富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

北朝鮮、石油なくとも石炭で冬が越せる

2017年11月30日 | Weblog

北朝鮮が、中国からの原油の輸入がさらに厳しくなれば、厳しい冬を越すのが困難だという風評がある。安倍総理が、国会でそのような観測発言をしている。これは、間違いである。暖房は、石炭系の燃料でまかなわれるから、庶民にいたるまで厳寒で脅かされる可能性はない。しかも、北朝鮮の石炭は不純物が少ない。非常に良質である。製鉄の原料として輸出可能であるが、経済制裁で輸出できないので、国内消費には余剰がある。実は、北朝鮮の石炭への需要は、日本側にある。原発が再稼働できないので、石炭火力に依存することになる。品質のよい北朝鮮の石炭は、環境対策にも比較優位である。経済制裁は、日本の、特に日本海側の経済圏にとり、制約条件を意味する。上海は、杭州湾に原油輸入と精製貴著があるので、北朝鮮⇒大連⇒上海をルートで、燃料用の石炭の輸入が遮断されても絶えられる。しかし、製鉄用となると、できれば北朝鮮産を使用したい。しかし、大幅な銑鉄の生産制限を行っているので、現状は上手く均衡している。

北朝鮮が強気でおれるのは、アメリカの大統領専権が絶対的に安定せず、場合によれば、財政破たんが経済不況に直結する危機を抱えているからである。北朝鮮が経済制裁で経済が冷凍され、凍結するという想像は禁物である。氷結に時期には、重い貨物は氷上を滑らせて、小さなエネルギーで運送できる。木材や山奥の鉱物資源は、氷結はロジスティクスに不利ばかりとはいえない。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

危機感が共有できていない富山の企業

2017年11月26日 | Weblog

富山の産業は、重化学工業を主体とし、素材の生産・加工のローコスト効果で生き延びてきた。また、先端といわれる製薬業でも、後発薬の小ロット、ローコスト生産により受託を柱に伸びてきた。ところが、量子コンピューターの実用化の時代に入ると、複雑な計算科学による原子レベルの理論設計や、膨大なBigData処理による多変量の解析が可能となりはじめた。こうした時代が到来しているのに、先端科学技術開発の牽引力が、富山には存在しない。産業技術の面では、相対的にアナログ時代の、ローコストの定型労働により、持続可能な、いわゆる3交代のファクトリーに依存する「バックヤード」部門へと追いやられてきた。

最先端性を欠いていること、そこに危機感が無いと、すでに周回遅れしているレースにおいて、さらに10年の差をつけられることになる、神奈川、埼玉に存在する企業との、技術の落差への危機感が共有できていない。先端工学の知識のゆたかな首長が期待され、リーダーが果たす役割は大きい。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マテリアル科学の相対の劣化

2017年11月25日 | Weblog

神戸製鋼、さらに三菱マテリアルにおいても、素材の強度に関するデータ偽装が表面化した。この原因をマネジメントの問題として追及しても、実は、それは組織管理論に終わる。何が劣化を招きいれたのか?それは、マテリアルの生産に科学が、相対的に劣化しているからである。周辺の科学の進化に応じて、マテリアルの物性の物理学が、21世紀の科学の最先端から大きく遅れ、優秀な研究人材が参入していないからである。新素材を開発する場合でも、A素材とB素材を粉末にして、手仕事で混合し、高熱、高圧で融解して合成してサンプルを生み出し、それにニュートン以来の伝統力学で物性のテストをするという方法から、神戸製鋼、三菱マテリアルの背後内ある国立大学の大学院の研究が停滞しているからである。最近は、磁性に関心が集中したため、強度という古典的で、地味な研究の存在感は弱くなっている。

村田智【ムラタサトシ】さんの「可能性の工学」(『学士会会報』第927号)を読むと、基本は量子力学で、高度な計算科学により、理論設計から、形而下のモノに演繹する方法での新マテリアル科学の方法が提示されている。すでに、日本国のトップは新次元に進んでいる。このような角度から、富山の素材産業を観ると、技術史の世界では、何周もの周回遅れであるといえる。富山の製造業は、2020年代の大劣化が避けられないのである。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国と北朝鮮との社会福利の逆転

2017年11月22日 | Weblog

われわれは、中国の方が、国家としての社会福利が充実し、同じ朝鮮族でも、中華人民共和国に属した方が社会福利に恵まれ、朝鮮人民共和国では不遇であると思いつ図けて来た。実は、過去数年までは、そんなに単純な比較ですむような状況ではなかった。ところが、ここ数年、中国は国家予算で公共投資として、さまざまな社会福利の保険制度を充実させてきた。特に大きく改善されたのは年金制度、健康保険制度である。北朝鮮は。2000万人の人口で、全て軍隊の軍事組織の「互恵型経済原理」により囲い込むことが可能であったので、その体制から抑圧された反体制の志向をもつ亡命者が、脱北者として扱われてきた。いうまでもなく、北朝鮮の軍事組織の配給・分配の「互恵型経済原理」は、基本、貧しさの共有構造には変わりない。しかし、それ以上に、中国の辺境の農民、農村、農業の貧困で、劣悪な社会福利の環境は、北朝鮮の最末端の下層兵士の農村家族よりも、何らの恩恵がなかった。だから、5年ほど前は、中朝の国境には、長い鉄条網の遮断璧がなかった。

今回、中国側が北朝鮮側の遮断璧をこれ幸いにして、経済制裁の強化に踏むこみ、政策協定から協同の行動計画の実施に踏み込んだのには、中国>北朝鮮という社会福利の不等号が、ここ数年でようやく完成の途に就いたからである。北朝鮮から逃げて来られては困るという明解な理由が、中国領内の朝鮮族に芽生えたからである。韓国は、これ以上は、脱北者を抱え込みたくないという経済不振という中国とは異なる事情がある。

こうして、中国が習近平政権のもとで、辺境の農村の救貧の政策にほぼ成功したことで、中国は北朝鮮との国境に「相対的に富める公民」と、「貧困な軍事国家の隷属民」という壁を張り巡らすことに成功したのである。このことにより、中国の民間市場にあふれる消費材は、北朝鮮に闇商品として流れ込み、軍事組織の下からの崩壊を呼び込むことができる。まして、金正恩が特殊な少数精鋭にミサイル部隊のみ優遇し、陸軍の辺境の警備組織を優遇する余裕がない。こうして、漢方薬のように経済制裁が効果をもつ状況が生まれたのである。習近平政権は、辺境の農村に貧困対策に成功した結果、実は、国土全体の辺境防衛の民間力を高めたのである。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

富山県に喫緊の大学院博士レベルの研究拠点

2017年11月22日 | Weblog

地方大学の振興により地域社会を高度化しながら活性化する基本的な考え方は間違いではない。ただ、それは2つの方向軸がある。1つは、雇用人材の確保のためである。大学4年あるいは修士2年の卒業生を地元優良企業が採用する「就業の産学連携」である。普通の行政職の方は、4年制大学の卒業経験があるので、このレベルの雇用には理解が及ぶ。問題は、何百人という理工系の博士号を取得した方の先端学術と先端産業技術の関係に理解が及ぶか否かである。

富山の場合、極めて限られた分野しか、大学院博士課程の「後期研究指導」の審査を合格した先端研究者がいないことが深刻な問題である。ただ、このレベルとなると、石川、福井、富山、新潟、長野の量的な格差はない。不思議にも、地域の解決課題が明解な分野が先端化している。長野では、繊維の研究がそうである。新潟では、脳梗塞など脳の病気のデータが豊富なので、そこが先端である。食生活の関係だろうか。そして、福井では、原子炉の関係、被爆医療が際立っている。富山では、医薬品の開発につながる基礎研究に先端性がある。

そこで、富山では大学連携は、実はほとんど意味を持たない。学生、教員のレベルが違いすぎる。連携にはならない。富山大学が大学院大学ではないが、一部は医療と薬業の面で、全国の先端研究の一環を担える体制が組める。独立大学院といって、学部教育を担当しない研究主眼の大学院が必要である。石川県の場合、北陸先端科学技術大学院が存在する。富山県の場合、北陸先端医薬品工学研究大学院が絶対に必要である。

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北朝鮮は孤立国として冬眠可能か?

2017年11月21日 | Weblog

答えは、可能である。石炭が輸出できない結果、国内では格安で提供できる。これにより、オンドル暖房が可能である。それに、石炭ボイラーにより、ビル暖房も可能である。発電も、そもそも石油に依存しないで、水力発電と石炭火力発電である。経済制裁の結果、国内での石炭価格が下がることで、民衆には生存条件がよくなった。したがって、北朝鮮は冬眠が可能である。食料は、海産物などが輸出できないので、国内市場に放出される。結果として、穀物が少なくなっても、補う食材が得られる。経済制裁は、非人道的な結果を呼び込まない。まして、好まないで海外で労働者として出稼ぎするよりは、故郷で冬を越せる。こうして、孤立国となることで、冬眠が可能になる。世界史でも珍しい「マイナス型の均衡」が始まる。ただ、どうしても輸入にたよる技術部品の枯渇は、軍事関係に現れる。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北朝鮮の孤立国への道

2017年11月21日 | Weblog

このブログで予想したように、中国共産党の政党外交の責任者である中央対外連絡部の部長、宋涛氏は、金正恩と会談することなく貴国した。勝手に「特使」と翻訳し、特別な外交使命をもっての訪朝という期待は、まさしく期待に過ぎないことを証明している。と同時に、アメリカはテロ支援国家に再指定し、経済制裁を最大限に進めることを表明した。中共の側は、アメリカの経済制裁に従い、対米関係を重視して経済制裁を一段と強化することになる。宋涛氏は、北朝鮮労働党との友党としての歴史を踏まえ、そこから逸脱して、政党と政党との連絡関係は維持するが、北朝鮮のために中国共産党の対米外交・経済外交を一切変更しないとして、過去の友諠の歴史と、近未来の対アメリカ政策をめぐる路線の違いを確認しただけに留まった。

金正恩は、中国共産党と第一次朝鮮戦争を共闘した朝鮮軍の文官である政治部の幹部への監視を強め、朝鮮労働党から中国共産党に内通する陰のトンネルを断ち切ったため、中国共産党との裏面での密約を交渉するパイプも断ち切った。かれらは、中共中央への電話線は切らないが、自ら取引の場を拒み、「冬眠」してしまった。自己冷凍である。こうなるとアメリカー中国ー日本ーヨーロッパが結束し、アフリカ、東南アジアの北朝鮮との経済関係を断ち切る工作が加速することになる。

俗にいう、兵糧攻めなので、解決の時間は数年以上の根気比べとなる。もし、その間、一気に状況を打開できると信じ、アメリカが直轄する海域、空域に核ミサイルの威嚇的な発射実験に踏み切れば、アメリカは国連決議により国連軍の大義名分が得られるので、北朝鮮の軍事施設への攻撃となる。恐らくその戦争は、30分以内で終結する。その結果を国連は事後承認することになる。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

政策協調から協同連動へ:習近平政権の国際協調主義

2017年11月20日 | Weblog

アメリカの伝統的な外交政策は、政策協調による国際協調を目指すものであった。しかし、他方で、アメリカ第一主義の孤立主義の陰も強く、国際戦略は揺れに揺れてきた。中国共産党は、レーニン、スターリンの流れを汲む毛沢東の世界革命を軍事的に成功させるという世界戦略を廃棄した。それにかわり、世界の社会主義政党が、まず第一段階として、行動綱領として協同連動を進めてきた。これには、ドイツの社会主義理論の革新が大きな貢献をなしている。中共中央の対外連絡部を媒介に、世界の政党との協同連動を呼びかけ、積年の宿敵であったベトナムとの間で、共通認識が生まれた。その背景には、アメリカが世界の最先端で、単一の指導権を失い、アメリカ以外のどの国も、戦後のアメリカとの関係の長所と短所を見極め、自国の利益を国際間の政策協調からさらに協同の行動計画をもつシステムへと変換する方向へ歩み出した。この観点から、中国共産党が根気よく朝鮮労働党に働きかけ、南北朝鮮の緊張緩和に取り組むならば、そこに新たな可能性が生まれる。

しかし、他方では、中華民族の優位を妄信する驕りを牽制する調停者が、全地球的に求められる。それは、ヨーロッパ社会、アメリカ社会の底流にあるキリスト教社会主義の政党、政策研究グループである。日本の場合、政権政党である自由民主党が中国との「協同連動」に大きく踏み込むことは危険なので、野党連合が中国との「協同連動」を目指す方向で、中国の野望の良心化に寄与する必要がある。

アメリカとの協調が大事な場面では、自由民主党の出番。中国との協調が大事な場面では、野党連合が出番となる。ともかく、野党に欠けているのは、世界史の基礎学力である。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

富山県は、量子コンピューターを核とする新庁舎建設を企画するべきだ

2017年11月20日 | Weblog

新聞報道では、<スーパーコンピューターをはるかに超える高速計算を実現する「量子コンピューター」の試作機を、国立情報学研究所などが開発し、27日から無償の利用サービスを始める。世界的な開発競争が進むなか、試作段階で公開して改良につなげ、2019年度末までに国産での実用化を目指す。>と伝えている。これは、情報処理による新技術が、さらに新しい段階に入ることを意味する。2019年の国産実用化に備えて、富山県で量子コンピューターを運用するためには、大学か、富山県庁か、このいずれかである。そのうち、大学は国立大学では最低ランク、県立大学のカテゴリーでも単科大で低位層にあるので、国家戦略には対応できない基礎体力しかない。あるとすれば、富山県庁は、地方自治体の能力では、石井知事の学力のおかげで、J!のカテゴリーにある。

量子コンピューターは計算速度が飛躍的に早いが、計算過程にいれるまでのBigData蒐集、プログラミングなどの前工程に多くの知的技術人材がいる。それと、BigDataから県勢と憲政の基本指針を求めるという行政の技術にも及ぶ改革が求められる。石川県庁は、古いロジスティクス理論により立地を定め、大規模な新庁舎を建設したが、量子コンピューターの時代を想定していなかった。ここに、近未来の富山県庁は、コアーとなる頭脳の演算装置を基盤とするかたちで、グラスファイバー回線の独自化を図ることで、地球上で最初の「量子コンピューター」をコアーとする地方自治体の形成に取り組むべきだ。少なくとも、それが世界の公務員のための観光資源にはなりうるというリターンだけは期待できる。現庁舎を徐々に県民会館のような性格に移行させ、比較的に狭いNHK放送局跡地には、「量子コンピューター」を中枢とする新庁舎を構想するべきである。観光用の客寄せは、旧庁舎にも多くを委ね、新庁舎は地下40メートル以上の空間を利用し、耐震性および核シェルター型の駐車場をもち、防災センターとしての機能を備える必要がある。ともかく、石川県庁は旧時代の新庁舎である。だから、富山は広域地方自治体の先端に位置しなければならない。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宋涛氏の北朝鮮労働党訪問の意味

2017年11月19日 | Weblog

中国共産党の習近平総書記の、党としての直属部下のうち、外交政策の決定の総括責任者は、中央対外連絡部長の宋涛氏である。新聞は、「特使」と報じているが、党と党の政党外交の業務である。これは、中国共産党大会への祝電への謝礼と、周辺の友好関係に深い党への表敬訪問である。だから、表向きは、儀礼的なものである。問題は、宋涛氏が、北京に帰国後に習近平総書記に対し、どのような報告や進言を行うか、という判断の問題である。朝鮮労働党との「対話談判」ではなく、「談判」に踏み込まない「対話」という使命しか帯びていないとするのが、面子を守る仮面となる。周囲は、大きな期待をかけるが、ある条件を提示し、妥協を探る「談判」には至っていない。けれども、まずは儀礼的な対話により、中朝の軍事同盟を廃棄しない、という枠組みの持続が確認され、それにより、アメリカの極東軍事力への対抗手段の内容をめぐる見解の相違が再確認されたと予想できる。というのは、中国は「朝核」という表現で、朝鮮半島の非核化として、北朝鮮とアメリカの双方に非核化を求めたのに対し、北朝鮮は教条主義的に自国の核の正義論を振りかざし、軍事冒険主義を維持したうえで、逆に、中国を介してアメリカの譲歩を強く求めたと思われる。

ただし、習近平政権にとり、北朝鮮の問題は、解決のための優先順位は低く、中国の国益にとり「核心的利益」はない。まして、東北三省は、当面、経済的な劣後地域として、教条主義に共鳴しやすい東北三省人と朝鮮族の利便性を早急に図る動機も必要もない。「一帯一路」の枠組みには、東北三省人と朝鮮族は含まれていない。宋涛氏には、中共中央の円卓の外側の「日陰」に太陽光を呼び込む動機はほとんどない。現況を維持することが、中共中央を高く売り続けられるとみている。何らかの、早急の、焦眉の解決課題ではない。北朝鮮のことを早急に考えないことで優位性と面子が保たれる。現況は、中国にとり、利益もなければ、不利益でもない。北朝鮮は、中国共産党の対外関係の歴史の寄生虫であるから、歴史談義の対話という座談のネタに過ぎない。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マイナンバー制を完成させた中国:新時代の始まり

2017年11月17日 | Weblog

民主主義を唯一の価値として、中国評論をするのは大いなる責任回避となる。中国は、1990年代、腰をかがめてマイクロソフトの汎用のコンピューター・システムを導入した。愛国主義を曲げて、先進に従った。その結果、中国共産党の業務のデジタル情報化が大きく進展した。今度、選ばれた中共中央の政治局常務委員は、すべて情報革命による情報管理のアドミニストレーターのトップに位置する。デジタル情報管理のトップが習近平である。なぜなら、軍事のデータは中央軍事委員会主席の超越権限であるからだ。さらに、李克強が管理する国務院は、全中国の人民の「公民証」の発行において、16億人とも想定される全人口の個人データのデジタル管理に成功した。それで、国民の養老年金制度、健康保険制度、失業保険制度をわずか5年でかなり精度の高いシステムにまで構築することができた。

国家が個人から保険料を徴収し、保険基金を管理し、重要な産業ごとの「単位」という企業・事業所単位の社会福祉制度の不整合を見事に克服した。このマイナンバー制度の成功と活用は、幼児期からの教育成果の管理にも役立てられ、弱い子には医療保障を、強い子には才能開花を促進できる可能性を引き出すことが出来る。つまり、孔子の理想とした「大同社会」の第一段階である「小康」を達成するために、「賢」と「能」を推挙する「推薦制の民主」を引き出すことに成功した。

日本では、国民年金の保険金の納付義務が憲法に定めた義務として存在しないので、年金制度に対する国民的信頼がなく、個人情報の公的提供を拒否する護憲勢力のため、完全な社会保障が妨げられている。もうすぐ、中国は日本から手の届かない社会保障の水準に達する。それが、中国経済の軍事化を内側からのブレーキ装置となる。中国政府は、個人の自由主義を抑制し、民生主義をマイナンバー制度で達成し、新時代の中国の第一関門を突破した。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アメリカと中国の2つの超大国時代に日本の立ち位置

2017年11月17日 | Weblog

常に第1位と第3位との同盟を意識し、同時に、問題別に第2位、第3位の連合を構築し、表面的にはボケて、「おもてなし外交」に徹することが原則である。軍事的には、まだ、アメリカの中国に対する優位は続く。政治的には、アジア・アフリカへの影響力では、アメリカ首位は揺らぎ、中国の優位性は急速に力を増しているので、アメリカが2位に転じたとき、中国のアジア・アフリカ外交力と敵対しない方がよい。国際貿易では、世界最大の輸入国であるアメリカとの関係が軸になるが、その点では中国がより優位な交渉権をもつという微妙な事実を無視できない。国際通貨では、日本円は完全な「中立」であるので、いつでも第1位と第3位の同盟には持ち込める余裕がある。

安倍政権は、当初は単純に「アンチ中国」、「親米」という2分法であった。しかし、地球環境問題、地域間の自由貿易圏など、アメリカが孤立主義を選択肢に加えたことで、中国と第2位、第3位連合が数的な優位を作れると判断しはじめている。この進化は大きい。というのは、現実は多元要素で成立しているからである。「価値観外交」で世界を2分法で理解すると、誤差が大きくなりすぎるからである。もつとも確かなのは、日本が「銅メダル」を維持することは、すでに国力の最大効果であるから、人口減少のもとで「国際性のある日本ブランド」として多様な異民族からも支えられる「国際日本の道」に立つことである。そこに「純化日本の道」(極右)を避けなければならない理由がある。このように分析すると、安倍政権から岸田政権への道筋は、世界史の回転軸から外れていない。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アメリカと中国の個人消費市場と日本の劣化

2017年11月17日 | Weblog

アメリカの個人消費市場は、消費者にたいするローン金融が「通貨供給の拡張力」を生み出し、自動車、住宅の新規需要と、中古市場のダイナミックな消費力が生み出す貨幣膨張がある。しかも、貯蓄性向が低く、リスクのある投資市場へのマネーへの流入がある。このような循環構造は、世界経済をアメリカが牽引する動力となる。

中国の消費市場は、政府の政策により、住宅の個人所有制と市場性、相続財産制を基軸に展開したので、国家的なリスクは不動産にかかわる不良債権が懸念される。しかし、ここに来て、国家的なリスクを伴わない「日常雑貨市場」が膨大な人口数に応じて、爆発的な需要が需要を生み出すことで、国内市場のみならず国際市場を牽引しつつある。しかも、農業を経営する小規模な集体でも、インターネット市場で農機具や小規模な設備を購入できるようになった。アメリカ以上に、インターネット通販が消費市場の牽引力となった。そこで、大事なのは、ネット通販による調達と決裁の間の30日の時間における「電子マネー」による通貨膨張により、中国経済は1年が12か月内で決裁される現金管理から、1年を13か月とするサイクルへと進化・成長へと遂げたことである。こうして、世界で第2位のGDP規模の国で、個人消費を中心に不良債権のリスクの少ない少額の消費が、膨大な人口数を賭けると、新たな消費の牽引力として世界史に登場したことである。さらに注意するべきは、中国では公民証の制度が徹底し、国民は100%に近いマイナンバー制度に組み込まれているので、個人消費の少額債権の累積が不良資産となる危険性が究めて低い。

では、日本の劣化の原因はなにか?マイナンバー制度に普及を妨げ、国民年金制度の徹底化を妨げている真因である「日本国憲法」にあるという仮説が必要なのである。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新時代の中国と富山県

2017年11月16日 | Weblog

新時代にはいった中国と富山県の関係を整理しておこう。新時代とは、高度な情報社会である。それは、究極のパーソナル・コンピューターであるスマート・フォンの普及により、電子通貨システムが、国民の消費生活のうちの都市住民の大半を占めるようになったことである。そこで、取引される商品は、中国の純国産品ではなく、外国製品が占める割合がたかい。特に日用品は、日本の優良企業の製品が市場占有率を高めている。富山県の企業では、このような都市の若者を中心とする消費市場では、ゴールドウインさんと、リッチェルさんが、大きな可能性を持っている。それ以上に、スマート・フォンの生産において、富山県は、富山ムラタさんなどが有効な供給地になっている。スマート・フォンは、部材が軽いので、航空貨物に適している。生産地は、湖北省の武漢市である。中軸にあるのは、シャープの親会社になった台湾の鴻海である。このような武漢市を生産拠点とする仕組みにおいて、富山のインテックも事業を拡大している。ここで注意して欲しいのは、台湾はすでに大陸経済の中枢に進出している、という事実である。もはや、中国大陸と台湾との間には、軍事的な境界が薄くなり、航空貨物が中国大陸の内陸都市に頻繁に飛んでいる。

富山県は、旧時代の中国との関係を、遼寧省との間で構築してきた。これは、大連市が遼寧省の属していることで有意義なのではなく、上海経済と大連とが100年の連携があるためである。大連ー上海の航路は、旧時代の中国経済の大動脈であった。しかし、大連から瀋陽を経て、中国の東北三省の経済発展は、遂に期待されたほど伸びなかった。いまや、黒竜江、吉林、遼寧の東北三省は、産業基盤が「長重大厚」の重化学工業にあり、北朝鮮の鉱業と工業と合わせて極東経済を形成していたが、中国側では、東北三省の共産党が異端とされ、かって異端とされた福建・浙江が主流に転じたことで様態は様変わりしている。

新時代の中国は、長江流域の内陸部が、長江の航運の利便性に加え、国際金融都市である上海市を基点として、「一帯一路」が現実的な通商のロジスティクスを形成していくことになる。政権の安定性、持続性の保証は、長江流域の成都、重慶、武漢、南京、蘇州、上海のラインのさらなる発展力にかかっている。富山県では、こうした新時代の変化に応じ、環日本海主義の「陳腐化」を早急に是正する必要がある。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

富山空港の深刻な近未来

2017年11月15日 | Weblog

北陸新幹線が、福井まで延伸すると、富山空港は深刻な危機に陥るだろう。というのは、小松空港が国内便、特に東京むけですでに乗客を奪われているが、その分、国際空港としての役割を強めている。滑走路が長いので、欧州からの貨物専用の定期便もあり、中国・東南アジア向けの定期便を増やす余地が生じる。この結果、富山空港の運航便がさらに大きく制約を受ける。というのは、北陸新幹線の小松駅が機能することで、富山県内から小松空港へのアクセス時間が大幅に短縮される。富山空港は、新幹線効果が生むプラス要素が全くなく、マイナス効果のみが生まれ、経営体としての基礎体力を奪うことになる。

小松空港は、今は、新幹線効果がマイナスとなっているが、北陸新幹線の小松駅の効果により、北陸のおける利便性の高い国際空港として機能することになる。この状況が生まれても、富山空港が発展的に存続するには、どのようにすれば良いのだろうか?こうした予想される深刻な危機に対し、負のシグナルの認識を共有しないと、その時が訪れても、手の施しようがない。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする