富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

予測の精度をたかめる力

2017年02月24日 | Weblog

TMA講師代表個人研究

全てが変数であるが、ある目的変数の変動に相関して連動する説明変数を見つけておくと、予測の精度がたかまる。普通の学力では、前年度の対比が用いられる。実は、前年度との比較は、収入なり、支出なりが、長期的に不変な場合において成立する。問題は、市場価格の変動の要因により、景気に敏感に反応する分野では、予測の精度が問われてくる。

あるマンションの管理組合法人の理事を務めている。収入の対前年度の変化は、ほとんどゼロである。変動するのは、共用の電気料、水道料、ボイラー用の重油代金である。すべて、支出要因である。その価格変動は、究極、国際的な原油価格の変動を主要因とする変数である。このような世界は、5年平均の基準値を割り出し、計算上の「特別勘定」を行い、価格変動のリスクに備えた蓄えが必要である。誰が言いだすか、見守っているが、理事の学力の水準では、分らないから面倒、だからやらないという停滞が続く。金利についてもそうである。理事長と会計担当の理事の知識が薄いと、普通預金の1億単位の預金を3か月から6か月も遊ばせる。恐い、知らない・・・の悪循環である。

一般人よりも少し上の職業社会の経験者でも、理事の学力の限界は地域レベルではかなり厳しい。原因は、学校の教育にある。多変量解析と、変動リスクのヘッジは、すでに高校のどのレベルでも学んでおかねばならない。要は、情報教育の深み、とくにエクセルの高度利用が軽視され、数学者を育てるアカデミックな数学教育が、逆に、国民の統計学の学力の進展を妨げている。もう一つは、価格というものは必ず適正な水準での均衡点を求めて変動しているので、日々新たに変化しているという日常感覚を養うことである。

 

 

 

 


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アメリカが世界経済の機関車役を回復する(校正・補正)

2017年02月04日 | Weblog

TMA講師代表の研究:アメリカがリーマンショックにより、経済不調となり、それに代わり救世主となったのが中国共産党による過剰な財政支出であった。この結果、世界の大恐慌は回避されたが、今度は、中国経済の生産力主義を原因とする過剰生産により、資源価格が下落し、グローバルな景気後退が起こった。在庫を作りすぎという初歩的なミスを犯した。

アメリカは、リーマンショックの段階ですでに社会インフラの設備更新の期限が切れていたのに、そのまま抑制的な財政運営をつづけ、本来に備えている社会インフラの設備投資が遅らされてきた。トランプ大統領の選挙基盤は、自動車産業の停滞と関係していることだけが強調されているが、実はアメリカでは、IT産業が第三次産業からより高次なコンテンツへ、さらに小売業のIT化に向い、日本では、逆に第一次産業(鉱業)と第二次産業のロボット化を生み出している。富山でも、消費市場ではトイザらス、コストコの進出を許しているが、他方で、アメリカの送電線の要にある変電所の変電設備の素材の多くは富山県内で生産されている。ITからモノづくりへ進んだ日本に対し、アメリカではITから第三次産業の高度化が進んだ。ただ、日本にはIT技術の核心ではないが、その周辺技術では欠かせない技術がある。

ここで日本の産業界は、依然として人力を頼りにする高度な工場を中国などアジアに置きながら、アメリカ市場向けの商品をアメリカで最終製品として提供できる技術を磨いてきた。アメリカの飛行機産業と日本での部分生産との関係を例にあげることができる。

ここへきて、トランプ政権がマスコミに噛みつかれやすい問題児を演出するなかで、世界からのパートナーの再選択を推進し、アメリカの財政投資の産業設備更新に協力関係を構築できる企業の再選別を進めている。こうした方向軸は、すでにアメリカに頭脳中心を移している三菱UFJ、野村証券、住友系の製造業など、IT活用の最先端では、好循環が期待される。反対に落後していく典型は、神戸製鋼である。

富山県では、アメリカ市場への対応力を完備しているのは、YKK、不二越、スギノマシーン、キタムラ機械などである。日医工など薬業界はその端緒に過ぎないが、すでに始まっている。いよいよ富山県による「アメリカ村」に着手しないと、次の世界史の波に乗りおくれることになる。トランプ政権は、想定される以上に現実主義である。第一、アメリカの政権の動態で極端の左右されるような日米経済関係は構造としては考えられない。あるとすれば、ストックマネーの流動性に左右されるマネーフローの面である。

 

 


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