富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

the rise of illiberal democracy

2016年12月31日 | Weblog

TMA講師代表の個人研究;the rise of illiberal democracy、この言葉は、今日のワシントンポストの評論文から拾った。アメリカのメディアの大多数は、デモクラシーの発達には、科学知識をもつ知識人の役割、つまり、リーダーシップが欠かせないと考えている。だから、大衆迎合主義には抵抗する。そうした大衆迎合主義の政治家が、選挙で権力を握ると、そこの国の自由主義を基盤とするデモクラシイが失われ、非自由主義のデモクラシーが勃興してきた、と時代傾向が解釈されている。この枠組みの議論を究極にまで推し進めると、トランプ政権を頂点に、各国で自由が抑圧され、ネガティブな民族主義が統制する国家へと向かうという警告に繋がる。アメリカの民主党系の論客が好むグローバリズムでは、ヨーロッパにおける単一ユーロの運動が、狭い地域内での個性的で、保守的で、伝統的な「不易流行」の対抗文化を取り込めなかった負の側面を反省から学べないことになる。歴史は、ある主張が単純化することで硬直し、行き過ぎが是正される。だから、グローバリズムの単純化、硬直化の行き過ぎが10年から30年たって、今は、その逆に、世界で狭い地域社会を再創生する時代へと転じてきた。

大事なのは、自由だとか、民主という言葉の信仰ではない。今や、ツーリズムが、世界各地のオリジナルな地域限定の文化の維持を促していることを踏まえるならば、ツーリズムに含まれる多義性から啓発される世界観が欲しい。アメリカの民主党の論客のアイデアの貧困が、地域に生きるひとの共感を疎外したという反省なしに、illiberal democracyという言葉を言葉として普及させようとしても、地方文化は、世界どこでも域内の「非自由」な狭小な消費構造のうえに成り立っていることを調べ直して欲しい。ともかく、最近のアメリカの人文・社会科学は、定式化が進み、大きな停滞期に入っている。僕は、トランプ現象よりも、アメリカの学問が、すでにこの10年、新鮮さを失ったことが残念だ。 illiberal democracy不自由の国家である中国の知識人は、共産党のおかげで大衆迎合を免れているので、思索が練れており、中国では、次世代の人文社会科学者は面白い挑戦をしている。趙璐『中国近代義利観研究』中国社会科学出版社、2007年は、正義と利益の関する孔子の学説が近代社会にどのように作用したかを検討している。中国が社会主義という隘路を選んだのは、正義の重視ではなく、農業社会における商業的利益を抑制する「義利観」が関係していると読み解ける。アメリカも正義論は、聖書の文化のように、形而上に終わり、対話による巧みな誘導に堕落した。中国では、歴史の豊富な素材があるから、 illiberal democracyのもとでも、とても善い作品が出てくる。


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the rise of illiberal democracy

2016年12月31日 | Weblog

TMA講師代表の個人研究;the rise of illiberal democracy、この言葉は、今日のワシントンポストの評論文から拾った。アメリカのメディアの大多数は、デモクラシーの発達には、科学知識をもつ知識人の役割、つまり、リーダーシップが欠かせないと考えている。だから、大衆迎合主義には抵抗する。そうした大衆迎合主義の政治家が、選挙で権力を握ると、そこの国の自由主義を基盤とするデモクラシイが失われ、非自由主義のデモクラシーが勃興してきた、と時代傾向が解釈されている。

この枠組みの議論を究極にまで推し進めると、トランプ政権を頂点に、各国で自由が抑圧され、ネガティブな民族主義が統制する国家へと向かうという警告に繋がる。アメリカの民主党系の論客が好むグローバリズムが、ヨーロッパのおける単一ユーロの運動、それらが狭い地域内での個性的で、保守的で、伝統的な「不易流行」の対抗文化を取り込めなかった負の側面を反省しないことになる。歴史は、ある主張が単純化することで硬直し、行き過ぎが是正される。だから、グローバリズムの単純化、硬直化の行き過ぎが、10年から30年たって、今は、その逆に、世界で地域を再創生する時代へと転じてきた。

大事なのは、自由だとか、民主という言葉の信仰ではない。今や、ツーリズムが、世界各地のオリジナルな地域限定の文化の維持を促していることを踏まえるならば、ツーリズムに含まれる多義性から啓発される世界観が欲しい。アメリカの民主党の論客のアイデアの貧困が、地域に生きるひとの共感を疎外したという反省なしに、illiberal democracyという言葉を言葉として普及させようとしても、地方文化は、世界どこでも「非自由」な消費構造のうえに成り立っていることを調べ直して欲しい。ともかく、最近のアメリカの人文・社会科学は、定式化が進み、大きな停滞期に入っている。僕は、トランプ現象よりも、アメリカの学問が、すでにこの10年、新鮮さを失ったことが残念だ。 illiberal democracy不自由の国家である中国の知識人は、共産党のおかげで大衆迎合を免れているので、思索が練れており、中国では、次世代の人文社会科学者は面白い挑戦をしている。趙璐『中国近代義利観研究』中国社会科学出版社、2007年は、正義と利益の関する孔子の学説が近代社会にどのように作用したかを検討している。中国が社会主義という隘路を選んだのは、正義の重視ではなく、農業社会における商業的利益を抑制する「義利観」が関係していると読み解ける。アメリカも正義論は、聖書の文化のように、形而上に終わり、対話による巧みな誘導に終わった。中国では、なにせ歴史の豊富な素材があるから、 illiberal democracyのもとでも、とても善い作品が出てくる。


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京|津|冀|晋|蒙|辽|吉|黑|沪|苏|浙|皖|闽|赣|鲁|豫|鄂|湘|粤|桂|琼|渝|川|黔|滇|藏|陕|甘|青|宁|新|鹏

2016年12月31日 | Weblog

TMA講師代表:個人研究 標題の漢字の羅列、なにを意味しているか、わかりますか?京は、北京、津は天津であると想像できますね。問題はそのあとです。僕は、最後の鵬がどこか分からなかった。それは、深圳です。経済特区なので、制度が他の都市圏と異なります。なお、上のように漢字一文字で表すのが発達したのは、電報の世界で普及しました。現在では、自動車のナンバープレートに採用されています。鵬をのぞく解答は、『新華字典』の巻末に一覧表があります。中国語を学んでいても、全て正解できないと、これからは通用しなくなります。

いよいよ、中国は国内市場における大衆消費の時代が、本格的に開幕します。日本企業の大部分は、第2次産業でも第1次産業の「後工程」の製造業から、第3次産業での需要につながる商品提供へと大きく進んでいます。日本の国内に限定した商品には、人口減のため、すでに縮小しています。主力は、中国生産、中国市場展開、その一部を日本に輸入して、国内市場に回すという日本市場の副次化が進んでいます。

さて、日中におけるビジネス公用語はなにか?それは、英語ベースの漢語普通語となります。固有名詞は、漢語普通語のピンインが普及しているからです。英語は、アジア式の英語でも問題ありません。中国の大卒は、英語ベースの交渉を好みます。それは、海外華人・華僑のあいだでも、漢語は簡単な普通語しかできなくて、難しい専門用語の世界は、英語で標準化されているわけです。上の地名は、会話では使いません。一音節では、不便であるためです。しかし、中国の国内市場は、おおきな地域経済圏に分けられます。京|津|冀|晋|蒙は、華北経済圏、辽|吉|黑は東北経済圏、沪|苏|浙|皖は長江下流経済圏、

渝|川|黔|滇は、四川省、貴州、雲南、長江上流域、これからの経済成長が最も期待される地方、まだ地域経済圏としては発達の途上。話題はつきませんが、日本の大学で中国語の単位を取得していても、『新華字典』を使いこなせないレベルで終わらせているのは、大学の管理責任です。


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善き人材が外に流れ、悪しき人材のみ市場からの誘いがないから内部に停留する。

2016年12月21日 | Weblog

TMA講師代表の個人見解:企業を訪問すると、社風がかなり分かる。形式として、良き人材を求める基準を大学センター試験を標準に考えてきた企業組織は、実は、内部での優劣を競う学閥が発達する。富山の場合、過去に就職御三家と呼ばれた企業がそれである。いつも内部の学閥間の人事の抗争を念頭に行動しているのが、外部からみるとすぐ分かる。しかも、良き人材が外部に流れにくいので、天井の高さが固定している。なお悪いことに、上位の官庁からの出向者が天井に張り付くから、出身大学の偏差値を重視する企業や組織は、良き人材が腐り、悪しき人材が停頓し、互いに「あいつ等」と蔑視しあう。

しかし、百年企業やそれに近い長寿の中小企業は、一流の掃除係り、自動車の管理、スケジュール管理など、業務の名人を育てている。職能者の職能が、余人をもって代えがたい磨きがある。そもそも余人がないからといって、自分を磨かない人材はいない。こうした人材の磨き込みが非常のよき届いている企業が地域を支えている。その職能に普遍技術としての市場性がないために、生涯その企業において、高齢者となっても雇用されている。しかし、それを制度として固定化すると、高齢者に特有な業務の定型志向に陥る。適度な新陳代謝がいる。

問題の根源は、実はトップ層にある。トップの能力に経営管理者としての市場性があれば、経営不振の事業体を傘下に治め、企業集団として規模を大きくしていく。しかし、富山ではその逆に、トップが身内から次世代の経営者を育てそこなった場合、見事に転落、停滞しているのに気が付いていない。飲酒に溺れるという低次元のつまづきが原因であるというのも悲しい。

現代では、人材にも広範な市場があり、経営に求められる上位層の経営技術には、横断的な流動性が求められる。こうした点をよく考え、富山大学経済学部の経営学科のために、「経営学の現場」というテーマの寄付講義に経営者の登壇をお願いしている。TMAの一番に大事なワークとなってきた。


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高度専門知識と柔軟な合意形成の脳力と年収の比例関係

2016年12月17日 | Weblog

TMA講師代表の個人研究:富山県の県民の勤労所得は、個人当たり全国の30%低い。全国優良企業を仮に年収800万平均とすると、560万円となる。このような低さに合わせ、地方自治体の職員も低い。富山の場合、母体として兼業農家がベースにあり、女性の正社員としての勤務環境があるので、一家全体の総所得と総消費との間に貯蓄が生まれるような、「家計が効率性の高い」地域経済を母体としている。地域のストックマネーも低水準ではない。ところが、全国企業の富山支店、富山工場、富山研究所となると、東京で生活できる年収800万円と基準とする基本給で給与が決定されるから、富山の地場の企業との給与水準の差はかなり大きい。さて、現代の若者は、見事なほど、希少な高度専門知識のある人財で、なおかつ、柔軟な合意形成の脳力をもつ人材には、極めて高い年収が得られる仕組みに出会っている。反対に、派遣労働を強いられる人材層は、異常に自我意識が強く、自己中心のストレスが強くなりすぎである。原因は、コミュニケーション能力を欠いていることにある。ある研究によると、幼児期の家庭内教育がある家系と、そうでない家系との差異が、深く影響している。さらに、高等学校時代の部活こそ、柔軟な合意形成の脳力を鍛えるので、最終、企業の現場では、高度な専門知識が同じならば、コンセンサス形成の脳力をもつ人材がより高収入にランクされる。これは、全く自然調節された合理的な選抜の制度である。

とはいえ、こうした高度知識人材だけでは、経済社会は成立しない。消費者としての勤労に従事するサービス労働の収入環境を底上げしないと、日本国内にある優良な家系そのものも失われる。貧乏人が食いつなげる仕組みを奪ったら・・・、この問題が圧縮されているのが高等学校教育である。それが真に機能していないから、東京のエリート校で、そのエリート意識で性犯罪を犯す罪人が出てくる。実は、東大にも、京大にも落ちこぼれが多数いる。

それでも、大多数は、上手くいけば高度専門知識に巡り合い、高度な学術研究をとりまく国際的なコンセンサスの形成に寄与している「日本国の核心」に属する人脈につながる。「格差社会の解消」は唱えません。なぜか、最後まで、修行しているひとたちの群れに属していたいだけです。死を迎え後悔しないために。そのために、自己修養の学問である「論語」を万能のお経として精読しています。


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政治談議でモノを考える悪いクセ

2016年12月17日 | Weblog

TMA講師:世の大人には、ある種の脳力の限界に気が付かないひとがいる。高齢者になっても、政治が歴史だという単純化から免れていない人たちがいる。政治が大事なのは、まず、国家指令型経済原理の効用にかかわる公共投資の質的、量的な拡大である。それには、税収の伸びしろが説明変数となる。税収は、市場経済原理の効用が最大化したときに増収に向かう。このとき、税の制度が硬直していると、ほとんどありもしない陳腐な贅沢品への高い税率など、指令型経済原理が市場経済原理との間でミスマッチを起こしている状態が長期化すると、閑散な市場から多くの税収を期待し、盛り上がっている新製品の市場には低税率が掛けられる。こうした問題は、専門の官僚が議論をリードするべきであるが、政権政党の税制調査会という仕組みで、業界との利益の調整が行われる。だから、市場経済原理において、国内総生産が最大化しても、指令型経済原理の基盤となる税収効果が最大化しない。

ところで、2016年は法人関係の税収が想定より落ち込んだ、原因は、年初からの円安である。主な日本企業は、すでに脱日本を遂げている。だから、真の利益は世界の現地通貨か、国際通貨である米ドルによりストックされている。円安になれば、日本企業の海外にストックされたマネーは国内に還流し、円表示の企業収益を押し上げる。この自然の市場経済原理が世界史の柱である。こうした経済分析の基礎が理解できる人は、少数派である。新聞でいえば、日本経済新聞を読みこなせる人材は、圧倒的に少数派である。

大多数の国民は、地球上の椅子取りゲームには熱心である。明治維新の前夜から、日本人はかなり広範に地球上の勢力圏に関心を寄せていた。日本が日清、日露の戦争、さらには泥沼の中国との戦争、最後は無謀なアメリカとの戦争、誰が戦争遂行者であるか、まぎれもなく大多数の国民の熱気のなせるわざである。特に新聞メディアは、明治以来、その国民の熱気を市場として戦争報道をバネに情報産業として成長してきた。ところが、市場経済原理からみると、新聞広告の収入が激減している。メディアの中心は、インターネットに移行している。可処分所得をもつ消費市場の主体は、完全に新聞離れをしている。こうした消費社会の変化は、インターネットが創りだした「新しい地球市民化」へと向かっており、世界各国の国民国家の枠組みへ回帰する土着化とのあいだでも、激しい論争の時代へと移行している。もはや、60歳以上の大多数が主役となれる時代は過ぎ去るべきだが、依然として政治談議でモノを考える悪いクセに育てられているため、見直しがきかない。しかし、時代の主導権は「新しい地球市民化」にあり、日本はその先進モデルになれる可能性をもつ地球最大の、抑制された国民国家として成長する余地がある。東京都政への都民参加、地域ボス型政治の克服、いよいよですね。


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「論語」学而編第13章、現代口語訳に挑戦

2016年12月14日 | Weblog

原文は、第十三章 「有子曰、信近於義、言可復也。恭近於礼、遠恥辱。因不失其親、亦可宗也。広徳館版の訓読は、「有子曰く、信(しん)、義(ぎ)に近づく、言(げん)復(かえ)すべきなり。恭(きょう)、礼に近づく、恥辱(ちじょく)に遠(とおざ)かるなり。因(よ)る、その親(しん)を失わざるも亦(ま)た宗(むね)とすべきなり。」とある。中村が新たに試みた現代口語訳は、次のとおり。

口語訳:「有子が言われた、言葉での約束が正義に近いなら、その言葉のままに行なってもよい。恭順なふるまいが礼儀に近いならば、恥ずかしめを遠ざけられる。因って、親(しん)近(きん)さを失わないならば、礼の宗(むね」にかなっているといえる、と。」

訳者注【親は近親の家族、宗は宗法制の大同族を指す。義と礼の根本を宗法に喩(たと)え宗(むね)、近を親(ちかしさ)に喩えた暗喩と解釈できる】


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安倍政権の耐用年数を予測する

2016年12月10日 | Weblog

TMA講師代表の個人研究:安倍政権の最大の利点は、経済産業省の世界戦略を基軸としていることである。そのためにTPPの重点を置き、さらにロシア外交に力点をおき、さらには法人税の引き下げなどの企業政策を重視してきた。安倍政権の最大の敵は、官僚集団の主流はである財務省であり、東大を中心とする超エリート集団である。

自由民主党の総裁の任期を延長したから、安倍政権は長期政権として耐用年数が制度的には最大になった。しかし、トランプ新大統領に最初に合った国際政治家としての話題で人気を保ったが、ロシア外交、TPP戦略は、経済産業省に軸足をおいた安倍政治は基本的にシナリオが破たんした。にもかかわらず延命できるのは、野党に政権担当の脳力がないことである。民進党の野田幹事長は、財務省のトロイに馬として利用され、政治生命を失っているが、伝統的な財務省の力を信奉し、安倍政権に敵対する官僚集団と内通している。

問題は、経済産業省であれ、財務省であれ、あるいは外務省であれ、官僚集団の内部において、日本国という経営主体が、軍事戦略・戦術・情報に軸足をおく「戦争遂行力のあるロシア、アメリカ、中国、イギリス・・・北朝鮮、韓国」という古典的な国家群に対し、日本が「戦争権を放棄した」特殊な新型市場国家として、何を目指すのか、その世界戦略の図が描き切れていないことに問題がある。その意味では、財務省はハト派、経済産業省はタカ派である。もしタカ派が勝とすれば、TPPの実現、中国の同盟国であるロシア外交、この重要施策に成功しないと、経済産業省がリードする安倍政権の賞味期限は、2017年の1月にキレる。解散総選挙に踏み切り、財務省ハト派の嫌がる改憲風潮を高めると、耐用年数は大幅に延長する。

対外戦争能力のある武装国家群に取り囲まれている国際環境のなかで、「第9条を墨守」することは日本企業の国際環境にはプラスだと考えるハト派を斥け、世界を2分割する日米同盟に基軸を置くタカ派の現実主義が、現実の利益をもたらすには、トランプ政権の耐用年数4年、実質3年の行方を占うことになる。つまり、アメリカを説明変数とする相関性の問題に帰着することになる。アメリカのメディアは、リベンジをすでに始めている。


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丸栄運輸機工㈱の特殊な技術

2016年12月10日 | Weblog

TMA講師代表:一般に運送屋といえば、トラックでモノを運ぶという物流企業に過ぎない。けれども、富山では、機械工業が発達し、受注生産された機械を輸送する仕事には高度な技術を必要とする。まず、機械を製造した企業のなかにおもむき、そこで図面と照合しながらパーツごとに解体の作業を行う。それを運輸企業の倉庫で保管し、発注先の工場の受け入れの日時に合わせ運びこむ。普通の運輸業ではここまでで業務終了となる。

丸栄運輸機工さんは、そこから図面を見ながらパーツを組み立て、機械を試運転し、生産ラインにマッチングして稼働するまでの立ち上げをもって業務が完了する。だから、普通のトラック屋さんとは異なる。機械産業からみれば、顧客サービスのためのロジスティクス・マナジメントを代行してくれる企業となる。

丸栄運輸機工さんの課題は、2つある。1つは、自らが営業して受注量を拡大できないことである。主なメーカーである不二越が受注量を伸ばせば、丸栄さんの受注も増える。このボトルネックを解消するという課題がある。それには、運び込んだ納入先の企業との営業チャンネル拓くコンサルティングの能力を磨くことである。納入し試運転した機械のアフターケアーを無償で行い、生産ラインのなかでのマッチングや、改善点を発見し、解決するための脳力が求められる。もう1つの課題は、最近注目のIT技術を駆使した情報技術への対応である。これは、富山の機械産業の最大のネックである。

おそらく最新のIT技術による生産工程管理と自動化のための技術課題に関し、愛知県のDMG森精機と比較すると、横綱と序二段くらいの差がついている。この落差は、10年後には決定的な落差となる。だから、丸栄さんが、川上に富山の機械産業だけをおいていると、ローコスト、低価格帯の機械運輸サービスという狭い市場に追いやられる。丸栄さんは、三菱重工系のフソウのバス会社との連携があるので、愛知の機械産業を川上として、全国でも広島や、東北方面を川下とする戦略の再編が期待される。それと、単純な機械単体ではなく、ITによるリレーショナルな機械におけるプログラミングを得意分野とする工業高専の役割に注目する必要がある。資産の保全は人財にあり、勝負は納品先の企業の高度なIT技術の要求に応じられるか、否かである。

少し厳しい経営評論を書いたが、機械と情報、つまりロボットに強い学生には、伸ばせる企業であると推薦できる。会長の高木武男さんは、それだけの度量のある人物である。また、不二越の油圧系のロボットは、パワーの強いロボットなので、精密機械工業よりも、大型機械の生産ラインに適性がある。丸栄さんはが、富山の機械産業にとり、納品先のアフターケアーを含む提案型の営業が出来たときには、富山版の日立物流になれる。これから10年の富山の産業の浮沈がかかっている。意欲ある学生の挑戦を期待したい。

 


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アメリカの新しい中国大使は、テリー・ブランスタド(校正)

2016年12月08日 | Weblog

Terry Branstad, the Iowa governor who has long embraced China as a market for his state’s pork and soybeans, was tapped Wednesday by President-elect Donald J. Trump to represent the United States in one of its most complex and increasingly contentious foreign relationships, as his ambassador to China.In choosing Mr. Branstad, 70, an amiable politician who likes to describe President Xi Jinping of China as an “old friend,” Mr. Trump sounded a softer note alongside his unrelenting criticism of China’s economic relationship with the United States.以上は、ニューヨーク・タイムズのWEB版の記事である。

トランプ外交の試金石は、中国に対する関係をどのように構築するのか、ここが注目されるところである。新しい中国大使には、チャイナ・ビジネスの経験が豊富で、副主席の時期の習近平とも面識があるテリー・ブランスタドを選んだという。かれは、アイオワ州の州知事、ローカルな世界では著名な、温厚な政治家で知られている。国際的な政治外交、軍事を専門としない人物である。ビジネスの専門家を起用した。彼はアメリカ、アイオワの豚肉と大豆を中国に輸出する業務に精通している。おそらく、トランプは中国との関税交渉こそ、新たな関係の構築のカギとみており、アメリカの農産物の輸出を有利にする関税交渉を前面に押し出すというメッセージを北京に向けて発信したと分析できる。

なお、駐日大使の人事よりも、駐中大使の人事が優先事項であるのは、現在、中米関係が相互に疑心暗鬼になっているからである。中国側は、テリー・ブランステタドがパイプであると分かれば、具体的な事前交渉を重ねることができる。ただし、トランプは台湾を一つの中国から「分離」された地域とみなし、駐中大使の権限は、台湾には及ばないことを中国側に原則を提示している。また、政治・外交の高度な国家レベルは、トランプ自身が直接に担当することになる。だから、アメリカ参大統領は、政経を分離し、まずは通商経済貿易の実務家を駐中大使に選任したといえる。おそらく大統領選挙への貢献という報奨の趣も否定できないだろう。

 


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ワシントンポストの記事には、価値がある

2016年12月07日 | Weblog

Trump says Japanese corporate giant is investing $50 billion in the U.S.

It was not immediately clear how much of the investment was new, and how much was previously committed. Softbank CEO Masayoshi Son said in an interview that the money will come from a $100 billion joint investment between the company and Saudi Arabia. By Ana Swanson 以上は、ワシントンポストのWeb版の記事である。

日本の新聞でも報じられているが、トランプ大統領は正式の就任のまえに、大胆な政治・経済外交を展開している。ソフトバンクのCEO孫正義氏を招き、ソフトバンクとサウディアラビアとのジョイント企業との共同出資により、アメリカ合衆国内で雇用を生み出す約束を取り付けたと公表した。

日本の新聞報道では、 a $100 billion joint investment between the company and Saudi Arabia. とあるサウディアラビアというイスラム圏のなかの親米的な国家とのジョイント投資ビジネス、総額1000億ドルからの500億ドルという背景の情報は欠落しがちである。大事なのは、トランプ政権が、イスラム圏の対し、全面排斥ではなく、日本とのジョイント企業というアメリカの保守層に受け入れ可能な選別的な対応により、対イスラム圏への選別政策を採用したという報道の中身である。しかも、ワシントンポスト紙は、慎重に注釈している。新たに増やされる投資額がいくらで、その詳細は不明であると念をおしている。

ネットですぐに世界の主要紙が読めるから、情報の世界では、富山も田舎ではありません。勝手に、田舎にしてるのは、貴方がたです。


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中国共産党は、マカオのカジノ産業の存続を認めている

2016年12月07日 | Weblog

TMA講師代表の個人見解:民主主義は、正しいリーダーシップのもとで成立する。誰をリーダーとするのか?それを選ぶのが、選挙という制度である。リーダーとなる候補者には、政治哲学、政策、実現のための具体策という「政策科学」への道筋が求められる。それを立案するには、特定の業界の目先の利益ではなく、総福祉への貢献を基軸とする社会科学の基本原理の探求が求められる。こうして、最適の解答は、少数者の知として生まれる。民主主義の対極にある「先知先覚」の人々の役割なしに、民衆の総福祉は進まない。

さて、賭博、博打の場であるカジノ産業を合法化する法案が成立することになった。この法案の賛否は、民主主義と政策科学との関係につき、大きな応用問題である。おそらく積極賛成派は、数的に最大ではない。大多数は、やむ負えない、という空気、それ以上に好ましくない、という道徳論者もいる。答えは、完全雇用と国民所得への寄与率である。公営競馬を例にとっても、低層、下層の勤労者の雇用には決してマイナス効果があるわけではない。公営のボートレースも、その収入による社会貢献も、すでに無視できない水準にある。カジノ産業により、地域経済が成立する事例は、モナコ、マカオがある。もちろん、アメリカのラスベガスの事例も例外ではない。中国共産党は、マカオのカジノ産業の存続を認めている。その場合、中国共産党には、黒社会とよばれる犯罪集団を抑え込むだけの治安維持力がある。日本の場合、警察力がどれだけ及ぶか疑問であるが、カジノ産業など公営賭博を公認することは、警察官僚が退職後の新たな職域を広げ、民間の警備会社に大きなビジネスチャンスを広げることになる。

「賭博に溺れる富める弱者」の富を社会へ還流させるマネーフローを増進する仕組みがあることで、逆に、堅実な勤労国民の日常倫理が保てることになる。政策科学は、不思議な学問であるが、雇用と税収、そして暴力団の抑制につながる私営賭博の厳禁という政策効果が期待できる。と同時に、官側の腐敗があれば、私営賭博の厳禁という「性悪」を断ち切るすべも失われる。国家がカジノ産業の合法化に踏み切るには、警察権力の側に腐敗がないことが大前提となる。


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香港人の自治の持続性と節度

2016年12月06日 | Weblog

TMA講師代表:香港に比較的に長く滞在した経験から、香港人は確かに彼ら自身で自治できる基盤があることを承知している。その基盤は、香港の全ての土地ではないが、香港島と九龍半島は、香港政庁が地主であり、その土地の借地権の収入により香港の特別行政区は永続できる。したがって、民主的な統治方式であれ、行政長官が独裁する仕組みでも、香港政庁はその土地をイギリスの植民地時代であれ、中華人民共和国が管轄する領土内であれ、土地の借地権の収入により、香港の自治は持続する。

しかし、香港は中華人民共和国の外側に出ることは不可能である。イギリスが清朝政府と結んだ条約を中華人民共和国政府(北京政府)は継承しているからである。イギリスは香港の住民の自治政府に「返還」することを選択できなかった。中国共産党は、香港人社会になかに党組織を構築し、香港の独立運動を阻止してきた積年の政治資産がある。中華キリスト教徒が政治的に多数派ならば、中華キリスト教の旗のもとで、独立する理論も構築できた。しかし、現実は逆に、広東語しか理解できない中層、下層の、道教的な色彩のある民衆文化が多数派である。

香港広東語は、中国本土の広州広東語と異なるが、中国の共通語である北京語をベースとする音韻体系に対し、香港ー広州は同じ言語圏となる。人的な交流の面でも、香港人は広東省、福建省とのつながりは現在でもつながっている。

香港が独立し、独自の国境の線引きを厳しくすると、香港人みずからが不便になる。そこで、中華人民共和国の領土内に属する便宜も捨てきれない。しかも、大学進学となると、今の方が選択肢が広い。香港の企業家にとっても、香港ドルという地域通貨でありながら、どの国の通貨とも互換性のある仕組みは捨てがたい。「特別行政区」としての「香港」は、武装する独立国家としてよりも、中華文明の基本である「城市」(都市)の自律性が、最も持続可能な政治・経済・社会体制だといえる。

 


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台湾の独立論は、世界史への貢献度が低い

2016年12月05日 | Weblog

TMA講師代表:中共中央が実効支配する中国大陸の現状にたいし、台湾島の独立は、世界への貢献度が低い。なぜなら、中国大陸の現状変革にとり、台湾は、ソフト・パワーによる大陸改革の大きな前進基地であるからだ。もし、独立すれば、世界の各国は、中国か、台湾かの二者択一を迫られ、世界戦争の新たな火種となりかねないからだ。中共中央が、一つの中国にこだわっているのは、長い目で見て、中共の政権が永久に持続するとみているからだ。しかし、中共も党内に複雑な派閥がある。台湾人が大陸にもつ影響力を活用し、習近平政権の中枢にある浙江グループもなりたっている。

それ以上に残念なのは、台湾の民進党がもっている政治哲学は、「孫文の外」である。曲がりなりにも、中共中央は、「孫文の内」にある。台湾の国民党が、「孫文の内」なる非マルクス主義の社会主義を深く理解できていないから、台湾での国民党の劣勢が生まれた。孫文の社会主義は、経済学的には制度学派である。戦後日本の福祉政策も、制度学派経済学が基本である。台湾は一つの中国に取り込まれているが、中央銀行をもち、台湾ドルという地域通貨を管理運営している。アメリカ・ドルとの互換性をを失っていない。また、孫文はキリスト教と儒学とが混合した哲学を持っていた。この孫文主義の原点は、中国共産党の歪みや独善を排除するための理論を立てる貴重な基盤となりえる。

僕の書いた「孫文の経済学試論」(法律文化社)は、台湾の日本語を読める人たちに再読されているそうだ。いずれにしても、台湾の国民党が孫文主義の原点に立ち返らないで、政治哲学の深みのない民進党に敗れ続けるならば、それこそが人類の王道に反する。


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国境なき世界へ向かう困難と偏狭な民族主義への回帰

2016年12月03日 | Weblog

TMA講師代表:グローバル企業の出現により、地球的規模の「国境なき世界」論は、20世紀よりも21世紀になり、それを支持する人が増えた。理由は、かなり広範囲な国際結婚の広がりである。しかし、歴史の大勢は、まだグローバル化が主流ではない。しかも、グローバリズムを推進する主体はどこにもない。世界政党が消え、全ても政党が国家の寄生しているからである。世界史には、マルクス主義の世界政党が存在した時期があった。けれども、民族間の利害の対立が克服されないままに、各国の共産党が分立することになった。例外的には、ユーロが地域グローバリズムとなったが、ユーロそのものを支える単一の政党はない。種族主義的な民族の政党・政治運動に回帰する動きが主流になった。

偏狭な民族主義への回帰という点では、今や例外なき共通現象となっている。しかし、それにも細分化の極限がある。2017年からは、アメリカ国民の選択により、偏狭な民族主義国家の露骨な利害の対立とその調整のため、露骨な局地・限定的な戦争が、さらに常態化するだろう。

歴史は、グローバリズムとナショナリズムとの左右の振幅を伴いながら、高次の調整へと進む。2020年のアメリカ大統領選挙は、ひとつの目安となる。日本ン経済と経営組織にとり有利なのは、グローバリズムである。しかも、日本流のグローバリズムである。文化的なソフト・パワーを主体に、日本が孤立しないように、なおかつ周辺国のナショナリズムによる軍事攻勢に耐えるには、リスク・ヘッジの限度内で、国内の右傾化と底辺層への福祉を徹底させることが望ましい。その際、朝鮮半島からの近代、現代の移民の問題である。「在日」を排斥することで、日本人が失うものは大きい。かといって、外国人選挙権まで整えるのは、理屈を明快にしすぎる。左右の両極を避け、中間の「ぬるま湯」が最適の選択である。憲法に関心を持ちすぎるのも、まるで無関心なのも、両極端である。我々には「中庸」という、「あいまいだけど正解を含む領域知」に生きる知恵がある。答えは、左<中庸域(正解が隠されている)<右という不等式の範囲で示されている。孔子は、両極をとらない、と。


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