人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ブレイディみかこ著「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を読む ~ シンパシーとエンパシーの違いとは?

2021年07月25日 07時17分02秒 | 日記

25日(日)。昨日、マンションの管理組合の定期総会が開かれたので出席しました 昨年はコロナ禍のため欠席しましたが、今回はコロナワクチンを2回接種したので、取りあえずコロナの心配はないかな、と思って出席したのです 午前10時に開会なので会場の「区民ひろば」に行きましたが、閑散とした状況に唖然としました テーブルの向こう側の「理事会席」には8人もいるのに、こちら側の一般出席者(区分所有者)は、なななんと私一人だけなのです これには伏線があって、総会開会通知書に「新型コロナウイルス感染拡大防止のため、今回は縮小した形で定期総会を開催することといたします。定期総会へのご出席をお断りする趣旨ではございませんが、当日のご出席についてはご考慮頂き『委任状』もしくは『議決権行使書』のご提出をお願いしたく存じます」と書かれてあったのです 議長である理事長の説明によると、会場の「区民ひろば」は現在、コロナ禍の関係で入場制限があり、あまり多くの出席者があると断わらなくなてはいけなくなるので、開催通知書にある書き方になった」という説明でした 個人的には「総会にはいつもの限られた人しか出席しないのだから、いちいちそんなこと書かなくてもいいじゃないか」と思いますが、万が一のことがあるので仕方ないでしょう。せっかく出席したので、「管理員業務費の増額」について質問をし、意見を述べました また、役員は輪番制になっていますが、輪番表から一人の名前がもれていたので指摘しておきました 議題が多かったので議事終了は11時40分頃になりましたが、私が出席していなかったら半分の時間で済んでいたことでしょう

ということで、わが家に来てから今日で2388日目を迎え、東京五輪の競泳の決勝は、IOCに多額の放映権契約料を払っている米放送局がゴールデンタイムでの放送を希望するため、日本時間の午前10時半頃の開始となる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     五輪を真夏にやるのも 主要競技を米国時間の夜にやるのも 米スポンサーファースト

 

         

 

ブレイディみかこ著「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(新潮文庫)を読み終わりました ブレイディみかこは1965年福岡生まれ。県立修獸館高校卒。音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、96年から英国ブライトン在住。ロンドンの日系企業で数年間勤務したのち英国で保育士資格を取得 「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始。2007年「子どもたちの階級闘争」で新潮ドキュメント賞を、19年「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」で「Yahooニュース/本屋大賞2019年ノンフィクション本大賞」を受賞

 

     

 

本書は英国のブライトンで保育士として働くブレイディみかこさんが、2019年当時中学生だった息子との触れ合いを通して、英国の貧困、人種差別・分断等の問題を浮かび上がらせたノンフィクションです みかこさんの配偶者はロンドンの金融街シティの銀行に勤務していましたが、リストラに遭い、子供の頃から憧れていた大型ダンプの運転手をしているという大胆な人です 2人の間に生まれた息子は英国人と日本人の間に生まれたので「イエロー(黄色人種)でホワイト(白人)」ということになります 英語しか話せない息子は、学校の宿題で「ブルー」の意味を「怒り」と間違って書いて先生から添削されたとして、国語のノートの片隅に「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」と書きました みかこさんは「ブルー」の意味は「悲しみ」「気持ちがふさぎ込んでいること」であると教えます

息子はカトリック系の小学校に通っていたので、両親はカトリック系の中学校へ進学すると思っていたら、息子は公立の「元底辺中学校」を見学した時に気に入ってしまい、そちらに行きたいと言い出します カトリック系の中学校なら「いい子の集まり」で何の心配もないのですが、「元底辺中学校」は人種差別丸出しの移民の子や、アフリカから来た少女や、文武両道の中国人の少年など、様々な家庭の子どもたちが集まっているので、貧困や人種差別の問題がごく身近なところで発生し、自ら対応しなければなりません そんな環境の中、息子は「パンクな母ちゃん」とともに悩み 考えながら、友人を作り、問題を乗り越えていきます

息子が「移民の友人が黒人のクラスメイトに差別的なことを平気で言った。どうしてあんなことを言えるんだろう」と言った時、みかこさんは「無知なんだよ。誰かがそう言っているのを聞いて、大人はそういうことを言うんだと思って真似しているだけ」と答えます すると息子が「つまり、バカなの?」と忌々しそうに言うので、みかこさんは「いや、頭が悪いってことと無知ってことは違うから。知らないことは、知るときが来れば、その人は無知でなくなる」と教えます

息子が「期末試験の最初の問題は『エンパシーとは何か』だった。だから楽勝だった」と言うと、ダンプの父親が「ええっ。いきなり『エンパシーとは何か』とか言われても俺はわからねえぞ。それ、めっちゃディープっていうか、難しくね? で、お前、何て答えを書いたんだ?」と訊くと、息子は「自分で誰かの靴を履いてみること、って書いた」と答えます これについて みかこさんは、「自分で誰かの靴を履いてみること、というのは英語の定型表現であり、他人の立場に立ってみるという意味だ   日本語にすれば、 empathy は『共感』『感情移入』または『自己移入』と訳される言葉だ」とフォローします。さらに、みかこさんは次のようにコメントします

「エンパシーと混同される言葉にシンパシーがある。オックスフォード英英辞典のサイトによれば、シンパシー(sympathy)は①誰かをかわいそうだと思う感情、誰かの問題を理解して気にかけていることを示すこと。②ある考え、理念、組織などへの支持や同意を示す行為。③同じような意見や関心を持っている人々の間の友情や理解ーと書かれている 一方エンパシー( empathy )は『他人の感情や経験などを理解する能力』とシンプルに書かれている つまり、シンパシーの方は『感情や行為や理解』なのだが、エンパシーの方は『能力』なのである 前者はふつうに同情したり、共感したりすることのようだが、後者はどうもそうでなさそうである

「ケンブリッジ英英辞典のサイトに行くと、エンパシーの意味は『自分がその人の立場だったらどうだろうと想像することによって誰かの感情や経験を分かち合う能力』と書かれている つまり、シンパシーの方はかわいそうな立場の人や問題を抱えた人、自分と似たような意見を持っている人々に対して人間が抱く感情のことだから、自分で努力しなくとも自然に出てくる だが、エンパシーは違う。自分と違う理念や信念を持つ人や、別にかわいそうだとは思えない立場の人々が何を考えているのだろうと想像する力のことだ。シンパシーは感情的状態、エンパシーは知的作業とも言えるかもしれない

「EU離脱派と残留派、移民と英国人、様々なレイヤーの移民同士、階級の上下、貧富の差、高齢者と若年層などのありとあらゆる分断と対立が深刻化している英国で、11歳の子どもたちがエンパシーについて学んでいるというのは特筆に値する

とまとめています

本書は特に 中学生、高校生を持つ親御さんに親子で是非読んでほしい本です    もちろん、日本にも存在する貧困問題、差別問題を考える意味でも多くの人に読んでほしいと思います


コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (miminga33)
2021-07-25 23:12:08
こんばんは。
素敵な本の紹介を、ありがとうございます。
息子の夏休みの読書感想文用に購入しようかと思っています。
返信する
エンパシー (tora)
2021-07-26 08:22:00
miminga33さん コメントありがとうございました。

ブログが少しでもお役に立てるなら嬉しいです。

個人的には、読書感想文は大嫌いでしたが、物事を整理して考えて文章にすることは、とても大切なことだと思います。今になってそう思います
返信する

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