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明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(412)アメリカは300キロ以上の自主避難を検討していた

2012年02月23日 23時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120223 23:30)

昨日、アメリカが福島原発事故の直後に、80キロ圏内の避難を自国民に通達し、
日本政府にも勧告を行なっていたことをお伝えしましたが、さらに東京新聞で、
アメリカが、300キロ以上離れた自国民に対しても、自主避難を促す検討を行
なっていたことが明らかにされました。

記事はやりとりの様子を次のように報告しています。
「議事録には、別の出席者が否定的な考えを示したにもかかわらず、なおも「正
しいのは、被ばくを合理的に達成可能な限り低く抑えることだ」と食い下がる様
子が克明に記録されている。」

実際には、300キロ以上のアメリカ国民への、自主避難勧告はなされなかった
のですが、このような論議が行われていたことが、今の時点で公開された点も重
要です。なぜなら日本政府の側が当時、何をどう考えたのかについては、「議事
録が残されていない」ことを理由に、明らかにされていないからです。

議事録を残さなかったこと自身が非常に罪深いことですが、あのような事態を前
に議事録を残さないなど考えられることではなく、議事録がないことを理由に、
またも事実を隠蔽してるのではないかという指摘もなされています。そして肝心
なことはそれでは事故への対処が正しかったのか否かが検証されず、経験が生か
されないこと、だから同じ過ちが必然的に引き起こされうるということです。
それが今、私たちの前にある危機の実相です。

今回の福島原発事故が明らかにしたのは、原発をめぐる「安全神話」の恐ろしさ
でした。原発は絶対に深刻な事故を起こさないという「想定」のもと、もし事故
が起こった時の対応が何もなされていませんでした。そのために避けられるべき
たくさんの人々の被爆が避けられませんでした。

ところがそのことが何ら反省されていません。それどころか、安全神話は、むし
ろ現に漏れ出した放射能への対応へと拡大し、今なお、避けられる被曝がえんえ
んと続いているのが実情です。福島原発そのものも、プラントとしては完全に破
産し、応急措置の積み重ねで、ぎりぎりで保たれていて、地震や津波で、いっぺ
んに危機が深刻化しうる状態にあるのに、その危機をみすえた避難訓練ひとつ、
行われていません。意図的にそのことが避けられているのです。

これは津波への対応が改められてようとしていることと、極端な対照をなす問題
です。今回の津波のときに、テレビなどで「予想される津波の高さは何メートル
です」という報道がなされましたが、実際にはそれよりも大きな津波がきてしまっ
た。にもかかわらず、この数値を信じて逃げ遅れた人々がいると思われるため、
今後はこうした数値を使わず、「大きな津波」などの表現に変えるというのです。

こうした捉え返しはとても重要であり、当然にも進められなければならないこと
です。災害が想定を超えてしまったのなら、想定を変えなければいけない。とこ
ろがこのことが、こと原発事故に関してはまったく何もなされていないのです。
ほとんどごまかしの「シビアアクシデント対策」が語られただけです。さらに繰
り返し強調しますが、まったくの想定外である、現在の福島第一原発の状況に即
した、災害対策・避難対策が何もなされていないのです。

こうした事態を打開するためには、市民がアクションを起こしていくしかあり
ません。アメリカの勧告を日本政府が無視したという事実、また原発の状況は
あのころ政府やマスコミが伝えていたよりも、格段に深刻だったという事実から
私たちが学び、自分たちに突きつけるべきことは、今もまったく状況はまったく
変わらないという事実です。事態は政府やマスコミが今、語っているよりも格段
に深刻なのだということです。

この点を踏まえ、私たちが何をなすべきかに結びつく情報解析と発信を続けたい
と思います。

**********************

深刻さ認識 米緊迫 福島事故で規制委
東京新聞 2012年2月23日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2012022302000019.html

【ワシントン=共同】東京電力福島第一原発事故で、米原子力規制委員会(NR
C)が公表した電話会議などの議事録で、原発から三百キロ以上離れた場所にい
る米国民についても、自主避難を呼び掛けるかどうか議論していたことが二十二
日、明らかになった。

実際には、米国による避難勧告は半径八十キロ以内だったが、自国民の安全確保
を最優先に、さまざまな検討を行った様子が浮き彫りになっている。

昨年三月十三日の議事録によると、第一原発から百八十五キロ離れた海域で、米
側が通常の約三十倍の放射線量を検出した。

当時、日本は半径二十キロを避難指示、二十~三十キロを屋内退避としていたが、
同十六日の電話会議の出席者は「もはや日本の避難勧告には同意せず、原発から
五十マイル(八十キロ)以内の米国民に避難を勧告する」と伝えた。

この日の別の電話会議では、ある出席者が「第一原発から二百四十~三百二十キロ
で場合によっては一~二レム(一〇~二〇ミリシーベルト)の被ばくになる」との
予測を示し「この水準の被ばくを避けるため、自主的な避難を勧告するのが理にか
なうことではないか」と主張した。

議事録には、別の出席者が否定的な考えを示したにもかかわらず、なおも「正しい
のは、被ばくを合理的に達成可能な限り低く抑えることだ」と食い下がる様子が克
明に記録されている。

同十七日の議事録には、米国民を避難させる飛行機の手配に関するやりとりも。あ
る出席者は、フライトの半分は大使館員用、もう半分は一般の米国民用と説明。さ
らに「避難は自己判断だが、できるだけチャーター機を準備しようとしている」と
述べた。

藤村修官房長官は二十二日の記者会見で、米原子力規制委員会が、東京電力福島第
一原発事故発生直後から炉心溶融の可能性を指摘していた内部文書を公表したこと
に関し「当時の対応は政府や国会が検証中で、コメントすることはない」と言及を
避けた。

原発事故当事国として、震災関連会議の議事録が作成されていなかったことに関し
ては「記者会見などで情報発信はしたが、文書で随時記録されていなかったことは
事実。誠に遺憾だ」と述べた。

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明日に向けて(411)アメリカは80キロ圏内退避をも日本政府に提起していた!

2012年02月22日 23時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120222 23:30)

なんでもアメリカのいいなりになる、私たちの情けない政府が、珍しくアメリカ
の勧告を無視していたことが明らかにされました。なにかといえば福島原発事故
直後の退避に関する勧告です。アメリカは昨年3月12日には、炉心損傷の可能
性ありとして、半径50マイル=80キロ圏内退避を提案したいたというのです。
いつもはアメリカに容易に屈する日本政府が、自らの対面を守る時だけは、勧告
をつっぱねた。・・・ため息がでます。

もちろん、なんでもアメリカに従えばいいなどとはまったく思いませんが、少な
くとも、このとき、この勧告を受け入れていれば、15日の高濃度の放射能の漏
出による被曝から多くの人々を救うことができたはずです。80キロ圏内の人々
が逃げ出していれば、どれだけこれからの惨劇が防げたかと思うととても残念な
思いがします。勧告を無視し、あたら住民を被曝させてしまった責任者は鋭く追
求され、妥当な処罰が与えられるべきです。

ところが政府や役人たちは、それを避けることにばかり頭を使っている。何が
なされているのかといえば被曝隠しです。100ミリシーベルト以下では、影響
がないなどと、原子力推進派の国際放射線防護委員会(ICRP)ですら認めていな
い見解を流布し、これ以内だったから健康被害は生じない=政府に責任はないと
いう見解を押し通そうとしているのです。

ただこの記事には、大きく欠けているものがあります。アメリカがこの80キロ
圏内退避勧告を、自国民に対して、その後も長く継続してきたことです。これが
解除されたのは、ようやくにして昨年の10月8日です。しかも「計画的避難区
域・特定避難推奨地点」を除くとされたほか、30キロ圏内において、妊婦・こ
ども・高齢者の居住禁止を続けることをこの時点で明示しています!その意味で、
日本政府はアメリカの勧告と判断を、その後も無視し続けて、いまも無視してい
るのです。

さらにこうした事実は、今後、再びどこかの原発で深刻な事態がおこったときに
必ずまた同じことが繰り返されることを暗示するものです。なにせ、判断を間違
えたことを認めていないのですから。昨年3月の事故対応のあやまりやまずさを
捉え返し、避難訓練に反映させる・・・ことなど何もしてないのですから。まさ
に私たちは、二度でも三度でも、政府に見殺しにされ、被曝を強制されかねませ
ん。この記事から読み取るべきことは、過去のことではなく、こうした今、私
たちの目の前にある危機です。

市民の側で事故への備えを強めていくこと、避難訓練を含めて可能な準備をして
いくことの重要性がますます浮かびあがっています。この事実をこそ、読み取っ
ておきましょう。

*********************

米当局 メルトダウン想定して対応
NHK NWESWEB 2月22日 19時30分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120222/k10013199921000.html

アメリカ原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の事故発生直後の委
員会内部のやり取りを記録した議事録を公表しました。この中では、アメリカ当局
が、事故発生から5日後には、最悪の事態を想定すると1号機から3号機までの3
つの原子炉がすべてメルトダウンする可能性もあるとして、日本政府が付近の住民
に出した避難・屋内退避指示よりも広い範囲の勧告を行うよう提起していたことが
分かりました。

アメリカ原子力規制委員会は、21日、東日本大震災が発生した去年3月11日か
ら10日間にわたる、委員会内部の電話などによる緊急会議のやり取りを記した
3000ページ以上にわたる議事録を公表しました。

それによりますと、事故発生から2日後のアメリカ東部時間12日には、福島第一
原発の敷地内の周辺でセシウムなどが検出されたことが分かったことから、少なく
とも原子炉内部で部分的な炉心損傷が起きている可能性があるなどとして、発電所
から半径50マイル=およそ80キロ圏内に避難勧告を出すべきはないかと、幹部
が原子力委員会に対して進言していたことが分かりました。

さらに、16日には、原子力規制委員会のヤツコ委員長が、最悪の事態を想定する
と、1号機から3号機までの3つの原子炉がすべてメルトダウンする可能性もある
と指摘し、また、ボーチャード事務局長が、「同じ事態がアメリカ国内で発生すれ
ば、原発から50マイル以内には避難勧告を出すのが妥当だと思われる」と述べて、
日本政府が福島第一原発の付近の住民に出した半径20キロ圏内の避難指示、20
キロから30キロ圏の屋内退避指示よりも広い範囲の勧告を行うよう、委員会に
提起していたことが分かりました。

今回、公表された議事録は、アメリカの規制当局が福島第一原発の事故を受けてど
のような初動対応を行ったかを示す資料だけに、関心を集めるものとみられます。

錯そうする情報

今回公開された議事録からは、事故直後の情報の錯そうぶりも伝わってきます。
3月16日の早い段階では、東京で対応に当たっている専門家チームのメンバーが、
「東京電力から、4号機の使用済み燃料プールに水が残っていないとの情報を得た」
として、とにかく注水を急ぐべきだとしています。しかし、ヤツコ委員長らが、
50マイル圏内の避難勧告を出すと決めたあと、同じ日の遅い時間になって、
「東京電力は、燃料プールに水が残っていないとは言っていない」という情報がも
たらされ、委員長が、正確な情報を改めてスタッフにただす様子もうかがえます。

専門家チームのカスト代表は、「東京電力が扱うには、あまりに問題が大きすぎる」
と漏らし、日本側との間で、情報が錯そうしていたことをうかがわせています。

議事録とは

公開された議事録は、原子力の安全規制を担当する原子力規制委員会が、アメリカ
として、東京電力福島第一原子力発電所の事故への対応を検討するために開いた電
話会議などの内容を記録したものです。議事録は、アメリカの情報公開法に基づい
て公開され、事故が発生した3月11日から20日までの10日分、合わせて
3200ページ余りに上ります。

議事録には、原子力規制委員会のトップであるヤツコ委員長と、日本に派遣されて
いた担当者などとの間で交わされたやり取りが詳細に記され、日本側から得られた
福島第一原発に関する情報などを基に、委員会が日本に滞在するアメリカ人の避難
などを検討していった様子がうかがえます。一方、議事録では、日本にいる担当者
と当時の北澤防衛大臣ら防衛省幹部とのやり取りを記した部分など一部が黒く塗り
つぶされ公開されていません。非公開の理由について、委員会側は、「外国からも
たらされた情報で機密に当たる」と説明しています。
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明日に向けて(410)放射線測定器の数値改ざんを要請した文科省が新たに放射線量公表を開始

2012年02月21日 23時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120221 23:30)

このところ、内部被曝を解説するブックレットづくりなどに追われて、「明日に
向けて」の更新ができていませんでした。みなさま、申し訳ありません。まだ
他の原稿の執筆中なのですが、どうにも見逃せない記事を発見したので、論じて
おこうと思います。作成中のブックレットについては、後に詳しく報告させてい
ただきます。

さて問題の記事は、「福島県内の空放射線量、10分毎にHPで公開 文科省」
というタイトルで書かれてものです。記事内容によると文科省は約26億円か
けて「リアルタイム線量測定システム」と作ったとのことで、ウェブでデータが
みれるとされています。

しかし注目すべき点はそのあとに書いてあること。以下、記事をコピーします。
「このシステムをめぐっては、昨年7月に最初の600台分の競争入札をし、東京
都中野区の「アルファ通信」が落札。しかし、文科省は測定精度に問題があるなど
として同社との契約を解除した。」

この記事を読んだときに、僕は「ああ、あれのことか」とピンときました。実は
1月16日に福島市を訪ねたときに渡利地区を訪問し、「子ども福島ネットワーク」
の中手聖一さんに数カ所を案内していただいて、渡利小学校も訪れたのですが、そ
のときにいまだ校庭に設置されたままになっていて目撃することができたのが、
この装置だったからです。

中手さんは次のように説明してくれました。「あれは文科省が鳴り物入りで設置
した器械ですが、しばらくして数値の精度が悪いということで、使用されなくなっ
たのです。ところが文科省の発表に対し、納入会社の社長が激怒し、数値がおかし
いのではない。そもそもこれはアメリカ軍も使っているものだ。それを設置すると
き、文科省が低い値をだせと強行に要請してきたのだ、と事実をバラしてしまった
のです」

ようするに文科省が数値改ざんを行なっていたわけです。今回の記事で僕ははじめ
てこの業者が「アルファ通信」という会社であることを知りましたが、それで検索
してみて、この事実を、昨年12月に日刊ゲンダイ紙が報道していることを知りま
した。同社の豊田社長のコメントも載っているので、末尾に貼り付けておきます。

この事実からすぐにも推察できることは、今回の「リアルタイム線量測定システム」
もまったく信用できないということです。どんなに優秀な機材でも、当たり前の
ことですが、数値設定を変えれば、いくらでも測定値をごまかすことができてしま
います。実際にこうしたことを行い、なんの反省もしてない文科省が、今回ばかり
は誠実に測定すると考えるほうがまったく不合理です。

こうした悪質な改ざんに対抗するには、市民の側がイニシアチブをとった測定を
行い続けることが重要です。各地で市民放射能測定所の設置が進んでいますが、
この動きをさらに加速させていきましょう。

それにしても、僕は小さい頃に、大人たちから「嘘つきは泥棒のはじまり」と教え
られたものでした。同じ言葉を聞いた方が多いと思います。それを文科省に当ては
めたらどうなるでしょうか。しかも文科省は、教育を司る省庁なのです。こうした
文科省の「うそ」に、この国の暗い状態が象徴されているように思えます。国の役
人が平気で「うそ」をつき続けるこうしたあり方を覆すこと。僕にはそれもまた
子どもたちの未来を守る大切な行いであると思えるのです。

**********

福島県内の空間放射線量、10分毎にHPで公開 文科省
朝日新聞 2012年2月21日18時11分
http://www.asahi.com/national/update/0221/TKY201202210442.html

文部科学省は21日、福島県内の学校や公園など約2700カ所で計測した放射線
量の公表を始めた。10分ごとの線量を文科省のウェブサイト
(http://radiomap.mext.go.jp/ja/)で見ることができる。

約26億円をかけた「リアルタイム線量測定システム」。幼稚園、保育園、小学校
では地上50センチ、中学・高校や公共施設などでは地上1メートルのガンマ線の
空間線量を測る。太陽電池で動き、内蔵の携帯電話端末でデータを自動的に文科省
のサーバーに送る。

ウェブサイトでは、地図に重なって線量計の位置が表示され、現在の線量やこれま
での線量の変化を確認できる。

このシステムをめぐっては、昨年7月に最初の600台分の競争入札をし、東京都
中野区の「アルファ通信」が落札。しかし、文科省は測定精度に問題があるなどと
して同社との契約を解除した。その後、NEC、富士電機の両社と契約し、当初予
定より約4カ月遅れて稼働にこぎつけた。

福島県のウェブサイト(http://wwwcms.pref.fukushima.jp/)からもアクセスできる。

**********

放射線測定器「文科省は数値改ざんを要求してきた」
日刊ゲンダイ 2011年12月9日 掲載
http://gendai.net/articles/view/syakai/134129

設置業者が怒りの告発

「文科省が放射線測定器の数値“改ざん”を求めてきた」――。福島の小学校に放
射線測定器の設置を進めてきた業者が怒りの告発だ。この業者は、測定器設置の事
業を落札した「アルファ通信」(東京)。11月中旬、測定器の「欠陥」や「納期
遅延」を理由に文科省から契約を解除されたのだが、豊田勝則社長(66)は「解
除された真相は全く違う」と反論するのだ。

文科省は現在、福島県内の学校、公園などの放射線量を測り、結果をホームページ
で公開する事業を進めている。測定器は2700台の設置を予定し、このうち600
台を落札したのが「アルファ通信」だった。豊田社長がこう言う。

「文科省は、契約を解除したのは『測定数値が4割低いなど誤差が大きい』『技術
仕様に沿っていない』と説明していますが、とんでもない。納品したのは米軍でも
使われている測定器です。性能に問題はありません。それに文科省も入札時の技術
審査で認めたからこそ、契約したはずです」

確かにその通りだ。「アルファ通信」は10月上旬、県など行政関係者が見守る中
で「福島第一小学校」への公開設置も行っている。測定器が「欠陥」なら、文科省
はもっと早く指摘できた。

「納期遅延」も原因は文科省にあるという。

「600台中、130台の納品が遅れたのは事実です。しかし、それは文科省がム
リな仕様変更を迫ったからです。測定器は測った放射線量の数値をそのまま表示す
るわけではなく、機器に内蔵されたソフトで計算して表示します。文科省はそのソ
フトに『補正』を求めてきた。米国製の測定器は、他の測定器と比べて数値が高く
表示される。これを嫌がったのでしょう。文科省は表示される数値を2割程度、低
くするように言ってきました。2割も補正するなんて、数値改ざんです。案の定、
測定器メーカーに相談すると、『世界仕様なのになぜ、日本基準にする必要がある
のか』と断られました。そうこうしている間に納品が遅れたのです」(豊田社長)

これが本当なら驚きだ。文科省に事実確認すると、こう答えた。

「第三者機関の放射線計測協会で検査したところ、誤差が大きかった。(ソフトに)
数値の補正を求めたかどうかはともかく、仕様書にのっとっていないと判断して解
除しました」(原子力安全課)

放射線測定器の性能をめぐるバトルで設置が大幅に遅れるのは確実。福島県民も
タマったもんじゃないだろう。
コメント (1)
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明日に向けて(409)滋賀県大津市で明日18日にお話します!+岩倉講演のビデオ

2012年02月17日 21時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120217 21:30)

直前のお知らせになって恐縮ですが、明日18日、滋賀県大津市で東北への取材
の報告を行います。昨年5月、8月、今年1月に訪れた気仙沼のビデオ、昨年10月
と今年1月に訪れた福島市内の写真、同じく1月に訪れた宮城県の2つの放射能測
定室での映像・写真などを中心にお話します。お近くのみなさん、お越しください。

なお1月29日に、岩倉奉賛会集会所で行われた「楽しい日曜日」での講演を、
友人が丁寧に編集してネット上にアップしてくださいました。アドレスを末尾
に貼り付けます。この日は、僕がこれまでお話させていたあらゆる場の中でも
一番、子どもが多い集会場だったのはと思います。ぜひ、会場の雰囲気だけでも
ごらんください。主催者の素敵な集会づくりのセンスが伝わってくると思います。
みなさんにこの雰囲気をお伝えしたいと思っていたので、アップしてくれた友人
に大感謝です!

*****************

守田敏也さんお話し会
東北からのたより  
~今だから、知って欲しい被災地の現状 震災・津波・原発事故~
http://asunowa.shiga-saku.net/

東日本大震災、福島第1原発事故から11ヶ月。
私たちネットワークあすのわは、3.11をきっかけに、原発とは?放射能と
は?内部被曝とは?これからの暮らし方は?の勉強会を開いてきました。
今回は、フリーライターの守田敏也さんを講師にお招きし、東北での取材活動
の報告をしていただきます。また、今年1月に立ち上がった内部被爆問題研究
会についてもお話しいただく予定です。

2012年2月18日(土)
会場 旧大津公会堂 多目的室
受付 9時40分~  講演 10:00~12:00

参加費 : 800円  参加される方はご予約をお願いします。
*避難者の方、障がいをお持ちの方、中学生以下は無料です。
*定員40名になり次第、締め切りますのでご了承ください。
*託児はありませんが、お子様連れでご参加いただけます。

参加申し込み・お問い合わせ
℡ 077-586-0623 Fax 077-586-1403
 (暮らしを考える会内 藤本)
メール enagakun@zeus.eonet.ne.jp
主催 : ネットワークあすのわ 守田敏也さんお話し会プロジェクト

守田敏也さんからのメッセージ
1月16日に福島市を訪問し、高線量地帯の渡利地区を歩いてきました。
またその後に宮城県南部の二つの市民放射線測定室を訪れました。
そこで見てきたこと、出会った方たちのことをお伝えし、原発事故被災地の
人々とともに、どうやって未来を切り拓くのか、みなさんと考えたいと思っ
ています。どうかお越しください。

守田敏也さんプロフィール
1959年生まれ。京都市在住。同志社大学社会的共通資本研センター客員フェロー
などを経て、現在フリーライターとして取材活動を続けながら、社会的共通資本
に関する研究を進めている 。ナラ枯れ問題に深く関わり京都大文字山での害虫
防除なども実施。原子力政策に関しても独自の研究と批判活動を続け、3.11以降
は、連日、ブログ「明日に向けて」を通じて原発情報を発信。各地で講演を行い
つつ、放射線被曝の恐ろしさを明らかにし、防護を訴えている。10月からは福島
における放射能除染回復プロジェクトにも参加。宮城県南部での市民放射線測定
室の立ちあげにも関わっている。

*****

楽しい日曜日 岩倉奉賛会集会所 20120129

ダイジェスト
http://www.youtube.com/watch?v=XY0JfPv-mO4

1「最悪のシナリオ」
http://www.youtube.com/watch?v=w9HGSGii5Nc

2「福島の現状」
http://www.youtube.com/watch?v=OeMggkx4R0I

3「福島の放射能汚染の現実」
http://www.youtube.com/watch?v=-aLJMH1Nfso&feature=related

4「福島の放射能汚染1月」
http://www.youtube.com/watch?v=wA1mH1OTKuc

5「肥田舜太郎さん」
http://www.youtube.com/watch?v=Z7DpzTlLjtE

6「内部被曝について」
http://www.youtube.com/watch?v=o_9Pygutzd8

7「放射能の時代に生きる」
http://www.youtube.com/watch?v=nOogL7u2YAU&feature=related

8「質疑応答1」
http://www.youtube.com/watch?v=HoZltcn0etk&feature=related

9「質疑応答2」
http://www.youtube.com/watch?v=P5vZG8zQZZs&feature=related

10「質疑応答」3
http://www.youtube.com/watch?v=rl4H3gjEUfg&feature=related
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明日に向けて(408)『福島の子どもたちからの手紙(朝日新聞出版)』を読む

2012年02月15日 23時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120215 23:30)

京都には福島から避難してきている家族がたくさんいます。その中の一人の方か
ら『福島の子どもたちからの手紙』という本を紹介されました。「ぜひ読んで下
さい」とも。さっそく購入して読みましたが、涙なくしては読めませんでした。
手紙を書いている子どもたちが愛おしく、大人としての責任を感じて、いても
たってもいられない思いにかられました。

ひとりでも多くの方に、この本を読んでほしいと思います。そのために幾つかを
紹介させていただこうと思います。本の構成では、福島から避難した子どもたち
の手紙がはじめに載せられ、後半に福島にいまも住む子どもたちからの手紙が載
せられているのですが、ここでは、福島にいる子どもたちの手紙から紹介します。

なお原文は、ほぼすべて子どもたちの手書きです。それぞれに挿絵などもついて
います。小学生の子たちは、鉛筆で書いている子が多い。この本を手にとって、
その字を辿っていると、子どもたちがこれを書いている姿が浮かび上がってきま
す。ワープロの活字でそれがどこまで表現できるかわかりませんが、ともあれ、
これをきっかけに手にとっていただければと思います。なおここに載せるために
選ぶのに苦労しました。どれがいいとか選択できるものではないからです。すべ
ての文が愛おしいです・・・。

同書は、定価1300円+税 2012年2月29日の日付で第1刷が発行されています。
詳細は以下をご覧ください。
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=13466

*************

『福島の子どもたちからの手紙』

福島にとどまる子どもたち


そとであそんだり おさんぽをしたり プールであそべないのがかなしいです。
またそとであそびたいのでそれをどうにかしてください。プールはいつになった
らはいれますか そとでおもいきりあそびたいです。でもふくしまにはほうしゃ
のうがあるのでそとであそべないのでざんねんです。またそとであそべたらいい
なとおもいます。

福島市 小1 高野りりか


そうり大じんさまへ

はやくいわきからほうしゃせんをなくして、すみやすいとちにしてください。
あと、日本のげんぱつをなくしてください
小林愛佳より

いわき市 小3 小林愛佳


山の木
川の魚
海の魚
森のいき物
私の夢
かえしてください

福島市 小学校高学年 啓斗


ことしはほうしゃのうのえいきょうでプールに入れず、また、たくさんの友だち
が、ひなんしたり、てんこうしたりして仲の良かった友だちが、ほとんどいなく
なってしまいました。
げんぱつさえなければ、という思いでむねがいっぱいになりました。ぼくには
いもうとがいて、まだ1さいなので、いもうとのしょうらいが、しんぱいです。
6年生になったらもどってくる友だちや、もしかしたら帰ってこない友だち、
いろいろいるので、少しでも、早く友だちに、すてきなふるさと、ふくしまに
かえってきてほしいです!!

福島市 小5 宗像留椰


えらい人へ

わたしの町はいつになったらきれいになるんですか すんでいてもだいじょうぶ
なのですか がんにならないのですか
わたしのまわりの草はいつとってくれるんですか。
手あらいとうがいマスクだけでいいのですか
早くそとであそべるようにしてください。

福島市 小4 佐々木もえ



避難した子どもたち


「わたしは何さいまで生きられますか?」

なんで、わたしだけ、転校しないといけないんですか、毎日長そで、長ズボン、
マスク、ボウシでとても暑い日にもいっています。外でも遊べません。まども、
去年のようにはあけられません。
わたしのお母さんは、いつもニュースを見るかパソコンをしています。
わたしは、2学期から転校します。あと7日間しか、学校にいれません。とっても
いやでとってもかなしいです。
TVでは、福島市○○は安全ですといっているけど、じっさいに、こうえん会に
いくと、いろんな人があぶないと言っています。
他の権の人達も、福島の子供、わたしたちを福島県からにがそうと、いろいろな
プロジェクトを考えてくれています。
なぜ福島市は、ひなんにならないのですか。

福島市 小5 もえ


・外であそびたい
・ほうしゃのうは、いつなくなるの?
・びょうきになりたくない
・もっとふくしまにいたいけどもういれない

福島市 小3 西片風


かんりょうのみなさんへ

(1)私たち福島の子どもたちは原発事故いらいずーっと外遊びをしていません。
早くじょせんをしてください、
(2)原発事故でひなんする人は、学校の友達、家、などをうばわれました、
せきにんをとってください、

福島市 小5 小林茉莉子


菅そう理大じんへ

僕はしょう来サッカー日本だい表になりたいです。でも今の福島では、いっぱい
練習できません。いつになったらほうしゃのうはなくなりますか。僕は大人に
なれますか?早く外であそびたいです。家ぞくがはなれてくらすのもいやです。
友だちとはなれるのもいやです。どうか僕たちをたすけてください。
2011、7、7

福島市 小3 男の子


なんで?

私は福島県福島市に住んでいました。私は4年生の3学期からすいそうがく部に
入部して、フルートをたんとうすることになりました。お友達の○○ちゃんと
○○ちゃんはサックスをたんとうして、七月のコンクールにむけて練習していま
した。3月11日、すいそうがくにいこうとした時、教室が大きな音をたててはげ
しくゆれました。私はとてもこわくて、早くお母さんに会いたいなと思いました。
でも、お母さんはお仕事だったので、なかなかこなくて、とても不安でした。
それから家にかえると電気がきれていたり、水が使えなくなったり、最後に
原子力発電がばくはつしました。
お母さんはインターネットでいろいろ調べて、放射能がとてもきけんだと言って、
ここにいてはいけないといいました。でも、私はすいそうがく部でフルートを
がんばっていたので、「転校したくない!」と言いました。でも毎日外に出る
ときは、ぼうし・めがね・マスク・手ぶくろをしなければならず、外しゅつを
なかなかできないし、学校では、校庭で遊んではいけないと言われ、私もここに
いてはいけないと思うようになりました。でもお友達とわかれたり、すいそうがく
部ができなくなるのはつらくて なみだがこぼれました。お友達はまだ、福島に
います。いろいろなじじょうがあってひなんすることができません。だから
お友達がしんぱいです。こんなことになってしまった、原発が大きらいです。
早く原発をなくして福島をきれいにしてみんながもどれるようにしてください。
お願いします。

福島市 小5 裕美











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明日に向けて(407)福島第一原発2号機不安定化の意味するもの(安全神話からの脱却を)

2012年02月14日 21時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120214 21:00)

ここのところ福島第一原発2号機の温度上昇問題が続きました。2月当初から2号機
原子炉の「支持スカート上部温度計」3つのうちの1つが温度上昇を開始。数日前
に冷温停止の条件とされている摂氏80度を超えましたが、この段階ぐらいから、東
電が、温度計の故障の可能性を示唆。最終的に検査等を経て、最大値342.2度
となったことなどにより「故障」が断定されました。原子炉自身は、他の温度計が
30度台を示していることから、異常がないと判断されています。

実際のところはどうなのか。東電の発表以外の資料がないこちらがわから推測する
のは困難ですが、実際に温度計の故障とも考えられるし、冷却のための水流が変
わるなどによって、一時的に核燃料が温度計に密着する形になり、そこだけが突出
して温度が上がったとも考えられます。あるいはそのほかの「想定外」のことが起
こり、原子炉が不安定な状態を強めている可能性も否定しきれません。なにせ、そ
もそも燃料がどれだけ原子炉の中に残っているのかも把握されていないのです。

そのため、最終的に温度計の故障という結論にいたった東電自身もまた、実際には
それまで原子炉の温度上昇を考慮して注水量を増やしていたし、さらに臨界を恐れ
て、ホウ酸を大量投入していました。臨界については、形状的に起こる可能性がな
いことが「外」では言われていますが、現場では燃料の状態自身が把握できず、何
が起こっているか把握できていないからこそ、ホウ酸の投入を行なっているわけで
す。臨界の可能性を現場では消しきれないでいるのが実情です。


こうした事態を受けて、さすがにマスコミの多くも、原子炉の「冷温停止状態」を
把握する計器が信用がおけないのだから、冷温停止とは言えないのではないかとい
う指摘を行い出しています。中でもこの間、他社に比して優れた分析を行なってき
た東京新聞は、「今回の問題は、政府や東電が「冷温停止状態」の根拠としてきた
計器自体に大きな疑問が残ることをあらためて突きつけた。温度測定は、溶け落ち
た核燃料取り出しまで続けなければならず、別の計測方法を検討するなど対策を迫
られている」と指摘しています。(2012年2月14日 朝刊)

これはもっともな指摘ですが、これではまだまだ重要な点が抜け落ちていると思い
ます。まず第一に、温度計等計器の信用性が失われている状態では、原子炉が重大
な事態に陥った場合に、再びその把握と公表が遅れる可能性があるということです。
実態をきちんと把握できないこともさることながら、実際に原子炉の温度が上昇し
だしたときに、再び「計器の故障」が疑われ、現に進行する事態を把握できない可
能性があるということです。その意味で、温度上昇を懸念したけれども、実際は温
度計の故障だったという「経験」は、悪い印象を現場に与えたと思われます。

さらにそうした危険を見逃しやすい環境が、そもそも「冷温停止宣言」で作られて
いること。冷温停止の根拠が疑われるどころか、冷温停止などしてないものをした
と言い切り、強引に「安全」を演出している現在の体制そのものが、事故の予兆を
的確につかむ可能性を大幅に狭め、新たな人為的危機を生み出しているのだという
事実こそが指摘され、批判され、変革されていく必要があります。その意味で、実
は原発事故前に支配していた「安全神話」が、今また形を変えて登場していること
こそが、捉え返されねばならないのです。


つまり今回明らかになったように、2号機については、温度の計測もしっかりできて
いない。炉内の状態が確実につかめてなどいないのです。さらに繰り返し指摘され
ているように1500本もの燃料棒を入れたプールが上部にある4号機は、爆発や度重な
る地震によって建物が劣化しており、何をきっかけに倒壊してしまうか分からない
状態です。大きな地震や津波があれば、それぞれの原子炉に応急処置の積み重ねで
つけられている冷却装置も失われてしまうのです。その意味で昨年3月11日以前より、
はるかに危険な状態の前に私たちは立っているわけです。

だとしたら何が必要なのか。避難訓練です。しかも広域の避難訓練が必要です。昨
年3月に政府は、最悪の事態を想定し、半径170キロ圏の強制移住、希望者を含めれ
ば250キロ圏内の避難が必要だと判断したわけですが、それなら再び同じ想定をし
た訓練をこそ行うべきです。いや170キロから250キロでは足りないかもしれない。
もっと広い地帯で、リアルに事故を想定した訓練を行う必要があります。実際に地
震はいつくるのか、わからないのだからです。しかも昨年3月よりも大きな余震の可
能性が指摘すらされています。普通に運転していた原発が、あのような状態になっ
てしまったのですから、今の福島第一原発を巨大地震が襲ったら、どのような危険
が待ち受けているのか、誰もが想像つくはずです。にもかかわらずその想定が避け
られている。

それだけではありません。同じような想定を、若狭湾の原発銀座に対しても行う必要
があるし、それぞれの原発サイトの周辺で、起こりうる事故をリアルに想定した避難
訓練を行うことが必要です。ヨウ素剤の配り方、タイミングも、昨年3月の実例に即し
て、検討・訓練する必要があります。昨年3月には何がまずかったのか、どのような
失敗があったのか、貴重な教訓として全国で共有しあい、同じ轍を踏まないための知
恵を積み重ねる必要があります。

ところがその努力がまったく何もなされていない。だからこのままでいけば、私たち
は昨年3月から起こったことをもう一度、繰り返すことになってしまいます。大地震
が起こり、最悪の事態が起こる。いや最悪とは言えないまでも、昨年3月のように深
刻な事態になる。ところが再びSPEEDYの情報が隠され、放射能漏れも伝わらず、あた
ら多くの人が被曝してしまう。多くの学校や病院で、子どもたちや患者さんたちが、
放射能の降る中、整列してマスクもしないで「退避」させられるなど、あの嘆かわし
い事態がまたも起こってしまいかねません。

なにせそうならないための想定をまったくしてないのですから、大地震が起これば
必然的にそうしたことが起こりうるのです。にもかかわらず、政府はリアルに危機
を想定した対処をすれば、今まさに目の前にある危険性に国民・住民の大半が最後
的に気づき、政府が窮地に立ってしまうことを知るがゆえに、それを避けているの
です。現に起こる可能性のある最悪の事態を、再び覆い隠しているのです。それが
「冷温停止宣言」の実体ですが、この肝心なことをマスコミは指摘できていません。
しかしそれこそが、福島第一原発事故の被害をまさに人災として拡大した要因でし
た。それが何ら捉え返されていないのが恐ろしいのです。

これほどの危機を前にしながら、避難訓練すらされないこの状態が異常であることに
私たちは覚醒し、各自治体に、大地震が起こり、福島第一原発が深刻な状態になった
ことを想定した避難訓練を行うことを要求していきましょう。また市民レベルでそう
した訓練を行なっていきましょう。事故を想定し、何が起こるかを予測し、その場合
に、どこに逃げるのか、家族とどこで落ち合うかなどを想定しておくことが有効です。
図上訓練だけでも行なっていたほうがはるかに安全性が高まります。それらによって、
「冷温停止宣言」の背後にある「安全神話」、いや「安全」という名の虚言を覆し
ていきましょう。これが2号機の温度をめぐる「騒動」から、私たちがつかむべき
結論だと思います。





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明日に向けて(405)京都市長選挙でつかんだ可能性を未来へ!

2012年02月12日 08時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120212 08:00)

一昨日、「中村和雄さんを市長にしよう!勝手連」のご苦労さま会が開か
れ、中村さんも囲んで和やかに歓談しました。選挙結果をどう見るのかな
ども話され、僕なりに腑に落ちるところがありました。これをももとに、
京都市長選挙の僕なりの捉え返しを進めたいと思います。

まず得票数は以下のとおりでした。
門川大作氏227,765、中村和雄氏189,971。
その差は約3万1700票で、投票率は前回より1.05ポイント低い
36.77%。過去4番目の低さでした。

毎日新聞の出口調査では次のようなことが指摘されています。
「年代別では、門川氏は50代の52%と70代以上の60%から得票した
のに対し、中村氏は20代の60%、30代の57%、60代の53%に選
ばれ、中高年層に強い門川氏と若者層に強い中村氏とに大きく分かれる結果
となった。40代は50%ずつと分け合った。

同じく朝日新聞は次のように指摘しています。
「門川氏は推薦を受けた自民の支持者の85%、公明支持者の92%から票
を得ていたが、民主からは60%にとどまった。中村氏は推薦を受けた共産
の支持者の97%を固め、民主支持層の40%からも支持を得ていた。有権
者の3割を占める無党派層の中村氏支持が55%にのぼり、門川氏の45%
を上回ったのが目立った。」

選挙の特徴として、何よりも投票率が伸びず、36.77%と大変な低調に
終わったことが目につきます。その上で、中村さんは若年層の支持を大きく
集めながらも、中高年層で引き離されてしまいました。無党派層の支持を中
村さんが55%とっていることとあわせると、中高年層を中心とした旧来の
集票構造に基づく組織票が門川氏の固めた部分であり、中村さんの声は、よ
り若者や無党派層に広がったことが分かります。全体の得票率が下がる中で
20代・30代の投票率だけは上がったとも聞いています。(性別毎の投票など、
詳しいデータは未入手) 


これらから言えるのは、今回の選挙では、民主・自民・公明・みんな・社民
という、本来、政策や主張が違うはずの諸党が相乗りすることにより、京都
市の未来に向けて何ら論議すべき争点はないのだという雰囲気が作り出され
てしまったことに対し、残念ながらそれを十分に打ち破ることができず、全
体としては低調のままに推移したことで、組織票の壁を打ち破れなかったこ
とが敗因であったと言えます。本当に残念です。

当初からマスコミに「非共産対共産の闘い」と書かれてしまったことに対し、
私たちは「勝手連」を立ち上げ、けして共産党だけではない多様な人々が中
村さんを応援していることをアピールし、選挙戦を盛り上げようとしたので
すが、「非共産」という枠組みの何とも言えない重々しさ、政策も議論もな
く、政治ボス達が野合してそれですべてが決まってしまうようなしらけた
雰囲気を最後まで打ち破れませんでした。

勝手連の振り返りの中では、まるでミヒャエル・エンデの『モモ』に出てく
る「灰色の男たち」に負けてしまったようだという感想が聞かれました。無
味乾燥な顔をした「灰色の男たち」の実体は、「時間泥棒」です。人々は彼
らに時間を奪われて、生きるうるおいをなくしていく。そうしてただ目前の
ことにあくせくしていくようになってしまうのでした。

京都でもあたかもそれと同じようなことが起こっていました。門川陣営がお
こなったのは「争点回避」。中村さんのマニュフェストを見たうえで、それ
に言葉だけ擦り寄るような公約を打ち出し、大事なことを何も論議しないと
いう選挙戦略を取ったのです。とくに中村さんの「脱原発」政策に、「脱原
発依存」という言葉を対置し、「内容は中村さんと変わりません」と公言す
ることまでが行われました。そうしてそれ以上、論議が活性化しないように
振る舞い、そうしておいて現職市長の立場を生かして、権力をフル動員して
の「組織固め」を行なったのでした。

こうしたことにより、市民の関心は薄らいでしまいました。そうして自分た
ちの町の未来についても、社会の中で大きな問題になっている原発のことも、
語る余地がなくなってしまい、目に入らなくなり、ただ日々の生活の渦の中
に意識が沈んでいきました。こうして選挙に関心が沸かず、東北の声は耳に
入らず、ただ目先のことにしか関心がいかない。そんな悲しい状態が、京都
を覆っていったことが、今回の選挙の、36.77%という大変低い投票率
に象徴されています。


しかし今回の選挙の中で、こうした流れに抗った風を一定は吹かせることが
できたこと、確かな手応えがあったことも事実でした。それは事前投票の出
口調査で拮抗が伝えられたこと、またマスコミの一部からも中村勝利の憶測
が生まれ、新市長誕生の番組制作も進められていたことなどにもあらわれて
います。僕自身、某マスコミから新市長の脱原発政策を聞きたいという取材
依頼を投票日の午後3時に受けていました。実際にその時間に行くと、どう
も中村さんは勝てないみたいですとのことで、取材内容が変わってしまって
いたのですが・・・。

こうした憶測はどういう形で持ち上がっていったのか。一つにはこれまで選
挙に関わったことのない、子育て世代を中心とした新しい力が活発に動いた
ことによってでした。今回の選挙では、私たち勝手連以外にも、共産党とは
別に、中村支持を決めて動いた人たちのグループがいくつかありました。中
村さんによれば、選挙戦のはじめの方では、共産党の人たちのことしか目が
いってなかった記者さんたちも、終盤にはいろいろな人たちが中村さんを支
持していることを理解しはじめ、記事の書き方が変わりつつあったのだそう
です。

こうした中で、これまではそれほど動いてなかった若い層の中にいろいろな
活発化がみられだしました。とくに「クラブの深夜営業を守ろう」という中
村さんの声がクラブ関係者の中にこだまし、中村さんを招いての討論会を行
うなど、これもまたまったく新しい動きが始まりました。そしてこれらが
ネットやツイッターで繰り返し発信されたことで全国に伝わり、中村さんや
勝手連のブログへのアクセスが急増しました。(選挙法により更新ができな
かったにもかかわらず)なかには「京都で凄いことが起こっている」と宮崎
県から駆けつけて、チラシ撒きに参加してくれた若者もいました。山本太郎
さんのありがたい応援の効果もあって、こうした動きが、こちらにも直に響
くような形で伝わってきました。

それが私たちをして、「勝てる!勝とう!」という思いを強めていった根拠
でもあったのですが、残念なことに、新市長誕生には結びつけられなかった
ものの、ここで広がった新しい力は、私たちの未来にとってのかけがえのな
い力だと思います。なぜならこうした力は、中村さんが、あくまでも公約の
第一に「脱原発市政の実現」を掲げるなかでこそ実現されたことだからです。

実は中村さんは、支持者の中からも、「脱原発宣言が第一では勝てない。
順番をずらしてはどうか」という説得も受けたのだそうです。しかしあくま
で信念を曲げず、譲らなかった。今、一番に論議しなければならないことが、
原発の問題であることをあくまで鮮明にし抜いたのです。それこそが多くの
人の心を動かしたのでした。

今回は、私たちの力も足りなかったし、争点潰しへの対抗が十分とは言えな
かったことなどもあって、灰色の男たちの暗躍に打ち勝てなかったものの、
こうした「脱原発市政の実現」の声に、若い世代の支持が拡大したこと、そ
の中で市民から選挙への関心を奪っていく門川陣営の「選挙戦略」の中です
ら、若い層の投票率が上がったことなどは重要なポイントでした。私たちの
声は、若い世代に確実に浸透しつつあったのです。

だとするならば、今回の選挙を、脱原発の立場で担った私たちが、これを放
射線防護・脱原発の動きにどう結びつけられるかが問われているのだと思い
ます。どうそれを実現するか、まだまだ勝手連などで討論を重ねたいと思い
ますが、京都での選挙戦に全国から支援の声を寄せてくださった方々、応援
をしてくださったみなさんの思いをけして無にしない何かを必ず作り出した
いと思います。その意味で私たちは、京都市長選挙でつかんだ可能性を、確
実に未来につないでいかなければならないし、僕自身、そのために尽力する
ことをお約束します。

みなさまの、京都市長選挙へのありがたいご協力に感謝しつつ、以上をもっ
て僕の振り返りとしたいと思います。



なお、この選挙をいかに見るのか、富野暉一郎さんの優れた分析が毎日新聞
に掲載されていたので、最後にご紹介しておきます。

*****

選挙:京都市長選 市民に目を向けていない--
富野暉一郎・龍谷大政策学部教授(地方自治) /京都
毎日新聞 2012年2月7日 地方版
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20120207ddlk26010564000c.html
京都市長選を終え、龍谷大政策学部、富野暉一郎教授(地方自治)に振り返
ってもらった。


前回選の951票差に危機感を抱いた門川氏陣営が組織を引き締め、得票を
3万票差に広げたが、2期目を目指した市長としては十分な差とは言えない
うえ、投票率も36・77%と低い。原因は、選挙の構図にあるのではない
か。

本来は主張が異なる政党が、総選挙をにらんで勝負を避けて「非共産」で相
乗りし、門川氏を推薦したと考える。市民に目が向いたものではなく、非常
に内向きな選挙だった。立候補者2人の争点も明確でなく、市民の関心を得
られなかった。

中村氏も前回より得票数を増やした。大阪ダブル選後、大阪に新しい風が吹
いている状況を受け、「何かを変えたい」と変化を求めた市民が、中村氏に
投票したのではないか。

市民が政治に関心がないのは、政党と門川氏の責任。門川氏は現在の選挙構
図に終止符を打ち、市民に目を向けた政策を打ち出していかなければならな
い。(聞き手・古屋敷尚子)












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明日に向けて(404)「2,3年、耕すことに反対です!」(石森少年)

2012年02月11日 11時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120211 11:30)

明日に向けての前回記事で、伊達市農業委員会が、放射能汚染された農地の
耕作を手控えていた農家に対して、「耕さないと不耕作とみなす」という大
変、乱暴な「指導」を行なったことを批判的に紹介しましたが、これに対し
て、有機農業を営んできた仙台の石森秀彦さんより、意見が寄せられました
ので紹介します。

なお石森さんは、原発事故後、耕作と出荷を中止していますが、今は、市民
放射能測定室を立ち上げて奮闘しています。「石森少年」というのは彼の
ニックネームです!
http://ameblo.jp/foreston39/

なお小さき花については下記も参照してください。

明日に向けて(281)小さき花・市民の放射能測定室(仙台) 11月に開設
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/88a48cb7ab6265335eada73da46cfbfc

明日に向けて(383)仙台の二つの放射線測定室を訪問します!(1月17日)
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3c8aa830ef6be096e3ad07a7031549b4

*********

小さき花SSSの石森です。
ぼくの畑は不耕起栽培です。
(守田注 水田や畑を耕さないままに農作物を栽培する農法)
2・3年耕すことには反対です。

第一の理由は耕せば表土3~5cmにある放射性物質を回収、除去できなくなる。
第二の理由として放射性物質の濃度は下がるが総量は変わらず
ある程度は下がっても毎年少しずつ吸収され作物から放射性物質を摂取するこ
とになる。
これは薄められた汚染牛乳を飲まされている現状とあまり変わらないとおもう。

またゼオライト・炭による除染も同じことがいえる。
もともとゼオライトは砂地などでの保肥力をあげるための粘土鉱物で作物が必
要とすれば折角吸着した放射性物質もはなしてしまうと思われます。

そこでぼくは一度だけのことだから放射性物質の飛散が収まってきた?冬・春に
も表土5cmを剥ぐスコップ手動除染を行おうとおもってます。

まだまだ心配なスギ花粉飛散もありますが。仙台1月21日時点で杉の花芽セシ
ウム165bqでした。

農家の方、うちのデータ参考になるかもしれないので載せておきます。

仙台市太白区坪沼

5月2日  0~3cm(深さ)セシウム合計 2128bq/kg フランスアクロ社で測定
7月某日 0~3cm(深さ) 1115bq/kg  3~5cm(深さ) 62bq/kg 日本イング社
・・・7月のときは4mの雑草を生やすに任していた。これにどれぐらいセシウム
が移行したかは分からない。アクロ社の数値が高めだったとも思える。
             
12月8日 0~3cm(深さ) 787bq 小さき花SSSで測定
・・・このときも雑草への移行が考えられる。雑草は今後測定する予定。
ユンボ除染地  0~3cm(深さ) 87.04bq/kg 小さき花SSSで測定

ユンボ除染は7月ごろに実施。5センチぐらいをはいだ。測定を12月に。
この地に植えた大根・大根の葉 カブ・カブの葉、いずれも検出されず。
ハウスの基土も検出せず(検出限界 3bq/kg)

・・・ユンボ除染では多少、土が上下に混ざってしまい、少しセシウムが残って
しまいますが、人力除染ならもっときれいになるとおもいます。
不耕起栽培のひとこそキレイに除染できるはずです。

ぼくも開墾して28年かかって植物や太陽と一緒に作ってきた表土剥ぐなんて本当
に悲しいんですよ。
また土を混ぜることを否定しようとは思っていません。一つの方法です。
なんとか苦しい私 専業農家・百姓の気持ちをくんでください。
農家のひとがんばろうよ。

望めば道は開かれる。必ず夢はかなうよ。  石森少年

・・・キーボード打てないのでこれ書くのに6時間かかったフーつかれた。
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明日に向けて(403)これはひどい・・・被災農地での耕作を強制(伊達市)

2012年02月09日 22時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120209 22:30)

福島県伊達市の市農業委員会が、福島原発事故によって放射能汚染されたた
め、耕作を見合わせている農家に対して、「農地として適切に利用されてい
ない」として、「耕すように指導」しているというニュースを東京新聞が報
じています。これはひどい。

「指導」を受けているのは、市内の小野寛さん(51)。事故によって田畑
は3マイクロシーベルト毎時の放射線値を示すようになったそうです。その
ため、ここで耕作をしても収穫物を食べることはできないと考えて、耕作を
断念。さらに被曝を避けるために、それまで植えられていた小麦なども収穫
しませんでした。

これは極めて妥当な措置だったと思います。小野さんが懸念したように、放
射能汚染された作物を収穫すると、放射性物質が舞い、吸い込んで内部被曝
してしまう可能性が強くあります。また土いじりの仕事である農作業は他の
様々な面からも、被曝の可能性が高く、汚染地帯での作業は危険性が高いた
めに避けることがのぞましいからです。

また汚染された土地から収穫したものは、当然ながら汚染されてしまうため
食べられないとの判断も妥当です。それどころか、耕作をせず、とりあえず
はそれまで生えていたものもそのままにしておいたほうが、事故が収束した
後に、生えているものを刈り取り、土の表面数センチをはぐことで、農地を
再生させる可能性が残されるのであって、耕して放射性物質を鋤込むことを
しなかったこの判断は、きわめて賢明であったといえます。

むしろ国や県、各自治体の農業対策室は、こうした判断を昨年3月の時点で
示し、耕作中止を呼びかけるべきだったのであり、今回の措置は、そうした
失策を振り返らないばかりか、自らの被曝を避け、田畑への放射性物質の
鋤込を回避して農家に、被災農地での被曝を伴う耕作を強制するものであっ
て、まったく間違っています。

伊達市農業委員会が、小野さんへの不当な「指導」を撤回し、小野さんに
謝罪することを求めます。

**************

耕作放棄じゃない 除染待つ間に農地利用促す通知
東京新聞 2012年2月8日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2012020802100006.html

米から国の基準を上回る放射性物質が検出された福島県伊達市で、土壌汚染
や被ばくへの懸念から耕作できなかった農家に対し、市農業委員会が田畑を
耕作放棄地と扱う通知を出した。「農地として適切に利用されていない」と
して耕すよう指導。一月中旬に通知を受けた同市の小野寛さん(51)は
「耕すと放射性物質が土に混ざる」と困惑している。 (中崎裕)

各自治体の農業委員会は農地法に基づき、年に一度、耕作放棄地を調査。最
初の指導通知が届いた時点で耕作放棄地扱いとなり、所有者は原則的に新た
な農地取得ができなくなる。同市農業委は今回、二百件ほどの指導通知を出
した。

小野さんは二千平方メートルの田畑で米と小麦を栽培。主に自家用だが、一
部を販売している。米は、秋から育てたライ麦を刈り倒して雑草などを抑え
る独自の有機栽培をしてきた。

昨年三月の原発事故で、田畑は毎時三マイクロシーベルトと高い線量が検出
された。単純計算で年間二〇ミリシーベルトを超え、政府が避難を促す基準
を超える値だ。「作っても食べられない」と判断し田植えをやめた。土ぼこ
りなどを吸って被ばくする懸念があったため、ライ麦と小麦の収穫もせず、
田畑はそのままにしていた。「除染さえできれば耕作するつもりだった。放
棄したわけじゃない」。小野さんは農業委員会に通知を取り消すよう求めた
が、受け入れられなかった。

農地法には、災害時などは耕作放棄地扱いしないとの規定がある。農林水産
省の担当者は「農業委に判断は委ねられるが、一般論として原発事故があっ
た福島なら放射線への懸念は災害にあたるだろう」と説明する。

しかし、市農業委は「高線量のホットスポット以外の地域は、放射能への懸
念があっても特別扱いはしていない」との見解。一方で、伊達市では農地の
除染方法を検討中としてまだ決めていない。

小野さんは「耕作すれば放射性物質が混ざり、自然になくなるのを待つしか
ない。セシウムは半減期が三十年もあるのに、どうすればいいのか」と力な
く語る。

<原発事故による耕作規制> 農林水産省は昨年、避難区域と土壌調査で1
キログラム当たり5000ベクレルを超える地域の米の作付けを制限。伊達
市は対象外だが、避難区域に近い地域では米から国の暫定規制値(1キログ
ラム当たり500ベクレル)を超えるセシウムが検出された。規制値は1キ
ログラム当たり100ベクレルに引き下げられる見込みで、農水省は今年も
作付け制限を検討。除染方法は、表土を地中深くに埋めるなど農水省がいく
つか案を示しているが、最終的には自治体が方法を決めることになっている。

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明日に向けて(402)大山崎でお話します!(2月11日)

2012年02月08日 23時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120208 23:30)

京都市長選、破れてしまいました。残念でなりません。たくさんの方に力を
貸していただいたのに、良い結果に結びつけることができなくて申し訳なく
思います。すぐにでもこの結果をどのように捉えるのか、自分なりの意見を
まとめようと思いましたが、正直なところ3日間経っても整理がつきません。

とにかく何かとても理不尽で、不誠実で、どうにもこうにも潔く負けたとは
認められない何かに負けたというか、そんな気持ちが繰り返し湧いてきます。
それは怒りであり、まっとうな正義が通っていかないことへの憤りです。考
えれば考えるだけかっかします。しかしそれが冷静な分析を妨げてもいます。

ただし、あまりに残念な敗北だったからといって、僕の中に、挫折感や、失
望感はまったくありません。さらに一層、頑張ろうと思う気持ちがどんどん
湧いてくるし、実際に新しい動きへのチャレンジも始まっています。でもな
んというか、爽やかな気持ちになれない。怒りが処理しきれないのです。

ここを書かないと他のことに進めないと考えていたら、今日まで「明日に向
けて」の発信もできない状態になってしまいまいた。そこでとりあえず前に
進みながら、市長選についての僕なりの捉え返しをさせていただくことにし
ます。もう少し時間をかけさせてください。


それで今日は、講演会についてのお知らせを載せさせていただきます。2月
11日、京都・大山崎でお話します。お近くの方、ご参加ください。

************

講演会

「放射能汚染から子どもを守ろう!}

2月11日(土・祝日)午後1時半~3時半
大山崎町立中央公民館別館3階

講師 守田敏也(フリーライター)

福島第一原発事故で、放射能汚染が拡大。食物連鎖を通して、内部被曝の
危険に直面しています。被曝にもっとも弱い子どもたちを守るために、私
たちにできることは何か、考えていきましょう。

DVD「放射能内部被曝から子どもを守るために」も上映します。

申し込み不要。
入場無料

主催 新日本婦人の会 大山崎支部
問い合わせ 東(074‐957‐3420)

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