TMA講師代表:いま盛んな入社式のシーズン。大抵の会社では、新入の社員を代表して、決意を表明させる儀式がある。あれをヤラセル企業は、最初からつまずいている。新入社員たちが、社会貢献をしたいという決意を初日に持つはずがない。総務部、人事課が、これだけ立派な新入社員を採用できましたよ、社長も唯一、威張れる儀式であり、空々しいものがある。
ただし、身体び不自由な新入社員さんが決意表明されるなら、仲間として共に、という気持ちがわく。こういうことは、総務部・人事課の大事な「人事マネジメント」である。
マネジメント学は、主に開発と営業、つまり市場における競争にのみ目を向けられている。この面では、トヨタという教科書になる企業があるし、異業種への参入という面では、富士フイルムという模範企業がある。ところが、総務・人事の部門では、・・・と、残念である。「入社式」も98%までは、他社の横並び、定型化しすぎている。
孔子は、弟子たちの楽器演奏の師匠として、目の不自由な人を招いている。僕は、ある企業の「入社式」を末席で経験したことがある。全盲の社員さんが、その場で社長表彰を受けた。意味するところは深い。実は、企業を意外にダメにしているのは、総務部・人事課にマネジメント学の達人がいないからだ。その点、北陸銀行は立派である。人としての多様性、個性の創造性こそが、企業の資産であり、何が一流企業の条件であるかを知っている。日本銀行からの出向者とは、そこが一味も、ふた味も違う。