26日(月)。わが家に来てから今日で2389日目を迎え、欧米が新型コロナウイルスのワクチンの「買い占め」で批判される中、新興国や途上国に自国製ワクチンを積極的に提供してきた中国だが、最近は接種後でも感染・死亡する人が少なくないとして、効果を疑問視する声が広がっている というニュースを見て感想を述べるモコタロです
中国はワクチン外交でアジア諸国を中心に貸しを作ろうと思っているのは見え見え
昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ」参加公演、オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のコンサートを聴きました プログラムは①シューベルト「交響曲第4番 ハ短調 D.485 ”悲劇的”」、②プロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 作品19」、③同「交響曲第1番 ニ長調(古典交響曲)作品25」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=神尾真由子、指揮=井上道義です この日の公演は当初①モーツアルト:歌劇「イドメネオ」バレエ音楽からシャコンヌ、②同「ヴァイオリン協奏曲第4番」、③シューマン「交響曲第2番」が演奏される予定でしたが、指揮・ヴァイオリンのロベルト・ゴンザレス=モンハスがコロナ禍に伴う入国制限措置のため来日できなくなったことから変更になったものです
オーケストラ・アンサンブル金沢は1988年に岩城宏之(1932‐2006)のもとに石川県と金沢市によって、日本初のプロフェッショナルの常設室内管弦楽団として設立されました。マルク・ミンコフスキが芸術監督を、井上道義が桂冠指揮者を務めています
開演40分前からプレトークが予定されていましたが、マイクを持って登場した井上道義は、「プレトークで20分 話せと言われましたが、そんな長く話せない 指揮者がプレトークで喋って成功したのを見たことがない あとで又、登場します」と言い残して舞台袖に引き揚げていきました。いかにも井上らしいなと思っていると、10分過ぎたら再登場し、この日演奏する作品は、OEKのような小規模なオケが演奏するのにちょうどいい曲であることなどを解説して再び引き上げていきました
会場は7割ぐらい入っているでしょうか。これほどの集客力は大したものだと思います
弦楽器は8型で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対向配置をとります コンミスはアビゲイル・ヤングです
1曲目はシューベルト「交響曲第4番 ハ短調 D.485 ”悲劇的”」です この曲はフランツ・シューベルト(1797‐1828)が19歳の時=1816年に作曲、シューベルトの死後、1849年にライプツィヒで初演されました ハ短調はベートーヴェン「運命交響曲」と同じ調性ですが、シューベルトは自筆譜に「悲劇的」というタイトルを付しています
第1楽章「アダージョ・モルト ~ アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット:アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります
井上の指揮で第1楽章に入りますが、オケ総力による重厚な演奏で、ほとんどベートーヴェンの初期の交響曲を思い浮かべます その後、短調特有の”疾走する悲しみ”のようなメロディーが続き、シューベルトらしい歌うような旋律が印象に残ります 第2楽章ではオーボエ、フルートがよく歌います 第3楽章は「メヌエット」とは名ばかりで、ほとんどスケルツォです 第4楽章は前へ前へという推進力を感じさせる曲想で、軽快なテンポにより音楽が進みます 19歳の若きシューベルトの情熱が感じられる爽快な演奏でした
プログラム後半の1曲目はプロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第1番 ニ長調 作品19」です この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891‐1953)が1916年から翌17年にかけて作曲、1923年にパリで初演されました 第1楽章「アンダンティーノ 」、第2楽章「スケルツォ:ヴィヴァ―チッシモ」、第3楽章「モデラート ~ アレグロ・モデラート」の3楽章から成ります
ソリストの神尾真由子は2007年の第13回チャイコフスキー国際コンクールで優勝している実力者です 使用楽器は宗次コレクションから貸与されているストラディヴァリウス(1731年製「Rubinoff」)です
ベージュに金のラメを配したシックな衣装を身にまとった神尾真由子が登場し、配置に着きます 井上の指揮で第1楽章に入りますが、第1主題「夢見るように」の言葉通りの繊細でファンタジックな音楽が神尾のヴァイオリンによって奏でられます その後「語るように」と指示された第2主題では、アイロニカルでユーモアを感じさせる音楽が展開します 第2楽章では、終始せわしない音楽が展開、神尾のヴァイオリンが緩急自在に飛翔します 第3楽章では気まぐれな主題が奏でられ、フィナーレでは第1楽章の「夢見るような主題」が回想されて曲を閉じます
神尾の演奏は完璧なテクニックの裏付けのもと緩急自在で、高音部も低音部も魅力に満ちていました
カーテンコールが繰り返されますが、アンコールはありませんでした。見識です
最後の曲はプロコフィエフ「交響曲第1番 ニ長調 作品25」(古典交響曲)です この曲は1916年から翌17年にかけて作曲、1918年にペテログラードで初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「ガヴォット:ノン・トロッポ・アレグロ」、第4楽章「フィナーレ:モルト・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります
プロコフィエフは、この曲の作曲に当たって「もしもハイドンが現代に生まれていたらどんな曲を書いただろうか」と思い、ウィーン古典派流の擬古典的なスタイルを借りて、20世紀の新しい感覚を盛り込んだといいます
井上の指揮で第1楽章に入ります フルート、オーボエ、ファゴット、クラリネットといった木管楽器がよく歌います 第2楽章では冒頭の弦楽器のアンサンブルがクリアでとても美しい 第3楽章はハイドン風のユーモアを狙ったような曲想で、聴いていて楽しくなりました 第4楽章は超高速演奏によって駆け抜けます。爽快な演奏でした
満場の拍手に、井上 ✕ OEK弦楽セクションはアンコールに阿部公房原作、勅使河原宏監督映画「他人の顔」(1966年)から武満徹作曲「ワルツ」をロマン豊かに演奏、コンサートを締めくくりました