富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

戦後型の新制高校の配置を全面的に見直そう

2017年10月31日 | Weblog

現在、15歳の方が職業社会に入り、その役目を完了する年齢を75歳と仮定すると、今後、60年先の産業社会と地域社会の様態を先行予測しなければならない。その場合、変化の予測を過剰に強調すると、新規の分野に目が行きすぎる。

産業社会と地域社会において、「不易流行」の産業は、富山県の場合、電力事業である。事業の様態や発電・送電の変化はあるが、電力事業を支える人材確保をどうするのか?併せて、道路などの社会インフラ、建築の補修などの建築土木のベース人材の確保である。第二は、60年後も富山の産業の中核とする産業素材の輸入・加工の産業基盤である。伏木富山港からの原料の陸揚げから生産現場への自動化を可能にすれば、富山県ではどのような素材であろうと随時に調達できる産業連関の仕組みができる。第三は、医薬品の製造業である。特にバイオ製薬は、廃れることなく大きく飛躍していく。農業のバイオ製薬の原料生産を無駄なく構想しなくてはならない。第三は、医療・看護・介護と防災・治安の公共サービスを提供する人材の確保である。

富山県の場合、国立の富山大学と富山県立大学からコアー人材の育成に役立てられるシステムが意外に整備されている。大学進学率を50%から70%まで引き上げると、どの分野でも情報処理技術をコアーにした省力化が可能となる。福井県、鳥取県、島根県には、このような全産業対応型の大学教育の学群の体系化がない。富山の場合、金沢大学の国際化された高度人材を還流させる条件がある。なお、国立高専は、特に化学系が富山の産業と不調和になってるなど、高専についても、60年先の展望に繋がる再編成が必要である。

1学年齢の人口が5000人にまで縮小した場合の、県立高校、私立高校、国立高専の興廃は、すでに予想を超えるものがある。富山県立大学を中軸とする「富山県」を支える人材の確保のため、大学の付属高校・中学を構想し、人材面で郷土保全を強く打ち出さないと立ち行かないという危機感と、全国に先駆けた

仕組みが望まれる。

 

 


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財政赤字は、次世代の負債を増やすのか?

2017年10月31日 | Weblog

財務省を中心に、緊縮財政論とまではいかないまでも、国債の発行による財政の赤字は、次世代に先送りされ、財政破綻という大危機を招くという議論が流される。これは、放漫な財政支出や、過度の防衛費、社会保障費の拡張を抑制する効果のある議論である。だから、常に言い続けている意味はある。

だが、本当にこの議論は正しいのか?赤字の原因とされる国債により得られた財政収入が、もし、戦時国債のように戦費に使われてきたら財政は破綻ずる。しかし、公共インフラの整備に投入されていたら、実は、次世代は幼児期から先行投資されてきた公共インフラの恩恵を受けている。つまり、国債による公共インフラの先行投資の果実については、現役世代と同時に幼児期からその果実を味わっていることになる。1990年以後、日本は新制度学派の理論による長期債権市場を生み出したことで、すでに異次元のストック・ファンドのマネジメントの国家へと変質している。

国債という長期の債券市場の規模を大きくする必要は、ますます増える高齢者の老後の生活資金である年金制度が必要とする仕組みである。同時に、老後資金を以て21世紀の先進国に相応しい公共社会インフラを21世紀の初頭から構築し、次世代は負担なしにその恩恵を享受している。負債の先送りではなく、利便性を先に受けているから、次世代を犠牲にしているわけだはない。国債という長期債権市場を軸に、国家は債権の返済に債権を発行することで、債権の総額を減らさないのは、赤字の先送りだという議論がある。それは、違う。高齢者層に向かう人口の塊の圧力から、年金の掛け金が累積するので、その運用先として、長期国債市場を活用するほかはないからである。当面、国債発行残高を大幅に減らすと、老齢年金ファンドの安全資産の保管先が無くなる。リスクの大きな外国債権の高い利息を目当てに運用することはできないのである。

それでは、次世代は、この国債を償還できるのか?それは、アメリカ、中国の超大国の国内市場に向けて、日本経済が「量子コンピューター技術」という先端技術で生き延びれるのか?という問題に尽きる。つまり、GDPではなく、GNPにおいて、日本の比較的に高学歴に鍛え上げた次世代が競争に勝てるかどうかである。日本の国債は、その伸び筋に先行投資されており、経済産業省が安倍政権の頭脳を構成しているから、日本経済の潜在成長率が想定され、長期債券市場の安定ももたらされている。債権の需要が高すぎるから、マイナス金利になる。健康な、財政赤字は必要である。


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中国には、他人でも介護者が遺産相続できる相続法がある。

2017年10月30日 | Weblog

日本では、「妻」は夫の老父母を介護しても、遺産相続権は法的には認められない。それが、家庭内での介護のひとつの妨げとなっている。中国では、民法総則が制定されるまえに、一人っ子政策による伝統家族法の解体の受け皿として、遺産継承法が先行的に1980年代に制定された。

そこでは、介護者が遺産継承の第一順位となる便宜が法的に承認されている。日本でも、面倒な遺言に公証人役場での処理を要するが、可能といえば可能である。中国の場合、他人による介護とは、近隣の五戸で相互扶助するという地域慣行を前提としている。これは、農村部にある中国の独自の伝統的な慣行である。それを中国特色社会主義の基盤としてカウントされている。中国の農村の伝統的な近隣互助は、広東省、福建省、浙江省、さらには海外の華人・華僑に繋がっている。北中国は、遊牧民・非漢族の流入により、上からの制度による農村自治の強制が必要である。東北の遼寧、吉林、黒竜江は、漢族の伝統が弱い。伝統中国は、南方に広がっている。

こうした地方と地方との落差を孕みながらも、土地の利用権は「物権」としてすでに法制化され、民法総則が2017年に施行されたために、中国では高齢者の介護と遺産相続との現実合理性が機能することになる。遺産の産の私有が「物権」として民法で制度化されたことで、遺産を継承を前提とする介護の資金を社会化することに成功した訳である。

 


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民法が国家・社会の在り方を規定している。

2017年10月30日 | Weblog

僕は、歴史家なので、憲法が国家・社会の最高の法であるという信仰を相対化している。世界史では、不文律の民法が国家・社会の在り方を規定しているというのが基本原理である。日本では、第2次世界大戦による家長の戦死者を多く出した結果、戦時中に女性の戸主制度が法制化された。敗戦による制度変更ではなく、戦時法の中で、女性戸主の制度がうまれた。そこで、伝統的な武士社会の家父長制の家族法が解体された。決して、アメリカの占領軍による法体系の持ち込みではない。

この女性戸主の制度は、あくまでも家長・戸主の絶対権を求める明治の家族制度の形を守るためであった。しかし、戦後は、明治の家族制が戦争原因となった全体主義の温床であると、講座派マルクス主義者が主張し、アメリカ占領軍の民政部【アメリカ共産党】との蜜月により、家族制を廃止、全て個人主義に解消する画期的な民法へと書き換えられた。遺産相続においても、長男の優位性を否定し、兄弟均分の制度となった。これが少子化、介護を要する高齢化の社会を迎え、国家を唯一の「イエ」とする社会的なセーフティーネットに全てが委ねられることになった。あらゆる個人にそなわる人としての生存権を法的に保障するという理想主義の国家を経営するには、個人主義と反国家主義とが結合したエゴイズムが、この理想主義を挫折させる要因となる。

さて、このような民法における個人の生存権の確定は、他方で、不文律の社会契約が大前提となる。それは、民法の領域ではない。憲法の領域である。だから、日本国民は、新たに国家との社会契約を結びなのさなばならない。それが、憲法の国民投票による「承認契約」である。今の憲法は、第二次明治欽定憲法である。国民投票を経過していない。


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習近平政権の執行効率と志気の低下

2017年10月30日 | Weblog

中国共産党のなかで、学力が異常に高いのは、歴史学である。党を指導している学会の長老は、近代経済学に弱い。だから、清朝の乾隆帝の時代を以て、中華帝国の最盛期でと定義し、乾隆帝の時代のユーラシア大陸での中華帝国の再現を「盛世」として、「中国の夢」をけしかける。その最大のポイントは、東南アジアの華人たちの利益の代弁である。乾隆帝は、鄭成功の台湾統治を終わらせた。習近平政権は、台湾を「一国両制度」のもとに組み込み、中華人民共和国としての統一国家の枠組みを完成させるという大命題を背負い込んでいる。そのためには、東南アジア華人との妥協ではなく、まず、中国大陸社会における貧困撲滅、環境汚染など、台湾に比べて見劣りする民生の改善に国家からの直接投資を行ってきた。さらに、官僚の腐敗を監視するため、孫文が提起していた五権憲法のうちの監察権の行使を演繹し、党が立法、司法、行政、考選、監察の五権を総書記にもとに一元化するという「五権の一元管理」を図った。

これは、想定外の世界恐慌、北朝鮮からの核戦争などの未曽有のリスクに際し、独断で決定し、執行できる効率性は発揮できるが、他方で、全て総書記の責任に押し付ける無責任体制が、地方社会に蔓延する。これまでは、県レベルの官僚が悪い、と民衆の批判をかわし、英明な党中央が解決を図るという「勧善懲悪」の演劇効果に頼ってきた。しかし、全てが毛沢東の責任にすりかえた周恩来型のやり方が、李克強ら「紅二代」の属さない官僚群の日常倫理となる。その結果、志気の低下を招く。

実は、中国共産党の真の賢者は、朱鎔基さんである。監察権は、立法、行政、司法の三権のほかに、官僚の登用と、官僚の統制とを合わせて五権とした孫文の理論を熟知している。官僚への登用の不平等化、官僚の行政監察の行き過ぎによる官僚内部の党派闘争は、中国国民党を亡ぼした経験があることを熟知している。

日本の国益からみれば、官僚が単一の執政のための政党を作り、国民国家を統治する仕組みは、中国特色であるから批判の対象にはならない。厳しく批判するべきは、執行効率の低下、志気の低下が引き起こす世界経済という交響楽の演奏のテンポを中国が乱すことである。アメリカには、無秩序の秩序がある。第一バイオリンの役目は十分に果たせる。中国が第二バイオリンの役目を果たせるかどうか、IMFの監視と忠告が大いに期待されるところである。


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富山県高校再編には、近未来の雇用需要の予測がいる

2017年10月29日 | Weblog

おそらく、「みずほ銀行」の人員削減、三菱UFJ銀行の支店削減のニュースをみて、予想通りだと思われたであろう。教育界の人間が、教育界に近い有識者の意見を聞くと、大きく道を見誤ることになる。アマゾンが脅威の展開を遂げた結果、物品やサービスの対人販売に要する労働市場、つまり雇用需要の構造は大きく変化してくることが予想される。少子化とは、欠かせない分野での雇用のニーズに応えながら、他方で、不要とされる分野に向けた人材育成を止めることである。少なくなる若年の働き手の就業先の選択と集中こそが問題となる。

欠かせない人財は、防災の要員である。自衛隊を含め、警察、消防の人材をどのように確保していくのか?ここには、武道の役割が極めて大きいい。国民の健康・保健の医療機関の人材をどのように確保するのか?県立高校では、医学進学コースの拠点校、看護師さんの育成に繋がる拠点校。さらには、電気・電気通信・情報処理の分野での富山県の優位性を確保するエンジニアのコース、ロジスティクス・マネジメントをになえる数理統計に長けたアナリストを育成する。以上は、例示である。

このように考えたら、既存の普通科、商業科、工業科、農業科というような分類がすでに陳腐化していることが分かる。近未来の雇用の需要の構造変化を考えて、生物学を基本とする教育体系、化学を基本とする教育体系から武道を基本とする教育体系など、多様な職業社会が求めている人材ニーズにつき、50年の持続可能性のある分野を想定し、全国にどこにもない少子化時代の富山型の高校教育のシステム化、それが高校再編である。

少ない子供の最適な職業社会への配置である。民謡の伝承のために、少ない子供を地域に縛りつけると、50年後、低所得階級に追い込むことになる。


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小池氏の民進党左派の「排除」は正しい

2017年10月29日 | Weblog

安倍一強を瞬殺しようと期待した方は、小池氏に敗戦の責任を全て求めたいようである。日本の政治は、安倍一強に問題があるのではなく、北朝鮮に内通する日米安保の反対派に最大の問題があると分析するべきである。それに、国民的な大メディアを陣地として、日米安保に日本国の将来を託そうとしていることこそが国難である。小池氏は、議席では敗れたが、比例票では1000万の国民の声援を得ている。僕は自由民主党に投票した。「希望」という漢字を知らんからだ。それでも、小池氏の勇断は、仮に勝っても、世界政治・経済における日本の政権交代がもたらす混乱を乗り切れる強力な政府の姿が描き切れなかったからだ。

小池氏には、「日本の母」となれる道が残された。今、「日本の母」は、美智子皇后陛下である。ご退位が決まっている。「希望の党」は、来年から政党助成金を受け取れる。政党職員も事務所も電話もない。新天皇のもとで、新年号のもとで、堅実な中道保守党、行動する福祉党として活躍して欲しい。是非、保育士さん、介護士さんの「全国労組」の結成を側面から促して欲しい。子供や老人に寄り添うために、労働組合法を適正に運用するようにして欲しい。このニーズを立憲民主党が奪うなら、希望の道は閉ざされる。保育士さん、介護士さんが賃上げに成功すれば、国民の消費市場の拡大にも役立つ。

つまり、東京都という政策の実験場で政党に基盤をつくることである。決して、日教組、自治労に名を成さしめてはいけない。「行動する福祉党」を目指すことを勧める。


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習近平、褒めれば「緑色革命」が進む

2017年10月29日 | Weblog

習近平政権、独裁、だからダメ。これでは、日本と中国との互恵的な外交関係は樹立できない。東京大学の川島真教授は、勉強してるようでも、1945年目までの中国国民党の外交の歴史研究者にすぎない。中国大陸での生活経験の年数が少なすぎる。「読売新聞」さんは、遠藤誉さんの提言を重視したほうがよい。

さて、習近平さん個人は気の小さい人である。たまたま建国の父、毛沢東、周恩来につぐ地位の父親をもつため、周囲が将来の総書記に出世する馬であると、習近平さんの応援団となり、馬券を先行投資してきただけである。ところが、中国共産党は中国に民衆に嫌われ、政権の座を失いかもしれないという危機を異常に強くうけとめた「気の小さい」気質のため、その危機からの脱出を試みた。その場合、自己の利用できる人間関係に頼り、基本、人民解放軍を改革することで問題解決をした。この人民解放軍を指導する中央軍事委員会の政治将校の経歴が、毛沢東、鄧小平、それに次ぐ習近平という歴史に名を残す可能性のある立場に自己を高めた。

毛沢東には、文化人としての劣等感が基底にあり、その代償行為として、文化大革命を発動し、中国文化史に名を残そうとした。しかし、それに失敗した。

鄧小平には、客家としての劣等感と優越感があり、客族の星として、孫文の建国方略を再興した。客族にとり、孫文の建国方略には帰属意識があり、それはシンガポールにまで繋がっている。

習近平には、毛沢東の最晩年には怨みがあり、その悪政の被害者である。だから、毛沢東よりも低い歴史的な評価で死ぬわけにはいかない。死しても毛沢東を超えたいという晩年になればなるほど強くなる重いがある。習近平政権は、EVへ全面転換と、「緑色革命」により。北京市・河北省・天津市にまたがる新型の環境対応の大都市計画を約束している。習近平さんは、褒めれば褒めるほど良いことをするタイプである。彼には、化学が大学生時代の基礎教養として核たるものがある。世界の政治家で、化学の専門知識を基本教養とする人材は皆無である。プーチンはKGB.トランプは、不動産業者。習近平は、きちんとした科学が理解できる稀有な人材である。少なくとも、習近平さんは、中国の指導者で理科系であることでも、毛沢東、鄧小平よりも優れた現代政治家である。日本人は、彼を褒め上げても、国益としては十分に採算はとれる。軍事リスクよりも、中国の環境投資から得られる環境改善効果は、日本にとり100年、200年の利益になる。


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池上彰の北朝鮮を擁護する発言

2017年10月29日 | Weblog

昨夜2017/10/28、TVで池上彰の解説番組を何気に観ていた。

池上は、日本国が北朝鮮に対し、植民地統治の賠償金が未払いである,という。しかも、北朝鮮は、朝鮮戦争におけるアメリカ軍の空爆の被害者であり、さらに、アメリカが核兵器で北朝鮮を恫喝したと堂々と論じた。拉致被害の日本国民として、そんな立論は許されるのか?

① 日本が北朝鮮に残した莫大な工業資産につき、朝鮮半島の全体を代表する政権に賠償するとしても、日本が朝鮮半島に残した在外資産をもって、朝鮮半島の人民の被害と相殺できる。これは、中国と日本の賠償交渉により、中国が賠償請求権を放棄したという大きな事例がある。賠償は、北朝鮮に残した資産と相殺できる。

② 朝鮮戦争は、北朝鮮が韓国に先制攻撃をして韓国を占領したという事実を池上氏は、認めながらも、わざわざ、アメリカ軍の北朝鮮への反撃を映像で示し、「悪と悪」の両天秤により、アメリカ軍の北朝鮮への反撃の正統性を完全否定したことである。

③ アメリカが「核」兵器で、北朝鮮を脅したと「論証」し、そのうえで、北朝鮮の「核」武装の動機を完全肯定したことである。

あえて拉致被害の方の心中を察し、池上のロジックは、日本共産党よりも北朝鮮労働党の自己主張を容認するものだと抗議したい。池上さん、あなたの極東の歴史認識は、完全に朝鮮労働党よりである。明らかに、彼らの対日工作者である。


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気宇壮大さに欠ける習近平の個人心理

2017年10月29日 | Weblog

習近平政権のなかで、習近平という個人が突出してきた以上は、彼の生育史、人間発達史を分析し、個人心理を深く、仮説を立て検証する研究が喫緊の課題となってきた。習近平政権については、すでに高岡法科大の紀要に、内政と外交につき、それぞれ論文を書き、公開してきた。習近平政権の江沢民、胡錦涛との農村、農業、農民の政策の違いを論じた。習近平政権は、中国共産党の過去の指導部が出来なかった「民生問題」「三農問題」の基本的な解決に成功している。僕個人は、習近平の功績は、毛沢東を超えていると評価している。外交では、毛沢東が誤った朝鮮戦争への参戦を総括し、中国は韓国との関係を確立し、朝鮮戦争を「終結」している。毛沢東の間違いを修正している。これは、習近平の父が国務院の副総理として、周恩来総理が毛沢東に対し追随し、彼の父も追随した「父の原罪」への償いである。「人民に申し訳ない」という父からの革命伝承を基本としている。この血筋は、江沢民、胡錦涛にはない「紅二代」の遺産継承の強い意識である。

晩年、文革で右派として迫害された父が復権し、広東省を中心に、習近平のために習派の人間関係を構築したところからスタートしている。党員歴は、父親の功績により、精華大学の化学系を卒業し、中央軍事委員会の事務部門に就職した時点から始まる。つまり、党員であり、人民解放軍の文官の政治将校の候補者であった。日本のプロ野球に例えると、ドラフト第一位で最強の人民解放軍に入隊したわけである。ところが、この「紅二代」の血筋の良さが、習近平の重荷となり、イジメの対象になってきた。彼は、父の跡を継ぐか、海外に逃れるか、恋に迷った青年期を経験している。政治的に「気宇壮大」な青年ではなく、優柔不断で、警戒心の強い、控えめな性格である。そのため、気を許したごく少数の人間関係の狭い回路を歩んだ。父がそうであるように、周恩来のような個人の徳の魅力に乏しい。習近平は、血筋という稀なカードをもつ周囲のメンバーが、最初は「当たり確率の低い総書記候補」の馬券を買っていた。それが、広東、福建、浙江の中国共産党内の少数派グループである。従って、台湾、東南アジアに展開する「華僑・華人ネットワーク」と太いパイプからも、逆に利用される因縁を背負い込んでいる。

政権が独裁化すればするほど、台湾を含む、中華人の大統合が成功するか否か、が問われる。習近平は元来、「気宇壮大」ではないからこそ、自己を励ます「中国の夢」を背負わされている。「紅」の十字架を背負っての、全ての責任を負わされての総書記、第二期の船出である。まだ、毛沢東は超えていない。それでも、周囲は褒め殺す。ただ、彼には毛沢東にないものがある。夫人への人望が資産である。毛沢東は、夫人によりその名誉の90%失った。習近平が、歴史に残る大政治家になれるという馬券は、まだ、投票が続いている。さらに、もう1枚、いかがですか?リスクの少ない、安全志向の「長期債券」タイプの政治家である。


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王滬寧氏は、コピーライター型の理論家

2017年10月28日 | Weblog

僕は不勉強なので、王滬寧の個人名は最近まで知らなかった。しかし、「3つの代表」論、「科学発展観」、そして、「習近平新時代中国特色社会主義思想」という関係の文献は精読しているので、中国マルクス主義の理論の弱点は、良く見えてくる。まず、「習近平新時代中国特色社会主義思想」イコール「習近平思想」というダマシに引っ掛けられるようでは、王滬寧の悪知恵は見破れない。「習近平」と「新時代」とが同格で、この2つの名詞が「中国特色社会主義思想」を修飾している。つまり、習近平は新時代の人という史的唯物論の枠組みにはめ込み、時代背景という土台のもとに習近平という個人が属しているという唯物論式の外枠固定をしている。

この程度の理論家が、チャイナ7の一員として、中国共産党史に高名を残すようでは、中国が人類科学の最先端に位置することはない。一段下げて、中国共産党をマネジャとする経営管理集団として、経営科学の角度から考えると、大衆迎合のためのキャッチフレーズの宣伝の臭みが強すぎる。かれが起草した「党章」も、プログラムである。「希望の党」の「希望の」に近いものである。いやしくもマルクスの看板を掲げたいならば、中国共産党が世界の勤労者や、農業労働者にとり友党であるという語りが必要であるが、全て「中国特色」という枠内で、中国の国家官僚集体の利益を優先させるという「党派の主観性」、「民族エゴ」を隠しきれていない。産業資本の所有階級として、所有権に基づく管理権益を排他的に正当化するような呼びかけ効果もない。世界に対し、共感の広がり鳴く、縁故の輪に頼る気弱さに帰結する。

つまるところ、王滬寧は若い時にもまれた国際学術交流の経験を閉ざし、閉鎖的な理論サークルのリーダーに過ぎない。このような弱点は、少なくともアメリカの人文・社会学者の手にかかれば、簡単に攻略法が分かる。と同時に、経済学の基礎素養に乏しいので、日本のエコノミストには、市場経済の角度からも理論性能の粗さを簡単に見破れる。

とはいえ、「習近平新時代中国特色社会主義思想」を表向き褒め殺し、面子を立てる礼儀を失ってはならない。特に、大学教授が執権政党のトップにすわる中国文明は、敬服に値する。特に、日本の大学教授の護憲バカには学ぶべきところ大である。


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あらゆる職業能力の高度化と、少子化時代

2017年10月28日 | Weblog

「みずは銀行」が、10年かけて6万人体制から4万人体制へ人員を削減するというニュースが流された。これは、日本の次の時代を予知している立派なマネジメントである。情報処理の機械化、AI機能の発展を前提とし、雇用市場での人材確保という点で、少数精鋭の採用にどの企業も追い込まれるからである。10年というのは、まだ悠長すぎるかもしれない。保険の業界も、ネット型に主流が移行する。金融・保険は、いよいよAIを駆使できる少数精鋭と、国際化の時代になった。海外業務が、収益の基本となる時代である。

少子化により、富山県の県勢が低下するとしたら、それは、労働生産性を古典的に考えるからである。市場競争原理を軸に考えると、全世界的にどれだけの市場占有を果たすのかという産業の成長力の基盤の問題である。図式でいうと、伏木富山港から素材・半製品を輸入し、富山県内で加工し、航空貨物で輸出するプロセスで生じる「付加価値」が決め手となる。少子化でも、教育の高度化が達成できたら、富山県の製造業を人員が50%削減しても、今よりも出来高の多い出荷額を確保できる。

ガラス、アルミ、プラスティックなどは、全て船舶で輸入されるトンキロ・コストの低さを求められる原材料である。電子部品などは、重量当たりの製品価格が高い製品であるから航空貨物に移行できる。富山では、有名なブランド製品・部品の生産地として成功している。欠けているのは、YKKのような自社ブランドの国際化である。富山がまだ弱いのは、総合商社の機能である。少子化というのはマイナス条件ではなく、産業の高度化を促す要因である。しかし、それが成り立つには、県内の職業能力の訓練の高度化と、国際対応能力の向上である。


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地域振興のために、学校対抗の部活は辞めるべき時代

2017年10月28日 | Weblog

日本人は、チーム力では強いが、個の力は弱い、というのが定評である。その原因は、学校教育にある。部活は、あくまで教育のオプションである。それを教師の本務としてきたことが疑問視されてきた。この議論に決着をつけるのが、サッカー界であり、硬式野球界である。また、将棋界である。小学生時代からプロの登竜門として、地域のクラブチーム制が機能している。下校して、地域のクラブチームにおいて、公式のプロのコーチ資格をもつ人に教えてもらう。

富山でも、すでに多くの分野で、地域のクラブ・チームが主役となりつつある。これは、地域に潜在するエネルギーを基盤と考える思想に根ざしている。ここでは、「地産地消」という戦略は大間違いである。呉羽地区の相撲愛好者が、富山ではひさびさの幕内力士を生み出したように、市場は全国、全世界に眼をむけなくてはならない。芸能でも、民謡の保存に学校の部活はなじまない。地域に潜在する地域文化の再生力が主役である。音楽もNコンをTVで見たが、学校対抗の限界が見えてくる。参加校が限られ、音楽教師の見栄がかりが目立つ。学校の体育の教員は、県選抜の国体に活躍の場をみいだすべきである。

もちろん、学校対抗で競うべき分野もある。それは、英語の運用能力、数学・統計学、情報技術である。それは、国際競争でもあるからだ。

富山県を一個の事業体と仮定すると、学校教育の本筋は学力の形成であるとする正常な判断は厳格に守るべきである。そのうえで、地域社会を信頼し、郷土愛を育てるには、地域のクラブチームの役割を活用するべきである。特に、国際競争の面で、英語が話せない県民をできるだけなくすことに学校教育の経営資源をつぎ込むことが期待される。

もし、学校の部活を活性化させるために、高校を再編するのは愚策である。英語教育の高度化に最適のシステムへの対応として、県立高校の教育達成の品質保証となれば、全寮制の普通科の重点5校という志向も考えられる。また、短期留学の制度化も考えられる。日本で最強の県立高校というブランド価値を勝ち取り、かつ、地域の還元できるのは、英語運用の能力の形成である。


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政策科学を欠いた中国特色社会主義思想

2017年10月27日 | Weblog

政策科学とは、3種の経済原理、つまり指令型、市場型、互恵型の統合・調整をいかに制度として誘導するのか、という科学である。これは、日本でも地方自治体でも通用する科学である。中国の場合、中国特色社会主義思想という方向軸と政策目標が掲げられ、気運として実現できたらいいな、という野望に過ぎない。

事例を雇用(失業)保険に求め、説明しよう。中国には、このような制度は無かった。最近、習近平政権が制度として採用した。原型は、イギリス、アメリカで生まれた。日本では、これを社会的な安全網として、政府か主管する保険制度として完成させた。この保険金会計では、完全雇用に近づくと保険料の収入が保険基金に汲み上げられる。反対に不況であると、失業保険金の支払いが増加する。ここには、明らかに市場型経済原理が機能している。そして、雇用と失業と繰り返す人たち、終身雇用で社員身分の安定した人たちとの間で互恵型の経済原理が機能している。

中国の社会主義者は、指令型経済原理が「社会主義経済原理」と単純に理解してきたが、経済には市場経済原理が機能していることを理解し、部分的に、制度の枠組みのなかで市場を監督する仕組みを「中国特色社会主義思想」として理解し、「ソ連方式」とは異なる「中国特色社会主義」と自賛するようになった。しかし、中国社会には、異民族、地縁主義などの雑然とした利益集団が分岐しているので、「互恵型経済原理」が機能しない構造になっている。互いに排除する精神構造の社会である。だから、仮に習近平政権の夢が実現しても、「互恵型経済原理」がなかなか達成できないのである。それで、マルクスの「共産主義」を永遠の実現できない理想として、「旗」を下すわけにはいかないのである。マルクスの共産思想とは、中国社会は一番に遠いから、優秀な人材が、永遠の目標に心身が束縛される。

日本の場合は、互恵型経済原理を善とする和合を理想とし、異端を排斥、排除しないで、「風呂敷」に包み込む寛容を大事にする。だから、なかなか市場経済原理が一元的に機能しない。指令型の経済原理は、政府管掌の老齢年金、雇用保険、医療健康保険、介護保険の運用に大きな国益を見出す世界でも稀な質の高い社会に達した。

いよいよ、来年から富山市のライトレールの信用乗車システムが始まる。成功すれば、中国が100年かけても実現しない3つの経済原理に融合が可能となる。監視のための人員の経費を節減し、電車の運用効率を高め、乗客が企業と互恵の関係を作りあげることが出来る。これを見学に来られることで、富山の観光の収入が増える。


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若年の高学歴層が、自由民主党を選択している。

2017年10月27日 | Weblog

若者の投票行動は、簡単である。投票所に足を運ぶのは、基本、高学歴層である。大学への進学率が50%に達した今、19歳は大学1年生だから、郷里に選挙権を残して棄権という特殊な事情があるものの、20歳代を全般的に見れば、自由民主党の経済運営の成果として、雇用市場が若者に有利な関係になっているので、全世代を通じて若者の自由民主党の支持率が高い。

これを有名な1960年と比較する。当時は、高度経済成長を掲げた池田内閣の登場のころ、つまり60年安保闘争の世代は、大学進学率が10%台。そのほとんどが、護憲教育を刷り込まれたので、当時の若者の日本社会党の支持率は高かった。その名残が、60歳の後半以上の年齢層の、年金生活者には残されている。

富山湾岸社会主義者も、富山大学の文理学部の文学科、経済学部の1975年までの卒業生に多い。哀しいかな、社会科学を原理の信仰だと刷り込まれた学生は、終生、自己で変革できない。年金生活には、デフレが有利であるから、富山湾岸社会主義を辞めるわけにはいかない。

若者の高学歴層は、地域も職場も、自己の生存に有利なシステムへ転換していく。その先頭に、小泉進次朗というリーダーがいる。これは、中国には見られない現象である。自由民主党の青年局、学生局は、中国共産党を隆盛に導いた青年団の学習力に学んでいるようだ。日本の未来への大事な架け橋である。


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