難であり、ドイツが急速に技術先進国の地位を失ってきたことも状況を変化させた。さて、ここで40年前の日中国交回復熱の再来は、日本側には絶対に禁物である。日本国民の反中国感情が、「親中カード」のレートを極端に上げてくれている。「親中カード」を安売りした三洋電機の二の舞を繰り返してはならない。国民の「親台湾」感情が高まると、「親中国カード」は希少化し、対中ビジネスは強気の条件交渉に臨める。また、大陸側での「対日ビジネス」サポートの市場価値もたかまる。アメリカ、ヨーロッパに売るよりも、また、買うよりも条件が良い場合にのみ、「親中カード」を使えばよい。この面でも、「学習進化」が機能している。互いに、深く学ぶ必要がある。
マルクス主義では、階級闘争が歴史を進化させるというのが古典的な理解である。この階級というのは、生産性の資産を所有するか、否かで、有産と無産とに2分する単純な矛盾論である。資産を法的に所有するか、否か、その違いでは、所有による利益は、国民総生産の仕組みの中の「所得分配」の一部分でしかない点が見逃されている。それでも、20世紀では、国有化、公有化が根本的な解決策と思われ、さまざまな国家社会主義の試みがなされた。アメリカは、この道をたどらなかった先進性において、いまなお市場活性は低下せず、世界経済のけん引力を市場から引き出している。つまり、国有化、公有化を制度として、国家権力が主導した国々では、民営化、市場化という「改革」という名の間違い直しをしている。イギリス、ロシア、中国、そして日本である。アメリカからみて、1世紀も回り道をしたことになる。それでも、日本が国民皆保険制度を実現した点では、日本は国家が主導する制度を戦時国家動員体制の裏返しとして実現したことは、「学習進化」である。アメリカでは、この制度はいまだに国民的な合意が得られていない。中国は、日本に見習い最近、国民皆保険制度の法制化に成功した。ロシアも保証の程度は低下したが、国民皆保険制度の歴史がある。このような医療福祉や、養老年金の制度は、基金の運用を間違えば、基金そのものの減価が生じる。そこで、非常に重要なのが基金機構の基金運用である。ストック・マネーの市場(債権と株式)のオペレーションを間違えば、国家間の戦争に敗れた以上に、国民生活の大破綻が生じる。この動態を読みぬくには、行動経済学(企業の行動、消費者の行動、そして年金基金の行動、さらには国家による公共投資の行動等」の心理学要因を含む不確定要素を可能な限り予測できる学習進化が期待される。それには、AIが万能だと思われがちであるが、そのプログラム自体がまだ、人間の最高の頭脳を超えていないことを承知しておく必要がある。AIで整理されたデータを波動関数で読み切る力である。
安倍政権は素直に「改憲」をテーマとして、立憲民主と正面から戦うことができる条件はある。 goo.gl/5MjYUQ
— 中村哲夫 (@shinjyugaku) 2018年9月12日 - 06:21
2019年の参議院選挙は、与党側に厳しいのか? blog.goo.ne.jp/toyama0811/e/1…
— 中村哲夫 (@shinjyugaku) 2018年9月12日 - 06:21