人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「クラシカル・プレイヤーズ東京 室内楽演奏会シリーズ第1回公演」を聴く

2013年10月25日 07時01分13秒 | 日記

25日(金)。昨夕、池袋の東京芸術劇場エントランス・ロビーで「クラシカル・プレイヤーズ東京 室内楽演奏会シリーズ」の「第1回:フルートと弦楽の調べ」公演を聴きました

チラシによると、会場が東京芸術劇場コンサートホール・エントランスとなっていたので、「さてエントランスとはどこのことかいな?」と思いながら劇場への長いエスカレーターを上がり、劇場の入口を入ると、すぐ左側のスペース(クロークの向かい側)にパイプ椅子が150ほど並べられていました 大きな円柱に挟まれた一角です。なるほどここでやるのか、と納得しました 全自由席なので右ブロック6列目の左通路側席を押さえました。入り口で配られたペラ1枚のプログラムによると全4曲を途中休憩なしで演奏し午後8時10分ごろ終演予定(所要時間:1時間10分)となっています

プログラムは①モーツアルト「ディヴェルティメントK.136]、②ハイドン「フルート三重奏曲第2番」③モーツアルト「ディヴェルティメントK.137」、④同「フルート四重奏曲第1番K.285」です

演奏はフルート=有田正広、ヴァイオリン=木村理恵、バッハ・コレギウム・ジャパン(B.C.J)でお馴染みの荒木優子、ヴィオラ=深沢美奈、チェロ=新日本フィル首席・竹澤秀平です 木村理恵さんと深沢美奈さんはクラシカル・プレイヤーズ東京のメンバーではありますが、B.C.Jなどでも見かけたような気がします。とにかく出演者はすべて古楽器を使用して演奏するので、竹澤秀平を除いて、普段は古楽器集団で演奏しているのだと思います

 

          

 

1曲目のモーツアルト「ディヴェルティメントK.136」は、向かって左から第1ヴァイオリン:木村、チェロ:竹澤、ヴィオラ:深沢、第2ヴァイオリン:荒木という態勢です。演奏に当たって木村が「ディヴェルティメントというのは”お楽しみ”という意味です この曲はモーツアルトが15歳の時の作品です」と解説しました

お馴染みのメロディーが古楽器特有の柔らかくしなやかな音色で奏でられます 楽器の数が少ないので一つ一つの楽器の音が際立って聴こえます モーツアルトの活躍していた時代にはこういう音で鳴っていたのだろうと想像しながら耳を傾けていました

2曲目はハイドンの「フルート、ヴァイオリンとチェロのためのトリオ第2番」です。有田のフルート、竹澤のチェロ、木村のヴァイオリンによって演奏されます。この3人の演奏者にとって技巧的にはそれほど難しくはないと思われる曲想ですが、彼らは有田を中心にていねいに演奏していました

 

          

 

第3曲目は再びモーツアルトに戻って「ディヴェルティメントK.137」がK.136と同じメンバーによって演奏されます その前に有田がマイクを引き受け聴衆に語りかけます

「いつもは大ホールで演奏するのに、今日は150人を入れてロビーでのコンサートです モーツアルトの活躍していた当時はこういうサロン的なこじんまりしたコンサートが普通だったのです。ところで、プロのわれわれでも、モーツアルトって本当に存在していたんだろうか?と疑問に思うことがあります 皆さんはそう思ったことはありませんか?当時モーツアルトが旅先からザルツブルクの父親あてに書いた手紙に面白いことが書いてあります。『コンサートに150人もの人が聴きに来てくれたんだよ。すごいでしょう。お金が儲かるよ』と。今日は同じ規模のコンサートです。儲かります」(会場・大爆笑)

有田正広という人は実にトークがうまいと思います 語りがゆっくりで分かり易いように話します。この曲はK.136と同様に”お楽しみ”に満ちた明るく楽しい曲想です

最後はモーツアルトの「フルート四重奏曲第1番」です。左から有田、荒木、竹澤、深沢という態勢です。ここでも有田の解説があります

「この曲を作曲した当時、モーツアルトは後に妻となるコンスタンツェの姉・アロイジア・ウェーバーに夢中になっていました そんな中、東インド会社のある人物からフルート協奏曲2曲とフルート四重奏曲4曲の作曲を依頼されます。報酬は今のお金に換算して約200万円です モーツアルトは東インド会社の人だからとして手紙に”インド人”と書いています ところが、彼はアロイジアに夢中で作曲どころではありません。そこで作曲を催促する故郷の父親からの手紙には『大嫌いなフルートのために作曲は出来ません』と別の言い訳をして返信したため、後世の人が”モーツアルトはフルートが嫌い”という誤ったイメージが定着してしまったのです 結局今残っているフルート協奏曲2つとフルート四重奏曲4つのうちどれが本当に彼が作曲した曲で、どれが”インド人”に渡された曲なのか判らないのですが、この時彼に支払われたのは約100万円だけでした そんな中で、フルート四重奏曲第1番は自筆譜が残っているので彼自身の作曲によるものであり”インド人”に渡されたことが分かっています

この曲の特徴は何と言っても、第2楽章「アダージョ」から第3楽章「ロンド、アレグレット」への移行の飛躍にあります 今にも死にかけているような悲しい表情が、次の瞬間、明るく希望に満ちた曲想に転換するのです。ここがこの曲の最大の魅力です

演奏は左から有田、荒木、竹澤、深沢、木村という態勢を採ります。この曲でもやわらかい弦の音は健在です 私の位置からはヴィオラの深沢さんが良く見えるので、自然と彼女の弾き振りを見つめることになりますが、実にニュアンスに満ちた良い演奏をします

アンコールに全員でボッケリー二の曲を演奏しました。たまにはこのような”解放区”での室内楽も良いものだと思います 次回のクラシカル・プレイヤーズ東京の公演は来年2月1日(土)午後2時からですが、室内楽演奏会第2回は3月21日(金・祝)午後6時からとなっています。2月の方はすでにチケットを入手済みで、3月の方は11月15日発売とのことなので、これも入手するつもりです

 

          

 

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