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明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(424)東日本大震災・原発大災害から1周年を迎えて

2012年03月11日 23時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120311 23:00)

2012年3月11日の夜がふけつつあります。あの大変な大災害から1年を迎え、この震災と、
原発事故で亡くなられた全てのみなさま、ご遺族のみなさまに、心からの哀悼の意を述
べさせていただくとともに、今なお、苦しい思いをしている方、また原発災害で被害を
うけたみなさまに、お見舞いを申し上げます。

津波のことでも振り返ることが山ほどありますが、あえて原発事故を中心にこの1年間を
振り返ってみた時、日本政府と東京電力が、つねに現に目の前にある危機については明
らかにせず、事態が推移してから何が起こっていたのかを小出しにしてきたことが目に
つきます。

最も深刻だったメルトダウンについても、当初から把握されていたのに、発表は2ヶ月も
経ってから行われました。さらに当初、事故がとめどもなく進行しつつあり、最悪の事態
にいたれば、原発から170キロ圏内を強制避難区域にし、希望者も含めれば250キロ圏内の
避難が必要だという認識が政府内にあったことが、2012年の年頭になって明らかにされま
した。

つい先日は、昨年3月の事故の直後、4号機プールの水が蒸発し、大量の放射能が漏れ出す
寸前にまでなったものの、たまたま原子炉が水で満たされており、そこの水が仕切り板を
破ってプール内に流入したために、最悪の事態がまぬがれたことまでもが発表されました。
もちろん、必死の対処にも大きな意義がありましたが、核心部分は「不幸中の幸い」で最
悪の事態が回避されたのでした。

にもかかわらず、政府も東電も、リアルタイムには「安全」「安全」と同じことを繰り返
し、マスメディアの大半が、それに従いました。私たちの国の住民の多くは、破局的な
危機を前に、何の備えもなく、危機は過ぎ去ったと信じ込まされてしまいました。そうし
て全国的に作られたこの空気の中で、原発事故被災地に多くの人々が、被曝しながらとど
まることにもなってしまいました。

「安全神話」がこの国を覆いっていました。これに災害心理学に言う「正常性バイアス」
が付加されました。正常性バイアスとは、人が危機に瀕した時、危機を認識せず、「事態
は正常に推移していくのだ」という「バイアス=偏見」をかけて危機による動揺を超えて
いこうとする人間的心理をさす言葉です。いわば自分で自分を騙すのです。

そうした状態の中で、政府により「俄かに健康に被害はない」という言葉が連呼され、あ
たかも事故が早急に収束に向かっているかのような喧伝が繰り返されました。「そんなこ
とはない。私たちは今、大変な危機の前にあるのだ」と叫ぶものに対しては、「不安を煽
る悪質なデマだ」といった類の非難が繰り返されました。


そうして1年が経ちました。それでこの国の状態、原発の状態はどうなったのでしょうか。
これまでも述べてきたように、今なお、福島原発は大変な危機の前に立っています。冷温
停止宣言などはあまりのまやかしです。実態としてはとにかく今なお、ぎりぎりの努力で
冷却が続けられている状態です。いや冷却を試みている燃料体の状態すらよくわかってい
ないのです。

さらに懸念されるのが、1500本近い燃料棒が入った4号機のプールです。この建物は、上部
ではなく下部で爆発が起こっている。その上、数千回ともいわれる余震で度々揺らされてい
ます。これが倒壊してしまった場合、大量の燃料棒が外に飛び出し、まったく手の打ちよう
がなくなります。そうなれば他の原子炉も同じこと。結局、昨年3月に試算された最悪のシナ
リオが実現してしまうのです。

しかしこれほどの危機を前にしながら、私たちの国を再び、安全神話が覆っているのです。
多くの人が、大きな余震がきたら、福島第一原発が深刻な危機に陥ることはわかるはずであ
りながら、そんな大規模な余震はこないと思い込もうとしてしまっている。つまり今また
「正常性バイアス」がかかっているのです。その上に政府が乗っかって「安全宣言」を繰り
返しています。

「安全神話」はもうひとつの形もとっています。すでに露出してしまった膨大な放射能を、
「怖くない」といいなすキャンペーンです。このために「放射能は正しく怖がることが必要
だ」などという言葉が繰り返され、「実は放射能はそれほど怖くはないのだ。放射線管理区
域など、特別に厳しく決めていたのであって、実際にはそこに暮らしていても大丈夫なのだ」
といった言説がまかり通り、過去の法律が完全に反故にされてしまっています。

こうした状態を主導しているのも政府ですが、ここでもそれと「正常性バイアス」が結合し
てしまっています。そのため、少し考えれば容易に見えてくるはずの危機が見えなくなって
います。それが事故から1周年を迎えた私たちの国の現状です。だから私たちは二重の危機の
前にある。原発そのものの危機と、安全神話による危機です。


これを打ち破らなくてはいけない。そのために様々な努力が必要ですが、ここで強調したい
のは、本来、私たちの国が大きな力を投入して行わなければならないのは、最悪の事態、そ
れも抽象的な想定ではなくて、4号機が倒壊した場合を考え、その場合にどうするのか、
避難訓練を行うことだということです。これは主に関東・東北を中心としますが、3000万人
という広域の避難が必要なため、西日本や北海道でも受け入れ訓練が必要です。

繰り返しますが、これは起こる可能性がそれなりにあることなのです。首都圏で直下型地震
が高い確率で起こるうると言われていること一つとってもそうです。その地震で、ダメージ
がたまっている4号機が倒壊することもありえます。いや福島第二原発や東海村など、他でも
大事故が発生するかもしれない。それらを射程にいれた訓練が必要なのです。

同時に、各原発サイトでも、今回の事故と同規模の事故を見据えた訓練を行う必要がある。
少なくとも100キロ圏ぐらいの地域での訓練は必須です。とくに福井県の原発銀座から近い
中部、京阪神は、ここでの大規模事故を想定した原発災害訓練が行われる必要があります。
それこそが、昨年の原発大事故から私たちが引き出すべき教訓でなけれなならないはずです。

ところが、津波や地震への対策は検討され、大阪の難波の地下街で津波時の避難訓練がなさ
れたり、東京を襲う直下型地震の可能性が繰り返し指摘されているのに、この広域の原発
訓練だけはまったく話にあがってこない。なぜか。それをすれば原発がどれほど危険なもの
か、あるいは福島原発の今が、どれほど恐ろしい状態かが際立ってしまうからです。

そして、だから一切の訓練をしない・・・というのは、これまでこの国を覆い、今なお、け
しては過去のものになったのではない「安全神話」の正体です。危険性を明らかにしたくな
いために、安全と言い募る。それが事故の前も、事故の後も、今も、行われ続けていること
なのです。


この状態を打ち破るために、みなさんに、避難訓練の実施を呼びかけます。まずは自治体に
要望を出し、少しでも原発災害対策を見直していくことが大切です。実際に滋賀県などで
そうした取り組みが行われつつありますが、さらに市民の側でも独自に災害訓練を行なって
いくことが大事だと思います。

図上訓練でもいい。自分たちの住んでいる周りのどこに原発があるのか。逃げる場合には
どういうルートがあるのか。放射能から身を守るために、どんなものを身につけたらいいの
か。逃げる手段はどうするのか。いざというときに持ち出すものは何か。家族とどこで落ち
合うのか。友人とどう連絡を取るのかなどリアルに想定していくといいと思います。

いや仮にそこまでいかなくても、福島原発の危険な現状をしっかりと認識し、放射線の恐ろ
しさを学習して、防護の観点を身につけることもまた、重要な避難訓練の一環となります。
実際、昨年の事故時も、こういう学習会に参加していた人ほど、早い時期に危険地帯を離れ
ることができたのでした。その意味では放射線に関する学習会自身もまた、避難訓練の一つ
と言えると思います。

災害心理学では、こうした避難訓練こそが、人々を「正常性バイアス」というデッドロック
から救う道だと強調しています。事前に最悪の事態を想定していればこそ、危機に瀕した
ときに、人はそれと向き合い、合理的な退避行動が取れるのです。避難訓練はそのため、つ
まり心理的な混乱をふせぐためにも有効なのです。その意味で僕は、避難訓練こそが安全神
話を打ち砕く道だと思います。

みなさん。ぜひ原発災害訓練に取り組みましょう!それが3月11日から1年経って、私たちが
引き出すべき教訓の中の大きな柱の一つです。そのことを2012年の3月11日の夜に書き記し、
なおかつ、あの津波で亡くなったすべての方に再度哀悼を捧げて文章を閉じます。

事故の教訓から智慧をつかみましょう!かけがえのない、未来世代へと継承していける智慧を!


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明日に向けて(423)東日本大震災一周年追悼メッセージ(内部被曝研より)

2012年03月11日 09時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120311 09:00)

みなさま。東日本大震災発生から1周年にあたり、「市民と科学者の内部被曝問題
研究会」より、メッセージが発信されましたので、ここ転載させていただきます。
なお、現在発売中の『世界』4月号掲載の私のルポに、内部被曝研立ち上げの経緯
について触れてあります。ぜひお手にとってお読みください。

以下転載

********

東日本大震災一周年追悼メッセージ 
2012年3月11日 市民と科学者の内部被曝問題研究会 代表 澤田昭二

東日本大震災の一周年を迎え、あの巨大地震・津波によっていのちを奪われた1万数
千人の御霊とご遺族の皆さまに、心より哀悼の意を表します。

また、東電福島第一原発事故に際し、政府と東電の無為無策によって、原発事故現場
でいのちを奪われた作業員の方々、心血を注いできた農業や酪農の行く手を放射能汚
染によって阻まれていのちを絶った方々、産まれてこられなかった子どもたちとご遺
族の皆さまに、改めて衷心より哀悼の意を表します。

さらに、原発事故による土地や海や食べ物などの放射能汚染に苦しんでおられる地元
福島県をはじめ東北・関東の各都県の方々と全国の皆さまにお見舞い申し上げます。

福島原発事故により浮遊し堆積した放射性物質が放出する放射線による外部被曝の影
響以上に、飲食と呼吸によって継続的に取り込む放射能による内部被曝の影響は、こ
れからも継続し表面化する深刻な問題です。

事故当初より減ったとはいえ、原発事故現場から放射性物質は今なお放出され続けて
おり、福島・茨城両県の環境放射能水準は過去の平常時よりも高い水準を維持し続け
ています。関東と東北を含む広範な地域にも、堆積放射能によるホットスポット的な
高濃度汚染地があり、看過できない状況です。さらに、放射性降下物は水の流れとと
もに徐々に下流に移動するため、下流域の河川や湖沼・港湾ならびに海の放射能汚染
は、これから深刻になることが予想され、農林水産物の安全性が危惧されます。

福島原発が依然として不安定な状態にあるにもかかわらず、政府が「収束宣言」を発表
して幕引きを図ったことや、高線量下に置かれた住民に対する保護責任を果たそうとし
ないことは大問題です。

旧ソ連邦のチェルノブイリ原発事故で被曝したロシア、ウクライナ、ベラルーシでは、
住民の健康保護のために年間被曝線量5ミリシーベルト以上の地域は「移住義務区域」、
1ミリシーベルト以上の地域は「移住権利区域」として、住民の被曝を防護しています。
それに対して、日本では「避難指示解除準備区域」は 年間被曝線量20ミリシーベルト
以下、「居住制限区域」は年間20~50ミリシーベルト、「帰還困難区域」は 現時点で
年間50ミリシーベルト以上」と極めて高い線量を設定しています。このことは、国際
的にみても大問題です。日本の市民がチェルノブイリ原発の周辺の市民よりも放射線
に対する抵抗力が何十倍も高いはずがありません。私たちは、政府に対しては、市民
の健康を守る施策を緊急に実施することを強く求めます。

肥田舜太郎名誉会長の発足挨拶「内部被曝の被害と闘うために」(下記)にあるように、
当会は、市民と科学者が一体となって、内部被曝を含む被曝問題に積極的に取り組み、
子どもたちをはじめとする全国の市民を守るために努力してまいります。     

【市民と科学者の内部被曝問題研究会(略称:内部被曝研) 事務局】
http://www.acsir.org/


内部被曝の被害と闘うために 
「市民と科学者の内部被曝問題研究会」名誉会長 肥田舜太郎

2011年3月11日の福島第一原子力発電所の事故後、5月初め頃から子どもの症状などを訴
える母親からの電話相談が増え、広島、長崎原爆の特に入市被曝者に多く見られて放射
能による初期症状によく似た状況から、私は原発から放出された放射性物質による内部
被曝の症状だろうと直感し、その後の経過に注目してきている。

子どもを持つ母親の放射線被害に対する心配と不安は想像以上に大きく、全国的に広がっ
ている。これに対する政府、東電、関係学者、専門家の姿勢や発表の内容は、ほとんど
が国民の命の危険と生活に対する不安の声に応えるものでなく、原子力発電の持続と増
強を求める業界の声に応えるものと受け取らざるをいない実情である。筆者の経験によ
れば、学習し合い明らかにしなければならない課題は、

① 放射線そのものについて
② 外部被曝、内部被曝の意味
③ 自然放射線に対する人間の持つ免疫能力
④ 人工放射線(核兵器の爆発、原子力発電所で作られる)と人間との関係
⑤ 放射線被曝による被害の治療法はなく、薬も注射も効果はないこと
⑥ 放射線被害に対しては被曝した個人が自分の生命力の力と生活の仕方で病気の発病を
予防し、放射線と闘って生きる以外にないこと
⑦ 放射線の出ている原発からできるだけ遠くへ移住し、また放射線で汚染された食物や
水を飲んだり食べたりしないことといわれるが、それができる人にはよいことだが、でき
ない人はどうするかが極めて大事なことで、この問題にどう応えるのかが、この問題の最
重要課題である。

内部被曝研究会は今でもいろいろな職種の人が集まっていて、医師や弁護士や学者がいれ
ば、肩書きも特殊な技術もない一般職の方々もおられると聞いている。それらの方々が心
と力を合わせて放射線の内部被曝の被害と闘っていく方法や道筋を、話し合い、相談し
合って、少しでも有効な方向を見つけ、発信し、学習し、実践して、今まで人類が経験し
たことのない課題に立ち向かう出発点に立っている。何もかもが未知の新しい道を歩くの
だから、みんな遠慮なく発言し、みんなで考え、一致したことを確実に行っていくことに
なる。

市民と科学者の内部被曝問題研究会編『内部被曝からいのちを守る』(旬報社、2012)よ
り要約抜粋





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明日に向けて(422)『バベルの塔』上映会でお話します。(3月11日同志社大学)

2012年03月10日 11時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120310 11:00)

今日はこれから「バイバイ原発310京都」に参加のためでかけます。
会場でブックレット『内部被曝』を販売します。

明日、3月11日は、同志社大学今出川校舎で行われる『バベルの塔』上映会に
参加し、25分ほど講演をします。上映後に質疑応答も受けます。

みなさん、それぞれの場で、思い思いに声をあげましょう!

以下、案内を転載します。

*********************

311ドキュメンタリー映画
『バベルの塔』上映と講演のつどい

会場 同志社大学今出川キャンパス 明徳館1番教室

日時 2012年3月11日14時30分より

スケジュール
14時  開場
14時半 開会
挨拶  出原政雄同志社平和の会代表(同志社大学法学部教授)
講演  守田敏也(14時35分から15時まで)
映画  『バベルの塔』上映70分
意見交流など(16時10分から30分まで)
終了予定 16時30分

参加協力金 500円

主催 『バベルの塔』上映実行委員会・同志社平和の会
後援 同志社教職員組合連合 
連絡先 北上地区労 電話075-441-7624


ドキュメンタリー映画『バネルの塔』について

出演 安斎育郎 工学博士 安斎科学平和事務所
   小出裕章 京都大学原子炉実験所助教
   深尾正之 工学博士 元静岡大学教授

5時間を越えるインタビュー、20人に及ぶ証言者
10時間の取材テープの中から浮かび上がる真実とは?

同日、岩波ブックレット『内部被曝』も販売します!!

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明日に向けて(420)「福島原発事故被害者のいのちと尊厳を守る法制定を求めて」(3月10日郡山)

2012年03月08日 07時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120308 7:30)

昨日、3月10日の京都の取り組みを紹介しましたが、同じ日に福島県郡山市でとても
大切な催しが開かれます。「福島原発事故被害者のいのちと尊厳を守る法制定を求めて」
と題したシンポジウムです。先日、福島市を訪れた時にチラシをいただき、サイトなども
みて、内容にとても共感しました。

サイトにある案内を転載しますが、そこに以下のような訴えが載っています。

***

私たちは、東京電力が引き起こした原発第事故の被害者です。
この人災で奪われたものはすべて、加害者が「原状回復」を基本に、完全賠償
するべきです。
私たちには、尊厳をもって幸福な生活をする権利があります(生存権、幸福追求権)。
私たちには、安全な地で暮らす権利があります(避難・移住の権利)。
私たちには、福島にとどまるにせよ、離れるにせよ、生活を保障される権利があります。
私たちには、危険を回避し、被曝による健康障害を防ぐために必要なあらゆる情報
へのアクセスを保障される権利があります。
私たちには、被ばくによる健康障害を最小限にするための、保養・疎開を含めた防護
策と、健康障害の早期発見および適切な治療を保障される権利があります。

私たちは、これ以上奪われない、失わない。

***

まったくそのとおりだと思います。
ちなみに僕は僕自身もまた、原発事故の被害者だと思っています。
もちろん被害の濃淡はあります。
でもこんなに悲しい思いを背負わされた私たちは、すべて被害者です。

福島である知人と話した時に、こんな声を聞きました。
「被害者であること、その当事者になって思うことは、被害者であることを認め、
声を出すことには大きな勇気がいるということです。泣き寝入りをした方が楽だと
思えてしまうところもあります。まだ多くの福島県民はそう思っているように
思えます。被害者と認めたら加害者に立ち向かわなければいけない。」

深く胸を動かされました。

僕自身は、長く、旧日本軍の性奴隷問題の被害者のおばあさんたちと接してきました。
彼女たちから学んできたことは、被害を告発し、加害者を正す行為は、人間の尊厳に
対する深い思いがなければなかなかできないことだということでした。

日本軍によって過酷な運命を背負わせれた女性たちの数は推定で20万人。その中から
告発の声を上げることができた女性は、1%にも及びません。

なぜか。被害と向き合うのは辛いことだからです。同時に、被害を告発してもそれを
助ける味方が周りにいるとは思えなかったからです。

そのことを思うとき、今、一番大事なのは、こうした福島現地からの声に、大きな
応援の声を集めていくことだと思います。先にも述べたように、私たち自身、けして
「部外者」なのではなく、自らが被害者であることも自覚しなければいけないのですが
しかしなんといっても、もっとも大きな被害を受けている人々の声を一番大事に
しなければいけない。この声に正面から向かい合い、我がものとし、自分の悲しみと
怒りも重ねて、一緒に歩んでいくことが問われているのだと思います。

このことをもし忘れてしまったら、わたしたちの脱原発の声は、力のないものになって
しまう。すべての原発を止めねばなりませんが、すでに漏れ出した膨大な放射能への
対処、いまなお、深刻な被曝を受けている人々の救済こそ、進めなければなりません。
3月10日、11日、全国各地でそのことをもう一度、一緒に考え、決意し、歩んでいこう
ではありませんか。

「私たちは、これ以上奪われない、失わない」という思いをシェアして、それぞれの
町を歩きましょう!

以下、郡山の企画の案内をご紹介します。近くの方、ぜひご参加ください!


****************

【310シンポジウム「福島原発事故被害者のいのちと尊厳を守る法制定を求めて」】
[日 時] 2012年3月10日(土)10時半~15時

[会 場] 郡山市民交流プラザ大会議室(郡山駅西口1分ビッグアイ7階)

[内 容]
講演「福島原発震災被害者の援護のための特別立法について
   ―広島・長崎・ビキニ―ヒバクシャの悲劇を繰り返さない」
秋元理匡さん
日本弁護士連合会、東日本大震災・原子力発電所事故等対策本部原子力PT事務局長)

各地からの報告
~福島市渡利地区、大波地区、二本松市、飯館村、南相馬市、
浪江町、いわき市、県外避難者

パネルディスカッション
福島原発震災被害者のいのちと尊厳を守る法制定を求めて」

コーディネーター:
佐藤和良(脱原発福島ネットワーク、福島原発震災情報連絡センター)

パネラー:
秋元理匡(日弁連・東日本大震災原子力発電所事故等対策本部原子力PT事務局長)
石丸小四郎(双葉地方原発反対同盟)
中手聖一(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク)
宇野朗子(ハイロアクション福島原発40年実行委員会)

[主催] 脱原発福島ネットワーク・ハイロアクション福島原発40年実行委員会
・子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
[共催] 福島原発震災情報連絡センター

[お問い合わせ]
ハイロアクション福島 080-1807-6999 info@hairoaction.com


2011年3月11日、天災に続いて起こされた、福島原発の大事故。
1年を経てもなお、その終わりは見えず、放射性物質の新たな放出、拡散と濃縮が
続いています。

未曾有の原発事故被害の大きさと深さにもかかわらず、私たち被害者は、必要な
情報から遠ざけられ、総合的な支援策が講じられないまま、不安と被曝受忍の中で
分断され、その傷を深くしています。

福島県民だけでも避難を余儀なくされた人は30万人を超え、放射能汚染地では住
民が復興の糸口を見いだせないまま放射能汚染への日々の対処を強いられ、人とし
ての幸福と尊厳ある暮らしの権利を奪われ続けています。

・私たちは、東京電力が引き起こした原発第事故の被害者です。
・この人災で奪われたものはすべて、加害者が「原状回復」を基本に、完全賠償
するべきです。
・私たちには、尊厳をもって幸福な生活をする権利があります(生存権、幸福追求権)。
・私たちには、安全な地で暮らす権利があります(避難・移住の権利)。
・私たちには、福島にとどまるにせよ、離れるにせよ、生活を保障される権利があります。
・私たちには、危険を回避し、被曝による健康障害を防ぐために必要なあらゆる情報
へのアクセスを保障される権利があります。
・私たちには、被ばくによる健康障害を最小限にするための、保養・疎開を含めた防護
策と、健康障害の早期発見および適切な治療を保障される権利があります。

私たちは、これ以上奪われない、失わない。

福島原発震災2年の始まりを前に、シンポジウム「福島原発事故被害者のいのちと尊厳
を守る法制定を求めて」を開催いたします。

***

情報は以下より転載
http://f1higairippou.blogspot.com/
以下よりチラシがダウンロードできます。
http://hairoaction.com/?p=1303
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明日に向けて(419)東日本大震災から1周年・・・各地で脱原発の声を!(3月10日京都)

2012年03月07日 17時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120307 17:00)

東日本大震災の発生からもうすぐ1年が経ちます。ちょうど1年になる3月11日
と前日の10日に、全国でさまざまな企画が開催されます。みなさん、ぜひそ
れぞれのお近くの企画にご参加ください。

この週末を、大震災で亡くなった方々を追悼しつつ、この大震災の教訓から学
んだことを未来につなげていく日にしたいものです。それぞれの地域で、それ
ぞれの思い、流儀で声を上げていきましょう。

僕自身は京都で行われる「バイバイ原発3.10きょうと」に参加します。
エコマルシェ・・・移動式露天商なるものが登場するようなので、そこで
岩波ブックレット『内部被曝』を売らせていただくつもりです。
京都でまだ入手してない方、ぜひ3月10日にお買い求めください!

以下、「バイバイ原発3.10きょうと」の案内を貼り付けます。
English versionもあります!

****************************

バイバイ原発3.10きょうと
この日このばしょでわたしたちの未来を選ぼう
http://atomausstieg-action.jimdo.com/

(当日のメイン会場でのアトラクションと集会には手話通訳を準備しています。
ご希望の方は、事前にご連絡いただくか、当日、受付にてお申し出ください)

2011年3月11日の東日本大震災は、マグニチュード9.0という巨大地震とそれ
にともなう大津波、さらに福島第一原発での炉心溶融と大量の放射能の漏出
という、未曾有の災害となりました。

日本は地震とむきあっていかねばならない国です。このような日本に54基
もの原発がつくられてきたということの重大さを、いまあらためて直視しな
ければなりません。

私たちの住む京都は「若狭原発地帯」と隣り合わせ。いったん事故がおきた
とき、広大な地域にその影響が及ぶことは明らかです。日本の未来のために、
子供たちの未来のために、いのちあるすべてのもののために、私たちのとる
べき道は「原発のない社会への道」しかありません。原発をストップさせ、
再生可能エネルギーを中心にした政策への転換を実現しましょう。

私たちは、東日本大震災から1年を迎える3月10日、この思いをあらためてはっ
きりと示すために、市民だれもが参加できる「バイバイ原発3.10京都」を企画
しました。3月10日を、新しいエネルギー社会へと踏み出す一歩とするため、
是非ご参加下さい。


2012年3月10日 (土) 円山公園 ★雨天決行

●メイン集会-円山公園野外音楽堂
13:00開場 13:15アトラクション 14:00開会
小出裕章さん (京大原子炉実験所助教)スピーチほか

●周辺イベント-円山公園しだれ桜周辺
11:00-設営 12:00-開始
ライブパフォーマンス/バイバイ原発レンジャーショー
エコマルシェ/フリースピーチスペースetc

●デモ出発-円山公園~市役所前まで  14:45~出発

★主催 バイバイ原発3.10京都実行委員会
TEL 075-255-5700 FAX 075-251-1003
E-mail bye_npp_310★yahoo.co.jp(★を@に変えて下さい)

*****

楽しいイベントがいっぱい!
ライブパフォーマンス&エコマルシェ参加者募集中♪

小出裕章さん (京大原子炉実験所助教)スピーチ
【講演会同日開催】参加無料・要申込
18:30開演 inシルクホール
★お申込・お問合せ T075-212-8877 info@hokeni.jp

制服向上委員会 歌&スピーチ
「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」ほか
制服向上委員会オフィシャルサイト
http://www.idol-japan-records.net/ski/

●若手実行委員会による野外フェスティバルが熱い!●

緊急決定!若者とママパパへのメッセージ
小出裕章×制服向上委員会 トークライブ開催!!
「フリースピーチ」スペースで13:00~開催!(15分程度) お見逃しなく♪

ライブパフォーマンス 「さらば原発!★野外フェス」
関西を拠点に活躍するアーティストが集結!ラップ、ダンス、ロック、ジャ
ンベなど多様なパフォーマンスが楽しめる♪

アバンギャルド労働組合/ジェロニモレーベル/趙博(パギやん)/謎のラップ
集団/アートにっこりセンター/ターケン/一匹狼ジャンベ野郎nuhoほか、関西
アンダーグラウンドから出演希望が殺到!!

エコマルシェ 移動式露天商
手作りの雑貨・脱原発グッズなど、他にはないものがいっぱい。この日だけの
特設エコマルシェ。参加者募集中♪

フリースピーチ
イベント会場の一角にフリースピーチスペースを設置。自分たちの活動や、脱
原発に対する熱いパトスをさけぼう!★どなたでもご参加頂けます。

バイバイ原発レンジャーショー
「子どもと地球を放射能から守るチーム」バイバイ原発レンジャーがやってくる!

サウンドデモ(河原町通りを興奮のるつぼに!)
ジェロニモレーベル/打ち込み&ラップ組/アバンギャルド労働組合 ほか
ベビーカー隊、ダンサー隊、トラクター隊
音楽隊、仮装隊、着ぐるみ隊…etc
色んなグループがあるよ♪風船やシャボン玉で楽しく、マラカスやタンバリンで
にぎやかにデモしよう!牛さん・お馬さんも来る…かも?


呼びかけ人
●アイリーン・美緒子・スミス(グリーン・アクション)
●安斎育郎(立命館大学名誉教授)
●飯田哲夫(医師/京都府保険医協会理事)
●石田紀郎(元京大教授/さようなら原発1000万人署名・京都の会)
●岩佐明子(ベジタリアンフェステイバル実行委員会)
●佐伯昌和(「6・26放射能汚染はごめんだ!バイバイ原発・京都」よびかけ人)
●本育生(「環境市民」代表)
●宗川吉汪(「原発NO!9・10府民大集会」事務局、日本科学者会議京都支部)
●槌田 劭(元精華大学教授/使い捨て時代を考える会)
●仲尾 宏(「反戦・反貧困・反差別共同行動(きょうと)」代表世話人)
●長谷川羽衣子(「バイバイ原発・京都」ネットワーク)
●原  強(「バイバイ原発9・11」よびかけ人)
●本田翔平(原発ゼロアクション)
●村本さゆり(舞鶴ピースプロジェクト)


“Bye Bye Genpatsu” Anti-Nuke Event & Demo in Kyoto, March 10th

Bye Bye Genpatsu @ Maruyama Park, Kyoto, Monday March 10th 2012
13:00 Rally at Maruyama Park’s outdoor stage
(near the famous weeping cherry tree)

13:15 “Attractions”
14:00 Meeting begins
14:45~ Demo begins. The demonstrators will walk from Maruyama Park
to City Hall via Shijo and Kawaramachi Streets.

This promises to be a fun event, with speeches, music, dancing, a small
flea market of home-made, eco-friendly goods and a chance to speak your
own mind in the “free speech” event too! There will also be a show
for the kids called the “Bye Bye Genpatsu Rangers.” Sounds like quite
the festival doesn’t it?

For more details of this and other events please check the Bye Bye
Genpatsu website(Japanese only).

Michael Lambeさんのブログより
http://www.deepkyoto.com/?p=7209





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明日に向けて(417)SPEEDIは使えぬ。直ちに避難するようなルールにしておくべき(班目委員長談)

2012年03月02日 15時00分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120302 15:00)

このところ、原子力安全委員会の班目委員長が何かと物議をかもしています。ストレステ
ストに対して「安全性を高めるための資料として、(停止中の原発を対象とした)1次評
価では不十分」とも指摘し、1日の国会では自民党の梶山弘志議員に辞任を迫られたりして
います。

これまでの班目委員長の発言を見ていると、多くの場合、自己正当化が目的となっている
ものが多く、本当の意味での反省をしているとは思えないのですが、ただこの方はわりと
イノセントで、自己を正当化するときに、かなり重要なことをポロポロともらす傾向があ
ります。

事故対処の早い段階で、安全委員会は前線から退けられていきましたが、その要因の一つ
が、度々、重要情報を班目委員長がもらしてしまうことに対して、首相官邸の内部に入っ
たアメリカが、危機管理の観点から、情報の一元化と徹底管理をはかり、なんでも話して
しまいがちな班目委員長を遠ざけていったように見受けられるところがあります。その意
味で班目氏の発言には重要な情報が見え隠れしているといっていいと思います。

では今回の一連の過程ではどうか。やはり幾つかの非常に重要な発言が飛び出してきてい
ます。その一つが「SPEEDIは使えない」発言です。これは国会の事故調査委員会の
席上で、2月16日に行われたものです。

SPEEDIは政府の事故対策マニュアルにあるものです。これを活用して避難を有効に
進めようというものですが、今回は電源が喪失したために有効に使えなかったのだという
ことが政府がSPEEDI情報を開示しなかったいいわけになっています。しかしそれは
ウソではないか。SPEEDI情報は隠されたのではないか。責任は安全委にあるのでは
ないかということが繰り返し指摘されてきてもいるわけです。

これに対し、自己正当化を図ろうとする班目委員長は、次のように述べたのでした。
「SPEEDIの予測結果に頼った避難計画にしていること自体が問題で、直ちに避難す
るようなルールにしておくべきだった」・・・。

どういうことか。班目委員長によると、SPEEDIは計算に時間がかかりすぎるので
もともと使えないのだというのです。つまりきちんと使えなかった安全委員会に責任が
あるのではなく、もともとこんな使えないものに依拠していたのが間違いだった。災害時
には「直ちに避難するようなルールにしておくべきだった・・・」というのです。

非常に無責任な言い方なのですが、しかし、存外これは真実なのではないか?

実際にそうだとすると、防災計画全体が大きな瑕疵を持っていることが浮かび上がります。
ある意味でSPEEDIは、政府が避難を司る切り札でもあるからです。政府こそが、放
射能漏れを把握しているのだから、政府の指示を待ちなさいということが言えるからです。
SPEEDIは、原発災害避難を官僚的統制していく上での重要な装置なのです。

ところがそれが実際にはもともと使いものにならなかったという。となると政府は原発事
故の際、どのように逃げることが最も合理的か、判断するすべなど実は持ってないのだと
いうことが明らかになります。だとすれば政府の判断など待っていたらただ無駄に時を浪
費することになってしまいます。緊急時の時間の浪費は生死を分ける問題です。

ではどうすればいいのか。班目委員長はストレートにこう述べています。「直ちに避難す
るようなルールにしておくべきだった」・・・。まさしくその通りなのではないか。

もちろんここには、直ちに公開すれば有効であったかもしれないかったSPEEDIデータ
の未公開問題のごまかしがある可能性があり、実際のところはどうだったのか、きちんと
検証していく必要がありますが、しかしそれでも安全委員会の委員長の発言ですから
これはかなり重みがあります。

しかも肝心なことは、まだこうした原子力防災体制の、何一つもあらためられていないこ
とです。今も昨年3月11日と変わらないマニュアルのもので、実質上何の効果も発揮できな
かった防災体制が組まれたままなのです。ということは現状でも、膨大な放射能漏れが起
こったときに、政府はそれを把握する手段など持っていないということです。そのこと一つ
とってみても、すべての原発の再稼働が認められないことは明らかです。なぜって放射能
漏れをきちんと把握する切り札が偽物で、役にたたないことが明らかにされたのですから。

ここから引き出しておくべき結論は次の点です。もし私たちが再度、原発災害に直面した
ときには「直ちに避難する」ことが必要だということです。政府の判断など待っていては
ダメです。なぜって安全委員長が、判断なんかもともとできない体制だったのだ、すぐに
逃げなければだめだといっているからです。そしてそうであるならば、政府が放射能の
流れる動向を何もつかむことなどできないことを前提とした避難訓練を、自己レベル、家
族や友人を交えたレベル、あるいは地域レベルで行なっていく必要があります。

おりしもこのところ、首都圏をここ数年の間に、直下型地震が起こるのではないかというこ
とが囁かれています。再度、大津波が起きた場合の対処もあちこちで検討されています。に
もかかわらず、ポッカリと原発災害への備えの見直しだけが空白になっています。なぜか。
この問題をきちんと検討するだけで、原発再稼働の道が完全に閉ざされてしまうからです。
いやそれだけではなく。「冷温停止宣言」がまったくの虚構で、私たちが今なお、重大な
危機の前に立っていることがはっきりしてしまうからです。

そうであるならば、私たち市民の側から、原発災害対策を考え、組み上げていく必要があり
ます。それぞれの地域で行政をも巻き込んで、原発災害への備えを作り出していきましょう。
班目委員長の発言から私たちが引き出すべき結論はここにあります。


***************

東日本大震災:福島第1原発事故 班目氏、SPEEDI「避難に使えぬ」--国会事故調
毎日新聞 2012年2月16日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120216ddm002040092000c.html

◇「計算に1時間」
東京電力福島第1原発事故に関する国会の事故調査委員会(委員長、黒川清・元日本学術
会議会長)は15日、東京都内で第4回委員会を開いた。会合には原子力安全委員会の
班目(まだらめ)春樹委員長と経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭前院長が出席。
班目氏はSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)に関し、「計算には1時間
必要で、風向きが変わる場合がある。SPEEDIが生きていたらうまく避難できていた
というのが誤解だ」と述べ、住民避難に生かすのは困難だったとの見解を示した。また、
原発に関する国の安全指針について「瑕疵(かし)があった」と陳謝した。

政府のマニュアルでは事故の場合、保安院が緊急時対策支援システム(ERSS)を起動
して放射性物質の放出源情報を把握。SPEEDIで放射性物質がどこに拡散するか予測
することになっている。しかし、今回の事故では、地震による原発の外部電源喪失により、
ERSSからのデータ送付ができなくなって拡散予測はできず、避難区域設定への活用も
できなかった。

班目氏は「SPEEDIの予測結果に頼った避難計画にしていること自体が問題で、直ち
に避難するようなルールにしておくべきだった」と述べた。

安全委によると、仮にERSSからデータが届いていたとしても、今回の事故では水素爆
発や炉心溶融などシステムの想定外の出来事が起きていたため、正確な計算ができず間違っ
た予測結果になっていたという。

また、班目氏はこれまでの国の安全指針について「津波について十分な記載がなく、長時間
の全交流電源喪失も『考えなくてよい』とするなど明らかに不十分な点があった。おわび申
し上げる」と謝罪。その要因について「諸外国では検討しているのに、我が国ではそこまで
やらなくてもいいという言い訳ばかりに時間をかけ、意思決定がしにくい状況にあったこと
が問題の根底にある」と指摘した。

一方、寺坂氏は事故に関する政府の議事録が作られていなかった問題について、「事故当初
に対応できていなかったのは申し訳ない。公文書管理法上も問題がある」と陳謝した。
【岡田英、比嘉洋】


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明日に向けて(416)山下俊一氏の残酷で罪深いうそ・・・その3(長年にわたる構造化)

2012年03月01日 15時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120301 15:30)

前2回で山下俊一氏のうその残酷さと罪深さについてとらえてきましたが、連載3
回目の今回は、このうそが、山下俊一氏のオリジナリティなのではなく、実は歴史
的に形成されてきたものであること、今では放射線の被害を隠すための常套手段と
なっていることを明らかにしたいと思います。

放射線の被害を非常に軽く言うこと、とくに内部被曝の危険性を隠してしまうこと
は、歴史を遡っていくと、ずいぶん前から行われてきたことが分かります。その
出発点は広島・長崎原爆投下直後のことでした。このとき、日本を占領したアメリ
カ軍は、1945年9月6日にマンハッタン計画の副責任者を東京に派遣し、記者会見で
「死ぬべき人は死んでしまい、9月上旬において、原爆放射能で苦しんでいる者は皆
無だ」と声明させ、放射線の影響はもう終わったと世界に発表しました。しかも9月
19日にプレスコードで原爆に関する一切の報道を禁止しました。以降、広島と長崎
の姿は、1952年にアメリカの占領がおわるまで世界から隠されてしまいました。

なぜこういうことが構造化されたのでしょうか。核戦略を推進するために、またも
ともと核兵器製造から派生してきた原子力発電を推し進めるために、放射能の害を
できるだけ小さくみせることが必要だったからです。そうしておいて米軍は核実験
にのり出していきます。対抗的にソ連が核実験を初め、やがてイギリス・フランス
・中国が参加し、私たちの「宇宙船地球号」は、繰り返し放射能によって汚染され
てしまいました。しかも互いに核兵器を向け合って対峙したアメリカとソ連の双方
が、放射能の害を小さくみせることでは利害が一致し、核保有国のそれぞれが植民
地や少数民族が住まう地域での核実験を行い続けました。

こうした資本主義大国と社会主義大国の、放射線をめぐる利害の一致とでも言うべ
きものが一つの頂点をみたのが、ほかならぬチェルノブイリ原発事故でした。この
事故のときも各国は、自国の原発の安全性を強調するだけでなく、放射能汚染など
大したことはないと強調したのでした。フランスなど、自国に放射能が降ってきて
いることすらなかなか認めようとしませんでした。

さらに資本主義各国は、ソ連政府の要請を受ける形で、IAEA(国際エネルギー機関)
の調査団をチェルノブイリに送り込みます。そして1991年に健康調査報告書を
提出させたのですが、なんと「チェルノブイリ事故による住民の健康被害は一切認
められない」というとんでもないものでした。しかも、「汚染地帯の住民が陥って
いるのは『放射能恐怖症』という心理的な病」だとする報告を出したのです。

これは放射線の害を隠すために編み出された残酷なレトリックです。というのはこ
の報告は、現にさまざまな健康被害が起こっていることそのものは否定できない状
況で出されています。そこで編み出されたのが、健康被害を、放射能のせいではな
く、放射能を怖がる心理的ストレスに変えることなのでした。放射能の害を受けた
被害者に対して、あなたが怖がりすぎるから体調を崩したのだと、いわば己に対す
る加害の責任者にしてしまったのです。もはや隠せなくなった健康被害の責任を、
被害者そのものにおし被せてしまったのでした。このため本当に多くの被害者が二
重三重に傷つけられました。


しかも見過ごすことができないのは、この調査団の団長として、この報告書の作成
を指揮したのが、広島放射線影響研究所の、重松逸造理事長(当時)だったことで
す。広島という名前を冠した組織を見ると、多くの人々は何かその組織が、被爆者
に寄り添ってきたかのような印象を得てしまう。ところがこの組織はその前身が、
原爆傷害調査委員会(ABCC)というアメリカによって組織された調査機関であり、
もともと、原爆の被害をできるだけ小さく見せることを目的とてきた機関なのです。

重松氏はその理事長としてIAEA調査団の団長になったのですが、この方は、それまで
も水俣病の「疫学的調査」なるものを行い、加害企業であるチッソとの因果関係を全
否定するなど、主だった日本の公害事件の場に赴いて、住民の健康被害と加害企業の
関係を否定し続けてきた「御用学者」の典型の人物でした。その重松氏がチェルノ
ブイリにおいても、健康被害を全面的に隠してしまったのですが、実は山下俊一氏は、
この重松氏の弟子筋に連なる人物なのです。

その意味で山下氏の言動は、広島・長崎への原爆投下後からはじまり、チェルノブイ
リ事故のときに行われた「被曝隠し」を受け継いだレトリックだったのであり、まさ
に核戦略のもとで練り上げられてきた、残酷なウソだったのです。そのことをここで
強調しておきたいと思います。


大貫さんや、ブログにコメントを寄せてくださったたぬきちさんが、こうして作られ
たうそに「ひっかかってしまった」こと、実に多くの人々が騙されてしまい、今なお、
騙されている根拠は、私たち市民の多くが、他者に対して、とくに政府に対して、そ
れほどに強い悪意を持っているとは考えることが少ないからでもあります。いくらな
んでもそんなにひどいことをする人などいるはずはない、政府もそこまで悪辣ではな
いと、私たちの多くは考えている。そしてそのように、根底のところで私たちの多く
が人を信頼しているからこそ、この国の平和は維持されています。

とくに今回の大震災のときに、東北の多くの方たちがじっと支援を待ち、他国ではあ
りがちな略奪などが起こらなかったことは、私たちの住まう国が相互の信頼性の高い
国であることを物語るものです。そうした善意、人を信じる心はとても大切なもので
すが、本当に残念なことに、その尊い気持ちの上にあぐらをかき、平気で人の命を弄
ぶ人々が私たちの国にはいるのです。その点で第一に悪いのはこのように人々の信頼
を裏切って、大ウソをついた側です。人や政府を信頼しようとした人々が愚かなので
はなく、その大切な信頼を、てひどく裏切った側が悪いのです。まずこのことを押さ
える必要があります。

その点に踏まえて、しかし今、私たちはより賢くなっていかなければならないし、い
ろいろなことに気づいていかなければなりません。例えばこうした大うそ、被曝の恐
ろしさの隠蔽は、実は原発における被曝労働の構造化ひとつとってみても、前から明
らかだったのです。誰かが確実に、ひどい形で被曝していることが分かっているのに、
その上にあぐらをかいて発電が行われてきました。

いやそればかりか、戦後から今日まで、広島・長崎の被爆者たちが本当に苦しい時を
歩んできたにもかかわらず、それが私自身を含めて、多くの国民・住民に十分に受け
止められてきたとは言えなかった。被曝隠しによって私たちの多くが騙されてきてし
まい、その間に、たくさんの被爆者が途端の苦しみを舐めてきたのです。そうした歴
史を私たちは今、捉え返す必要があります。

山下俊一氏の残酷で罪深いうそを覆し、乗り越えていくために必要なのはこのことです。
私たち市民の主体性が豊かに研ぎすさまれていくことが求められています。こうした
視点を踏まえて、情報解析と発信を続けます。
コメント (2)
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明日に向けて(415)山下俊一氏の残酷で罪深いうそ(福島市大貫友夫さん談)その2

2012年02月29日 23時30分30秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120229 23:30)

前回、3月24日に福島市に乗り込んだ山下教授が、どれほどいい加減な発言を
してきたか書きましたが、これに対して僕のブログに共感の声が寄せられまし
た。印象的だったので紹介します。お送りいただいたのは、ペンネーム「たぬ
きち」さんです。

***

守田様
毎日のご活動、本当にお疲れ様です。

私は東京在住ですが、事故の状況が気が変になりそうなほど心配だったので、
毎日ネットで情報収集していましたが、その時に山下医師の福島での講演を知
りました。原爆被害のあった長崎の先生とのことで私もその発言をすっかり信
じてしまっておりました。

もちろん、しばらくしてその発言がとんでもない嘘だったと知りましたが・・・。

許せない・・・。

彼のせいで一体どれくらい多くの人々の心と身体が傷ついてしまったことか・・・。

私は彼の非道を一生許さない・・・。

***

同じ怒りを抱いている方は他にもたくさんおられると思うのですが、3月24日の
講演のリアリティを紹介してくださった大貫さんももちろんその一人です。大貫
さんは同時に、この時の会場の異様さも強調されました。というのは「不安を口
にするのが許されないような雰囲気」があったというのです。ある人が、山下氏
が「心配する必要がない」と繰り返すことに対し、「でも自分は心配だ」と語り
だすと、とたんに「何を言ってるんだ」「今はそんなことを言うときではないだ
ろう」と罵声が浴びせかけられたそうです。発言者や質問者が感情的になるので
はなく、質問者の発言に野次が飛ぶ。そんな光景ははじめてみたと大貫さん。

ちなみにこのことを長年、福島市で市民運動にたずさわってきた深田和秀さんに
お話すると「業者か何かが入っていたかもしれないですね」と即座におっしゃい
ました。確かにそうだったのかもしれない。たちの悪い「勘違い」を披瀝するこ
の方なら、いやこの方を送り込んだ面々なら、それぐらいの準備はしかねません。
もちろん何らの証拠もない憶測にすぎませんが・・・。

大貫さんは残念そう顔をしかめて語り続けました。「でもそんなに会場の様子
が変だったのに、私もマスクをしなくていいと信じてしまったのですよ。何かお
かしいとは思ったし、雰囲気が異様だとは感じていたのに、家に帰って妻に、心
配することはないらしい、マスクもはずしていいらしいよと語ってしまいました」。

ところが前回も述べたように、セシウムは100度では気化しないのではという話
がラジオで流れ、それに山下氏がへらへら笑いながら「あれは私の勘違い」と語っ
たとき、やはりこれはおかしいと思い出し、大貫さんはもう一度、マスクをつけた
ほうがいいと感じ出したといいます。

「そもそも私は放射線のことなど何も知りませんでした。地震が起こった後は、
停電でしばらくテレビも見れませんでした。しばらくたってラジオをつけたら、
放射線量のことが語られている。えーっと思って不安がつのったときに、放射線
の専門家の偉い先生が来ると聞いたのです。ぜひ放射線のことを教えてもらいた
いと会場にいきました。それで安全だといわれて、ほっとしてしまいました。雰
囲気が変だと思ったのに」・・・。

そのときの様子を思い浮かべながら、最後はまるで独り言を言うように語られる
大貫さんの姿を見ていて、胸が痛くなりました。山下氏は、人々の放射線防護体制
を大きく崩し、避けられる数多くの被曝を生み出すとともに、あのとき、放射能も
れの前で、驚き、身悶えし、必死によりよき道を探そうとしていた人々の心をも
大きく傷つけたのです。まさに残酷で罪深いうそです。

続く・・・次回では。山下氏のうそが彼一人のものではなく、核政策推進派によっ
て繰り返されてきた構造的なものであることを明らかにします。
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明日に向けて(414)山下俊一氏の残酷で罪深いうそ(福島市大貫友夫さん談)その1

2012年02月27日 07時30分00秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20120227 07:30)

今、僕は福島市内のホテルで朝を迎えています。放射能除染・回復プロジェクトが
23日から26日にかけて行った活動に後半の二日間参加したのですが、今回もとても
意義深い時間を過ごしました。

僕が参加したのは、これまで同プロジェクトが除染を行ったお宅のフォローアップ
でした。数ヶ月たって、線量がどうなっているのかを調べにいったのです。2日間
で3件のお宅にお邪魔しました。どこも確実に除染の効果は出ていましたが、しか
し安心して住めるレベルにはまだまだ遠いのが現実でした。どこのお宅も部屋の中
で高いとことでは0.4マイクロシーベルト毎時の放射線量が計測されました。

この様子もまたお伝えしたいと思いますが、今朝は、訪問先の方にうかがった話の
中で、山下俊一氏に関するとても印象的話が出てきたので、まずはそこからご紹介
したいと思います。

山下俊一氏は、長崎大学教授で、大震災直後に福島県に入り、県の健康アドバイ
ザーになった人物です。「100ミリシーベルトまでは安全」「マスクはしないでい
い」「布団は外に干してください」などと、当初から安全宣言を繰り返し、県民が
放射線から身を守る体制を大きく崩してしまった御仁です。

多くの人が山下氏を批判しています。もちろん僕も講演のたびに彼を批判してい
ます。とくに僕が彼を批判する理由は、あまりにひどい嘘をついたことと同時に、
とても残酷な役割を果たしてきたからです。というのは山下氏は、「今回の事故
で福島原発から出てくる放射能は、チェルノブイリ事故の1000分の1から100分
の1です。何も心配ありません。マスクはしなくても大丈夫です。布団は外に
干してください。窓は開けてください。子どもは外で遊ばせてください」など、
非常に問題の多い発言を繰り返しました。実際には、チェルノブイリ事故に匹敵
する放射能が漏れ出したのであり、これだけでも学者として完全に失格であるこ
とははっきりとしています。

しかしより大きな問題は次の点にあります。山下氏が、一番いけないことは放射
能を心配しすぎることだ。そのための心理的ストレスが一番危険だと繰り返し
強調したことです。なぜならこのことと「マスクはしなくていい」という言葉が
くっつくと、マスクをしているのは過剰に放射能を怖がることになるわけですか
ら、マスクは「しなくてはいい」のではなく、「してはいけない」に変わってし
まうからです。

このことが福島県民の中に非常に深刻な対立を産み落として生きます。山下氏の
言葉を信じてしまった人は、マスクをはずすわけですが、信じれない人はマスク
を付け続けました。ところが信じてしまった人からすると「そうやってマスクを
するから子どもたちが怖がるのだ」という考えが生まれます。そしてそれはきつ
い主張となり、そこここで人の間に亀裂を生んでいったのです。

実はこの山下氏の発言は、1991年のチェルノブイリ事故調査報告書以来、原子力
推進派が使い続けてきた「うそ」なのですが、効果は絶大です。なぜならこれは
災害心理学にいう「正常性バイアス」の上にのっかるものだからです。正常性
バイアスとは、突然の危機に直面した人間が、危機を危機として認めず、事態は
正常に推移しているのだというバイアスをかけることによって、精神的苦境を逃
れようとする人間心理です。危機だと思ったら、必死の対処をしなければならな
い。安全だと思えば何の対処もいらない。だから人は安全だと思い込みたがるの
です。この上に山下俊一氏は、自らの言葉を重ねていきました。

およそこれが山下俊一氏の罪深い嘘の実態なのですが、僕は今回、初めてその
リアルな姿をみた人に触れました。その方は福島市内在住の大貫友夫さんです。
事故当初より活発に情報を集め、娘さんを避難させ、自らは除染に挑んできまし
た。途中で、放射能除染・回復プロジェクトに参加し、自宅への除染をプロジェ
クトとともに行うなどしてきました。今回、フォローアップで訪れたお宅のうち
の一軒が大貫さんの家でした。

その大貫さんが、実は山下氏が一番はじめに福島市内で行った講演会に参加した
のです。情報が非常に限られてる中で、長崎大学から偉い先生がやってくると聞
いて、放射能のことを聞きたいと出かけたそうです。そのとき山下氏は、さきほ
ど述べたようなことを話したのですが、こんなことも言っていたそうです。

「セシウムというものは、100度になれば、気体になってどんどん出ていきます。
だから野菜はお湯でゆがけば大丈夫です」。僕は一瞬、耳をうたがいました。
セシウムは融点は摂氏28度ですが、気体になる沸点は641度。とても100度では
気体になりません。放射能の専門家を自称する人物がどうしてそんなことを
言ったのでしょうか。

「えっ」と絶句する僕に対して、大貫さんは「そうなんですよ。ラジオ福島を
聞いていても、すぐにいくらなんでもそれはおかしい。セシウムは100度では
気化しないという意見がどんどん出てくるんです。それでラジオのパーソナリ
ティーが、長崎に戻った山下さんに、電話でインタビューしたのですね。そう
したら、あの人がいつもするようにへらへら笑いながら、「ああ、あれは私の
勘違いでした」と語ったのです」・・・。

もう一度、耳を疑いました。しばらくして怒りがこみ上げました。僕には知っ
ていてついた嘘にしか思えないからです。しかも市民を素人とあいてどって、
非常にぞんざいな気持ちで語ったのではないか。だからへらへら笑って、軽く
撤回したのではないか。何かそこに、山下氏の福島県民に対する冷酷かつ尊大
な感情がすけてみえるような気がしました。

大貫さんは飯舘村か川内村からきた女性が、「自分には生まれたばかりの孫と、
妊娠している娘がいる。このまま福島に住み続けていいのだろうか」という質
問への山下氏の回答についても教えてくれました。

「まったく問題ありません。でも女性は感情的になっていいですから、心配な
ら避難したらいいです」

「女性は感情的になっていい」という言い方。放射能を怖がるのは「感情的」
であって、非理性的だけれども、女性はそういう存在だからそれでいい・・・
とこれは、放射能へのあたりまえの恐怖や不安を「感情的」といってさげすみ、
不安を口にできなくさせるとともに、強い女性蔑視に裏打ちされた二重三重に
あやまった発言です。

質問が続きました。
「牛の乳から放射能が出ました。どしてなんでしょうか」
「牛は外の青い草を食べているからです。みなさんは心配ないです」
「今は青い草なんてはえてません。人間の食べ物と同じように屋内において
あったものを食べたのですが」
山下氏、これにはこたえられなくて押し黙ってしまったそうです。

・・・長くなりだしました。そろそろホテルをでなければいけません。
続きは京都に戻って書きます。




コメント (3)
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明日に向けて(413)給食人サークルのお招きで、東山いきいきセンターでお話します。(1日)

2012年02月25日 23時30分30秒 | 明日に向けて(401)~(500)
守田です。(20122025 23:30)

昨日の夜行で京都から福島市にやってきました。放射能除染・回復
プロジェクトへの参加です。福島は今、雪の中です。今朝からかな
り強く降り、かなり積もっています。大雪だそうです。昨日までは
あたたかく、「このまま春を迎えてくれればいいな」という感じ
だったとか。

今日はそんな雪の中、プロジェクトの方たちと、これまで除染を行
った家へのフォローアップを行いました。雪によって、庭などの線
量がさがっていると思いきや、わずかながらかえってあがっている
感じがしました。なぜだろう?原因がわからないので、プロジェク
トの細川さんが、雪を採取しました。妙だとおもったらとにかくサ
ンプリングして、測る、ことを繰り返すことが大事だと思います。

2軒のお宅をまわったあと、交流会を持ちました。
そこで避難の問題、除染の問題など、かなりつっこんだ
話をしました。非常に有益な話ができたのですが、さすがに夕べ
夜行で入っているので、今は疲れに襲われています・・・。
続きは明日以降にかきたいと思います。

今日は1日の講演会についてお知らせをします。
ある方が流してくださったものの転載です!

よければお越しください!

***********

3/1(木)午後7時より、守田さんによるお話会が下記要領で
開催されます。

託児はありませんが、お子さま連れOKとのことなので、
「まだ守田さんのお話を聞いたことがない」「何回でも聞き
たい」方々、どうぞご参加ください。

また、主催は保育園給食に長年携わってこられた給食の先生方、
OGのみなさんによる「給食人サークル」なので、時間があれば、
保育園給食にかんする疑問などにも答えていただけるかも…!

■日時:3/1(木)19時~20時半頃
     19:00~20:00 守田さんのお話
     20:00~20:30 質疑応答、意見交換
■場所:東山いきいき市民活動センター 1F 和室
    (京都市東山区花見小路通古門前上る巽町450番地
    =花見小路通古門前上る東入ル南側)
【アクセスマップ】
http://bit.ly/iLr6IZ
■お話:守田敏也さん
テーマ「どうしてこわい、内部被曝?何をどんなふうに食べたらいいの?」
■参加費:¥200
※予約不要。当日直接、会場にお越しください。


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