とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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心斎橋そごう

2005年09月29日 20時54分47秒 | 社会
9月7日に心斎橋そごう本店が新築オープンした。
本来私は開店したばかりのショッピングゾーンに足を運ぶのは好きではない。
というのも雑踏が大嫌いで、堪え難い苦痛を感じるという性格なのだ。
だからいくら新しい話題のスポットがオープンしたといっても半年くらいは足を向けないのが普通なのである。

ところが「心斎橋そごう」となると話は違う。
というのも高校生の時に江戸時代の古地図を広げて見ていると心斎橋筋に面して十河(そごう)と大丸が今と変わらぬ位置に建っているのを発見したことが特別な私にとって意味合いを持ったからだ。

御堂筋は昭和になってから作られたので、当時の大阪のメインストリートは心斎橋筋。
今も残る多くのお店とともにひときわ大きな升目で描かれていたのがこの2店舗というわけだ。
江戸時代と現代の共通点。
この単純な事実に大いに感動して以来、自分の生まれた大阪という街に強く関心を持つようになった。
大阪の商システム、文化、演芸、文芸などなど。
十河と大丸がなかったら、もしかすると今ほど落語や浄瑠璃などの上方の伝統芸能に関心を持たなかったかも知れないのだ。
新店舗はプレオープンしてから連日10万人規模の来客があるということを聞いていたが、以上のような理由から嫌いな雑踏を覚悟して、正式オープン三日目に立ち寄ってみたのだ。

ちょうど開店直後の午前10時過ぎに訪れると、客数は多いものの店内はまだまだゆったりしていた。
とにかく上層階へ行こうということで、エレベータで11階へ上ってみた。
エレベータを降りると吃驚。
そこには古き良き時代(設定は昭和のはじめとのこと)の心斎橋筋商店街が再現されていたのだった。

地球儀や骨格などのミニチュア専門店や万年筆専門店。行灯をデザイン化したようなレトロでお洒落な照明器具など。
実に面白い。
見ていて飽きない。
最上階にはクラシックコンサートや落語などにぴったりの200座席ほどの小劇場がある。
屋上はウッドデッキになっていて、眼下にミナミの繁華街が見渡せる。
凄いではないか。

品揃えはどちらかというと高直な高級品で固めているが、それはコンセプトとして間違いない決断と言えるだろう。
老舗百貨店と新興のファッションモールの区別がつかなくなってきている最近の大型小売店。その潮流に喝を入れる、なかなか渋い演出である。
帰りになんばの高島屋大阪本店に寄ってみたところ、客は多いが、
「なんとかせんと、客を全部心斎橋にとられるで」
と言いたくなるほど、マンネリしていた。

新生心斎橋そごう本店。
高級品を買う金がなくても一度立ち寄ってみる価値は存分にある大阪の新名所だ。

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