人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

メトロポリタン・オペラ開幕!~プッチーニ「ラ・ボエーム」を観る

2011年06月09日 07時14分51秒 | 日記
9日(水).いよいよ待望の「メトロポリタン・オペラ」来日公演の開幕です 昨夕,NHKホールでプッチーニ「ラ・ボエーム」を観てきました 会場入り口で公演プログラムを配っていたのにはビックリしました.フル・カラー70ページを超えるボリュームで無料!通常だと2,000円は取られるところでしょう.このたびの大震災で主役級の歌手が来日出来なくなったことに対するエクスキューズでしょうか.招聘元のジャパン・アーツの配慮だと思いますが,経済的な負担は小さくないでしょう.しかし,S席で64,000円も取るのですから当然と言えば当然の配慮とも言えるでしょうか

開幕に当たって,メト・オペラ総裁のピーター・ゲルブが通訳を伴って舞台に登場しあいさつしました.
「このたびの東日本大震災で犠牲になられた方々と家族の皆様に謹んでお悔やみ申し上げる.大震災後初めて日本でのオペラ公演を挙行することに誇りをもっている.今回の大震災の影響を受けて残念ながら来日できなくなった歌手もいるが,代わりに出演するのは世界的にも一流のアーティストである.われわれの決断を慮って他のオペラも後に続いてほしい.きょうは最高の舞台を楽しんでいただきたい

座席は1階20列12番.センター通路側の一番後ろの席(すぐ真上が2階最前列の席)です.メト・オペラが何年か前にNHKホールでサン・サーンスの「サムソンとデリラ」を上演(ドミンゴほか)した時とまったく同じ席でした.その時は小泉首相が真上の2階席で聴衆に手を振っていたのが印象に残っています.

コンサート・マスターの合図でチューニングが始まりましたが,若い女性が務めていました.正確にはコンサート・ミストレスというのでしょうか.プログラムには「コンサート・マスター」の文字しかありませんでしたが

出演者はミミ=フリットリ(ソプラノ),ロドルフォ=ベチャワ(テノール),マルチェッロ=クビエチェン(バリトン),コッリーネ=レリエ(バス・バリトン),ショナール=パークス(バリトン),ムゼッタ=フィリップス(ソプラノ)ほか.指揮はジェイムス・レバインの代役ファビオ・ルイジ.オケはメトロポリタン歌劇場管弦楽団.フリットリはもともとベルディ「ドン・カルロ」のエリザベッタを歌う予定だったのを,ネトレプコが来日しなくなったため急きょ代役を務めることになったものです.急な変更にも応えて歌えるのですからプロですね.もっとも,フリットリは1年前のトリノ王立歌劇場来日公演でミミを歌って絶賛を博したということですから,代役なんて”朝飯前”といったところでしょうか.

今回のオペラの最大の特徴は演出・美術です.映画METオペラ・ライブビューイングで観たのと全く同じ舞台,フランコ・ゼッフィレッリによるものです.細かい所までこだわって”リアリズム”を追求する演出・美術とでも言うべき華麗な舞台です 本物の馬も登場します.特に第2幕「カフェ・モミュスにて」の舞台は群集によるコーラスとともに,そのスケールに圧倒され,幕開けとともに思わず拍手が沸きあがりました.夢の舞台です

歌手陣は世界最高レベルと言っても差し支えないでしょう.とくにロドルフォ役のベチャワとミミ役のフリットリ,そしてマルチェッロ役のクビエチェン,ムゼッタ役のフィリップスは,声もよく通り,それぞれの役柄にあった声質で最良の歌を聴かせてくれました

今回のオペラ公演を観て改めて思うのは,「オペラは総合芸術だ」ということです.まず歌手が揃っていなければなりません.そして演出・美術が優れていなければなりません.バックのオーケストラ・コーラスもしっかりしていなければなりません.それらが揃って初めて今回のような素晴らしい公演が可能なのだと思います

ミミが息を引き取る最後のシーンは涙なくしては観られません.オーケストラの最後の音が鳴り終わると,一瞬間を置いて割れんばかりの拍手が舞台に押し寄せました.最後はスタンディング・オベーションです

実際に観て,聴いて思うのはメトロポリタン・オペラを一流と言うのは間違っています.正確には超一流と言うべきでしょう 明日はベルディの「ドン・カルロ」を観るため再びNHKホールに行きます

[写真左は公演プログラム.同右は第2幕「カフェ・モミュスにて」の舞台]

  
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