人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

メトロポリタン・オペラ第2弾~ベルディ「ドン・カルロ」を観る

2011年06月11日 09時23分42秒 | 日記
11日(土).昨夕NHKホールでメトロポリタン・オペラ東京公演第2弾=ベルディ「ドン・カルロ」を観ました.座席は1階C16列1番で,中央ブロックの左通路側です.どうしても通路側にこだわってしまいます

一昨日と同じように,開演に先立ってメト・オペラのピーター・ゲルブ総裁があいさつしました.
「東日本大震災で被災された方々とご家族に心からお悔やみ申し上げる.今回,急なキャンセルで来日できなかった歌手がいるが,考えようによっては新しい才能に接するいい機会にもなる.代替歌手は日本ではそれ程知られていないが,アメリカではすでに高い評価を得ている歌手ばかりである.ポプラフスカヤ,リー,グバノバなどである.きょうの公演はメトが自信を持ってお贈りする.お楽しみいただきたい

一昨日のコン・マスは女性でしたが,昨夕は男性でした.レバインに代わってタクトを振るのはファビオ・ルイジ.歌手陣はドン・カルロ=ヨンフン・リー(テノール),ロドリーゴ=ホロストフスキー(バリトン),エリザべッタ=ポプラフスカヤ(ソプラノ),エボリ公女=グバノバ(メゾ・ソプラノ),フィリポ2世=ルネ・パーぺ(バス),宗教裁判長=コーツァン(バス)ほか.

ポプラフスカヤは,ラ・ボエームのミミ役に回ったフリットリの代役です.METオペラ・ライブビューイングでは「トゥーランドット」のリュー,「ドン・カルロ」のエリザべッタを歌っていたので,その実力はある程度わかっていたのですが,実際にナマで聴くと説得力あるソプラノといったらいいのか,相当の実力者です.第5幕のアリア「世のむなしさを知る神」などは思わず聴き入ってしまいました

ヨンフン・リーはカウフマンの代役で,韓国出身の新鋭です.すでに世界中のオペラ劇場で歌っており高い評価を得ているとのことです.ナマで聴いて納得しました.ここでも韓国パワー恐るべしといったところでしょうか.

ルネ・パーぺはMETオペラ・ライブビューイングでは「ボリス・ゴドゥノフ」でタイトル・ロールを歌っていました.第4幕第1場のアリア「妻は一度も私を愛したことはない」は孤独と寂寥感があふれていました.恐らく現在最高のバスではないでしょうか.

そして何といっても実力・人気ともに備わっているのがホロストフスキーです.シルバー・グレイの長い髪がトレード・マークで,その立ち姿はカッコイイの一言です METオペラ・ライブビューイングでは「イル・トロバトーレ」でルーナ伯爵を歌って盛んなを浴びていました.第2幕第1場のカルロとロドリーゴの二重唱「共に生き,共に死ぬ」などは力強く素晴らしいの一言.

グバノバはボロディナの代役です.第2幕第2場の「美しいサラセンの宮殿の庭に」は優雅で,第4幕第1場のアリア「むごい運命よ」はドラマチックでした.

ベルディの「イル・トロバトーレ」は主役級の歌手を4人揃えればよいのですが,この「ドン・カルロ」は6人揃えなければなりません.そのうち3人が代役での公演でしたが,この水準の高さをどう表現したらいいのでしょうか

最後に特筆すべきは,ファビオ・ルイジ指揮によるメトロポリタン歌劇場管弦楽団の演奏です.第1幕冒頭から深い音楽性に支えられた素晴らしい演奏でしたある時は歌手に寄り添い,ある時は自ら歌っていました.メト・オペラの底力を感じさせられました.

午後6時に始まった公演が終わったのは10時40分を過ぎていました.ホールの外へ出ると小雨が降っていました.オペラの余韻を楽しみながらなしで渋谷の街を歩きました.

次のメト公演は19日(日)にドニゼッティの「ランメルモールのルチア」を東京文化会館に聴きに行きます.ダムラウのタイトル・ロールの「狂乱の場」が今から楽しみです

[写真右はロドリーゴ役のホロストフスキー]

  
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