人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ジョナサン・ノット ✕ 青木篤子 ✕ 伊藤文嗣 ✕ 東京交響楽団でR.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」、シベリウス「交響曲第5番」を聴く ~ 第692回定期演奏会

2021年07月18日 07時19分01秒 | 日記

18日(日)。わが家に来てから今日で2381日目を迎え、中国政府で香港を統括する香港マカオ事務弁公室の夏宝竜主任は16日、香港に関する会議で演説し、香港政府に対し、香港国家安全維持法に基づいて学校やメディアなどへの管理を強めるよう求めたが、その内容は学校教育で愛国意識を強め、「フェイクニュース法」を定めるなどしてメディア統制を強める方針である  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     中国に批判的な報道が「フェイクニュース」と看做されるのは目に見えているよね  

 

         

 

昨日、サントリーホールで東京交響楽団の第692回定期演奏会を聴きました プログラムは①リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ 作品35」、②シベリウス「交響曲第5番 変ホ長調  作品82」です 演奏は①のヴィオラ独奏=青木篤子(首席)、チェロ独奏=伊藤文嗣(同)、指揮=ジョナサン・ノットです

 

     

 

1階席を見渡すと、通常配置で約半分の入りでしょうか。4回目の緊急事態宣言期間中とはいえ、音楽監督ジョナサン・ノットの登場にしても8割以上を埋めるのは難しいということでしょうか

拍手の中、楽団員が入場し配置に着きます 弦は左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとりますが、弦楽奏者はマスクを着用しています オケに続いて、1曲目のソリスト伊藤文嗣と青木篤子がコンマスの水谷晃と共に登場し配置に着きます 弦は見間違いでなければ17・15・12・10・8の大規模編成です。チェロ首席の伊藤がソリストに回る関係で、新日本フィル首席の桑田歩が客員で首席奏者を務めます

1曲目はR.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ 作品35」です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864‐1949)がスペインの作家セルバンテスの「ドン・キホーテ」に基づいて1897年に作曲、翌1898年3月にケルンで初演されました

お恥ずかしい話ですが、実は「ドン・ファン=ドン・キホーテ」と思い込んでいて、一生懸命「ドン・ファン」のCDを聴いて予習していました 途中で「確かチェロとヴィオラの独奏が出てくるはずだけど、なかなか出て来ないなぁ」と思って、あらためて三省堂「クラシック音楽作品名辞典」で調べてみたら、リヒャルト・シュトラウスは交響詩「ドン・ファン」(1887ー1888)と交響詩「ドン・キホーテ」(1896‐1897)を作曲していることが判明しました なるほど、CD棚を探してみたら「ドン・キホーテ」のCDもありました 「ドン・ファン=ドン・ジョバンニ」は成立しても「ドン・ファン=ドン・キホーテ」は成立しないことを肝に銘じました

さて、交響詩「ドン・キホーテ」は「騎士的な性格の一つの主題による幻想的変奏曲」で、「スペインの村ラマンチャに住む郷士アロンゾ・キハーナは古の騎士道物語を読み漁るうち、精神の平衡を失い、自身に『ドン・キホーテ』という騎士名を与え、従者サンチョ・パンサを従えて冒険の旅に出る」という物語を音楽化したものです

ジョナサン・ノットがマスク姿で登場し、そのまま指揮をとります この曲ではチェロがドン・キホーテを、ヴィオラがサンチョ・パンサを表しますが、チェロ独奏の伊藤文嗣とヴィオラ独奏の青木篤子の名人芸がいかんなく発揮されました 2人とも物語を雄弁に語るような演奏で、それぞれが主人公に成りきっていました とくに感心したのは青木篤子のサンチョ・パンサです。ドン・キホーテの行動にツッコミを入れるような、ちょっとユーモラスな演奏が印象に残りました 荒絵理子のオーボエ、吉野亜希菜のクラリネット、福士マリコのファゴットが華を添えました

 

     

 

プログラム後半はシベリウス「交響曲第5番 変ホ長調  作品82」です この曲は、ジャン・シベリウス(1865‐1957)が1914年から翌15年にかけて作曲、同年12月8日にヘルシンキで、シベリウス生誕50年記念演奏会で初演されましたが、その後 4楽章形式を3楽章形式にするなど改訂を加え、1919年に完成しました 第1楽章「テンポ・モルト・モデラート~ラーガメンテ〜アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・モッソ、クァジ・アレグレット」、第3楽章「アレグロ・モルト」の3楽章から成ります

ノットの指揮で第1楽章に入りますが、冒頭のホルンの合奏に乗せてオーボエ、フルート、クラリネットが歌う旋律がとても美しい 一瞬にしてシベリウス・ワールドが展開します この楽章のフィナーレに向けてのアクセルはノットならではの畳みかけです 猛スピードで駆け抜けたうえ、急ブレーキがかかるので、聴き手は「慣性の法則」によって心が前のめりにすっ飛んでいきます 第2楽章では弦楽器のピッツィカートが印象に残ります 第3楽章では、金管楽器の息の長い旋律と弦楽器の渾身の演奏により、シベリウスが1915年4月に見たという白鳥の舞をもとにした「白鳥賛歌」が広大なスケール感をもって歌い上げられます さて、私がこの曲で一番注目しているのは、フィナーレにおける6つの和音のテンポ設定です この曲のCDは何枚か持っていますが、演奏の基準としているのはコリン・ディヴィス指揮ボストン交響楽団によるCD(1975年録音)です。ノットの指揮は、ディヴィスよりは若干速めのテンポですが、一音一音に説得力があります

演奏を聴き終わって、あらためて思ったのは、マーラーやブルックナーはもちろんのこと、シベリウスの交響曲もライブで聴かないと本当の良さは分からないな、ということです

 

     

コメント
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