3388 野球ブログ

日米を問わず名選手を紹介。

投球フォーム(2)

2011-06-10 16:14:57 | Weblog
前日、米田哲也の投球フォームの素晴らしさが、その長寿に結びついたと記しましたが、もう少し他の投手の投球フォームと寿命に触れたく思います。史上屈指の投手杉浦忠、稲尾和久両投手の投球フォームも矢張り素晴らしく、体のバネ、全体のバランス、殆ど欠点らしきものが見当りません。物凄過ぎる成績を挙げた年、つまり異常な程に酷使された年の影響が、その投手寿命に大きくある様に思えてなりません。この二人の全盛期が短かった原因の大半は、信じられない程、酷使された事によるものであり、決して投球フォームによるものではないと断言したく思います。もっと言えば、優勝争いに絡んでの酷使と、優勝争いとは無縁の酷使では、具体的に、何故だかは上手くは表現出来ませんが、精神的な面も含めて、投手の体に与える影響は異なる気さえします。つまりマスコミの注目度、一勝の重みが違うかと思います。例えば優勝争いとは無縁の頃の金田正一、秋山登等の酷使されている投手が、僅差で敗れたとしても、好投空しで終わる所が、稲尾和久や杉浦忠の数少ない敗北には、どこか責め立てる印象の記事が多かったと思います。度重なる酷使の為、故障後の稲尾和久、杉浦忠の投球フォームは、やはり故障個所をかばう為か、全体的にこじんまりとなってしまい、もはやかっての投球は全く見られなくなり、非常に寂しく感じたものでした。次回触れたく思いますが、この二人と対極にある投手が金田正一かと思います。

昔の話(3)

2011-06-09 16:29:48 | Weblog
昭和30年代中頃の話です。当時小学生の私の周りで、噂されていた事を記して見ます。野球好きの友達や廻りの大人から聴いた話が主な為、マスコミの書いた記事からか、単に誰かが勝手に言い出した事からかは、正直分りませんが、記憶にあるものを少し書いて見ます。昭和33年セリーグのMVPに、読売ジャイアンツのエーズ藤田元司が選出されていますが、これに関して同年新人として大活躍した長嶋茂雄が選ばれなかったのは、新人なので今後も受賞のチャンスがあろう為、敢えて投票権のある記者達が、藤田元司に投票したと言う話(噂)がありました。少し数字を比較して見ます。藤田元司、29勝13敗、防御率1.53,199奪三振に対し長嶋茂雄、0.305,29本塁打、92打点であり、投手と打者という事もあり、非常に難しい判断を強いられた事は容易に想像出来ます。当時27歳と22歳という事からも、こういう噂が出たのかも知れませんが、必ずしも今後の受賞可能性だけで、選んだ訳ではない様な気がします。尚、当時のMVPは優勝チームから選出の原則があった為、投手部門において、殆どの数字が藤田元司を上回っていた、金田正一の名前が挙がっていなかったのは、止むを得ない事かと思います。しかしこの現象は翌年も続きます。藤田元司27勝11敗、防御率1.83、181奪三振に対し、長嶋茂雄0.334,27本塁打、82打点と本当に判断の難しい年度が続き、再び藤田元司が選出されています。かって悲運のエースと呼ばれ、細い体から力投する藤田元司への同情みたいな票があったのでしょうか?実際の所は分りませんが、結構興味ある投票結果ではありました。



米田哲也(25)

2011-06-08 21:28:09 | Weblog
一般的に球質が軽い投手の投球フォームは華麗で美しいと言われ、逆に球質の重い投手の投球フォームは、どこかぎこちなくスムースさに欠けていると言われています。少し例を挙げて見ます。球が速いながらも軽い球質の代表として小山正明、郭泰源、成田文男等いますが、皆非常に整った美しいフォームでした。逆に球質の重い投手の代表としてはブン投げる様な投法の尾崎行雄、無理矢理作られた感のあるマサカリ投法の村田兆治、担ぐような感のある江夏豊、全力投球の村山実等いますが、皆素晴らしい投手ですが、速い球を投げる為か、どこか普通の投球の流れではない不自然さがある様に思えてなりません。その点、米田哲也投手は、例外的に整ったフォームながら重い球を投げていました。実際の所は解りませんが、誰かに教わったというより、キャッチボールをしながら,速く強い球を投げる術を自然に覚えていった様な気すらします。当然恵まれた体格や、ガソリンタンクとまで言われた無尽蔵のスタミナもあるのでしょうが、米田哲也の長寿の秘密の大半を、その投球フォームが占めている気がしてなりません。NHKのメジャー中継で、解説の武田一浩氏がしつこく指摘しているのが、松坂大輔のキャッチボールの際のフォームの悪さですが、ブルペンで軽く投げている時の、米田哲也のフォームとは対極にあるかと思います。

米田哲也(24)

2011-06-07 18:52:18 | Weblog
久し振りに豪腕米田哲也投手です。先日発刊された<阪急ブレーブス 黄金の歴史>という本で、伝説の証言者というタイトルで、米田哲也投手のインタビュー記事が掲載されています。その内で米田哲也氏の、自身の投げ方が良かった為、殆ど故障がなく、現在でも肘が曲がってなく、肘が真っすぐなのは名球会の投手では一人だけという発言があります。この発言にこそ、氏の投手としての素晴らしさが表れていると思います。氏の投球フォームは、左脚を胸元まで引き付け、更につま先を天の方角に向ける感じで、脚を高く上げ、その反動を巧く利して、十分に腰を捩り、分厚い胸板を強調するかの如く、見事な胸の張りを活かし、オーバースローから豪速球を投じていました。又体自体のバネ、柔らかさも素晴らしいものがあり、氏の投球フォームには、欠点らしきものが、殆ど見当らないものでした。但し、杉下茂氏は、腕の引き方にやや強引さがあると指摘していますが、これは欠点を指摘したと言うより、本格派投手としての宿命に関しての発言の様に思えました。つまり、特に若い頃の投球フォームは、この投球フォームが出来る投手の球が速くない訳がないと、確信させる程の投球フォームだったと思います。

ダルビッシュ有(5)

2011-06-06 21:12:32 | Weblog
前回紹介のフェリックスヘルナンデスとダルビッシュ有を比較して見ます。投手としてのタイプは違う面がありますが、球威、制球力、持ち球等、実力はほぼ互角かと思います。現在メジャーでもトップクラスの投手と、遜色のない力を持っているのがダルビッシュ有かと思います。他に現在メジャートップの右腕投手と言われている、ロイハラデーという投手がいます。必ずしも速球投手ではありませんが、平均球速92,93マイルののストレート系の球と、カッター、スプリッター、チェンジアップ等変化球も多く、更に抜群の制球力を誇っている投手です。最近3年間で20勝以上2回、計58勝を挙げている安定感抜群の投手です。イメージ的には、かっての稲尾和久に近いかと思います。ロイハラデーの球は動く球、つまり手元で伸びたり、沈んだりし非常に打ち難い球ばかりです。流石のダルビッシュ有でも、球の動かせ方や制球では及ばないかと思いますが、球速や持ち球の種類では負けていないかと思います。以上、メジャーの一線級投手と比較したりしましたが、間違いなく彼は通用すると思います。気になる点があるとしたら、基本的に中4日で投げる、メジャーのローテーションを守れるスタミナと、日本より硬いと言われるメジャーのマウンドに順応出来るかどうかだけかと思います。更に言えば、ストレート系の球速が、常に95マイルを超す様だと、もっと活躍は間違いないでしょう。入団のチームにより違うでしょうが、12勝から18勝の間の勝ち星、防御率2点台後半は十分可能かと思います。

ダルビッシュ有(4)

2011-06-05 21:07:43 | Weblog
AJバーネットの欠点は制球力と投球術にあるかと思います。若い頃から見ていますが、当時の彼はメジャー屈指の快速球を武器としていた為、多分さほど必要としなくても通用したのでしょう。入団後数年間の堀内恒夫を彷彿させてくれる感すらありました。しかし球速の落ちて来た現在、かっての好調時に見せてくれた快刀乱麻の投球は、影を潜める様になり、好不調の波の大きいもう一つ信頼の置く事の出来ない投手になっています。それでも前回書きました様に、6年連続の二桁勝利を挙げています。ストレートの平均球速がほぼ同じ以外、球のキレ、手元での伸び、重み、その他投球面で、劣るものは見当たりません。もう一人、マリナーズにフェリックスヘルナンデスという、ダルビッシュ有と同じ、今年25歳になる投手がいます。昨年アリーグのサイヤング投手に輝いた、メジャー屈指の速球投手です。彼もツーシーム、スライダー、カッター、シンカー等変化球の種類も多いのですが、制球にも問題がありません。横幅のあるがっしりとした体格から、ややトルネード張りのフォームから投げられる球は、非常に重く,速く、切れ味も鋭いものがあります。デビュー当時96マイル近くあったストレート系の平均球速は、現在94マイル位に落ちています。ここ2,3年は100マイルの計時は見られません。しかし彼の場合は、その後の投球術や変化球の進歩により、敢えてそこまでの球速が必要とならないレベルになっているかと思います。

ダルビッシュ有(3)

2011-06-04 14:04:57 | Weblog
ダルビッシュ有は、来年メジャーに挑戦するだろうと言われています。巨額の契約でメジャー入りした松坂大輔の不振や、マイナーに降格となった岡島秀樹、五十嵐亮太等を見ていると、日本人投手の一般的な評価は決して高くはないと思います。その状況下でダルビッシュ有に、どの位のオファーが来るのか非常に興味があります。多分かっての松坂大輔の様なオファーは来ないかと思いますが、今の彼なら、その位のオファーが来ても十分に見合うかと思います。来年26歳になる彼ですが、年齢的にも若く、長くメジャーで現役を続けられる可能性は十分あるかと思います。それどころか、彼の力量なら殆どの球団でエースになる事が可能かと思います。何人か比較的似たタイプの右腕投手と比較して見ます。ヤンキースにAJバーネットという今年34歳になる投手がいます。今年現在6勝を挙げており、昨年まで6年連続で二桁勝利の投手です。かっては非公式ながら104マイルを記録したりしていますが、100マイル以上の球速計時を度々記録した投手でした。流石に現在、球速は落ちていますが、それでもストレート系の平均球速は94マイル近くを出しています。更にナックルカーブ、シンカー、スライダー、カーブと変化球も一通りあります。193cm、104kgの体型もダルビッシュ有と似ている感があります。投球フォームも同じく上体のタメを巧く使ったオーバースローで、似通ったタイプかと思います。彼の投球を見ていて思うのは、何一つダルビッシュ有が彼に劣る点はないという事です。次回もう少し深く触れます。

ダルビッシュ有(2)

2011-06-03 11:53:00 | Weblog
高校野球、甲子園をあまり見ない私ですが、騒がれて日本ハムに入団したダルビッシュ有は、勿論興味のある選手の一人でした。しかし最初に彼の名前が大きくスポーツ紙上に載るのは、その投球ではなくキャンプでの喫煙事件でした。こういう負の部分で騒がれて、将来大成する選手は非常に少ない為、私は勝手に、この投手はあまり活躍せずに、野球生活を終えるのではないかと想像してしまったものです。その後彼のプロ入り直後の投球を観る訳ですが、正直現在の彼の姿は全く予想すら出来ませんでした。甲子園で活躍した多くの投手に見られる、変にまとまった、言い換えればそのレベルなりに完成した投手、つまりプロ野球の投手としては、悲しいかな中途半端な投手にしかなり得ないという印象を持ちました。つまりかっての荒木大輔、定岡正二、水野雄二、三浦広之、太田幸司等の投手を思い浮かべていました。現在では斉等佑樹もそうでしょうが?そう思わせる程当時の彼の投球には、さほどの球速、球威はなく、その長身だけが巧くすれば、将来化けるかもしれない期待を抱かせてくれるレベルに私には感じられました。しかし嬉しい事に彼は、毎年着実に進化し、現在想像の域を遥かに超えそうな投手に成長しつつあります。

ダルビッシュ有(1)

2011-06-02 11:47:59 | Weblog
現在無失点イニング継続中の御存知日本ハムのエースです。と言うより間違いなく球界のエースでしょう。昨日は最速156kmの快速球を主武器に、完封で7勝目を挙げています。開幕戦こそ7失点と乱れたものの、それ以降ほぼ完璧に近い内容の投球をしています。昨日はパリーグの他チームのエース格、田中将大、涌井秀章も登板している為、複数のTVで彼らの投球も併せて観ていましたが、矢張り球の力、投手としての力量、格において、明らかにダルビッシュ有とは差がある様に思えてなりませんでした。彼ら二人も無失点、1失点の内容で好調の投球と見て良かったと思いますが,はっきり言ってものが違うと思わざるを得ませんでした。球場毎のスピードガンに多少の差異はあろうかと思いますが、田中将大の150kmの球より、ダルビッシュ有の時折投げる150kmに満たない球の方に、より凄味、重み、迫力を感じました。着実に成長し続けている田中将大に力がない訳ではなく、それ程ダルビッシュ有の力が飛び抜けているという事なのでしょう。つまりダルビッシュ有の力量は、現時点で日本球界では異次元の世界にあると言っていいかと思います。

投球フォーム(1)

2011-06-01 14:13:19 | Weblog
野茂英雄が平成2年にドラフト1位、8球団争奪の末近鉄バッファローズに入団した際、多くの評論家は、その独特な、後にトルネード投法と名付けられるフォームに難色を付け、すぐ改良すべきとか、短い投手寿命で終わるとか、否定的な意見が非常に多かったものでした。私の知る限り、少なくともフォークボールの元祖、かっての大投手杉下茂は、多くの評論家の意見に反発していました。杉下茂氏の意見としては、野茂英雄のフォームは、腰の回転がスムース且つ十分に出来ており、現状のままで問題なく、決して短命に終わるフォームではないという内容のものだったと記憶しています。流石に大投手、他の評論家とは矢張りレベルが違い、観るべき所は観ているなと強く感じました。かなり昔の事ですが、投手は常に打者や捕手のミットから目をそらしてはいけないという意見が大半を占めていた時代、杉下茂氏は、投手たるもの、自分なりのリズム、バランスがある為、必ずしも目をそらしてはいけないというものではないと言う意見でした。素人の私が言うのも何ですが、どうしても実績抜群の、杉下茂氏の意見に納得するものです。