人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

村上春樹著「古くて素敵なクラシック・レコードたち」を読む ~ 486枚のレコード・ジャケットをカラー写真で紹介:LPレコードをこれ以上増やしたくない人は絶対に読んではいけない本

2021年07月24日 07時13分02秒 | 日記

24日(土)。わが家に来てから今日で2387日目を迎え、東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会が、前会長の森喜朗元首相を「名誉最高顧問」に就ける案を検討していることが分かった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     会長はじめ女性が多くなった組織委員会の会議は  時間がかかると思うよ  森さん!

 

         

 

昨日、夕食に2週間に一度の「鶏の唐揚げ」を作りました 唐揚げにはビールですね

 

     

 

         

 

村上春樹著「古くて素敵なレコードたち」(文芸春秋社)を読み終わりました 著者の村上春樹は、言うまでもなく、毎年のようにノーベル文学賞候補に名前が挙がりながら、毎年残念賞みたいな結果になる世界的に著名な作家です

 

     

 

本書の冒頭に置かれた「なぜアナログ・レコードなのか?」で、村上氏は集めたレコードについてだいたい次のように書いています

「かれこれ60年近くレコードを集めている ジャズが中心だがクラシックも好きで蒐集してきた。所有する約1万5千枚のLPレコードの内訳はジャズが7割、クラシックが2割、ロック・ポピュラーが1割というところだ クラシック・レコードを買う時は、演奏家や作曲者が選択の基準となるのは当然だが、ジャケットが素敵だとか、ただ「安いから」という理由で買う時もある 行き当たりばったり、みたいに買い込むケースが多い いわゆる「名盤」みたいなものには興味がない。世間的な評価や基準が時として自分に当てはまらないことが経験的に分かっているからだ。だから、集めているレコードは傾向がかなりばらばらだ そこには統一性がほとんど見受けられない。しかし基本的な『好み』はあるようで、例えばうちにはフルトヴェングラーのレコードは数枚しかないし、トスカニーニ、カラヤン、ベームも数えるほどしかない その代わり指揮者でいえば、トマス・ビーチャムとか、レオポルド・ストコフスキー、ディミトリ・ミトロプーロス、エイドリアン・ボールト、イーゴリ・マルケヴィッチ、フェレンツ・フリッチャイ、(若い頃の)ロリン・マゼールなどのレコードはけっこうたくさん所有している クラシック・レコードに関しては、ジャケット・デザインにかなりこだわる 経験的に言って、ジャケットの魅力的なレコードは中身も素敵であることがなぜか多いからだ 本書では主に、そういう『結果的に集まってしまった』レコードたちを中心に紹介している。つまりこれはあくまで個人的な趣味・嗜好に偏した本であって、そこには系統的・実用的な目的はない。ほとんどは1950年から1960年代半ばにかけて、つまり半世紀以上前に録音されたビニール製の真っ黒なディスクだ

私はかつて約2000枚のクラシック・レコードを所有していましたが、その内500枚をプリメイン・アンプと物々交換して手放したため現在約1500枚が手元にあります 村上氏の基準からすると、いかに私のレコードを買う基準が「名盤」中心主義だったかが良く分かります カラヤン、ベーム、フルトヴェングラー、バーンスタインといったメジャーな指揮者が多いことは否定できません もちろん、ビーチャムやマルケヴィッチやフリッチャイのレコードも持っていますが、少数派です また、レコード・レーベルではドイツ・グラモフォンが圧倒的に多いと思います 黄色と黒のジャケットは、なぜか阪神タイガースの黄色と黒に通じ、ついつい買ってしまったものです

本書は100項目に分けて特定の楽曲を取り上げ、複数のレコード・ジャケット写真とともに紹介しています 例えば、1番目に紹介しているストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」では、①アンセルメ指揮スイス・ロマンド管(1949年録音)、②同(1958年録音)、③アバド指揮ロンドン響(1980年録音)、④メータ指揮ニューヨーク・フィル(1979年録音)、⑤ラインスドルフ指揮ニュー・フィルハーモニア管(1973年録音)の6種類のレコード・ジャケットがカラーで紹介され、それぞれの演奏に対する村上氏のコメントが付されています

本書で紹介されているLPレコードの写真は全部で486枚ですが、いずれも村上氏の所有するレコードを写したものです

 

     

 

前出「なぜアナログ・レコードなのか?」の中で、村上氏はLPレコードの魅力について次のように書いています

「新譜のディスクは、ほとんどの場合アナログでは出ていないから、CDで買い求めることになる しかし残念ながら、CDのプラスチック・ケースを手に取ってじっと眺めていても、とりたたて幸福な気持ちにはなれない(ましてやインターネット関連については語るまでもないだろう)。それに比べると、古いLPレコードには、LPレコードにしかないオーラのようなものがこもっている そのオーラが、まるでひなびた温泉のお湯のように僕の心を芯からじんわりと癒してくれる

これはレコード好きには良く分かります。CDプラケースはただの「物」ですが、LPレコードのジャケットは「芸術品」と言っても良いかもしれません 一方、LPレコードの欠点として次のように書いています

「LPレコードの難点は重いこと(とくに初期盤は重い)、そして場所を取ることだ 約1万5千枚のレコードの場所の取り方に関して、ことあるごとに家人から苦情を聞かされる。買っては売り、買っては売りしているのだが、なぜかその数は着々と、刻々と増えていくみたいだ

これも良く分かります LPレコードはサイズが大きいだけに、場所を取ります。しかし、CDだって数が増えれば結構な場所を取ります 私は所有する約4000枚のCDを、主に廊下に設置したCDラックに作曲家別・ジャンル別に収めていますが、それだけではスペースが足りず、リビングの一角にもCDラックを入れて収めています 現在はそれでも収まりきらないので、ベッドの枕元に積んであります

 

     

 

なお、100項目のうち最後の4項目は、村上氏がこだわりを持っているアーティストを取り上げています 「97  トマス・ビーチャムの素敵な世界」、「98  ジョン・オグドンの個性的な生涯」、「99  マルケヴィッチの穴」、「100  若き日の小澤征爾」です。100については、村上氏は「小澤征爾さんと、音楽について話をする」という本を書いているので、その時に集中的に古いレコードを聴いたようです

クラシック・ファン、レコード・ファンにはたまらない本です これ以上LPレコードを増やしたくない人は、絶対読んではいけません

 

     


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