ぼちぼち日記

大切な日々のこと

『ぼくの町にくじらがきた』

2006-06-17 05:39:18 | 息子と読んだ本のこと・絵本
ぼくの町にくじらがきた
ジム・ヤング=文 /ダン・バーンスタイン=写真 /偕成社

図書館で一目ぼれした本。作者が実際に体験した出来事が、架空の少年の目を通して語られる。それは、鯨が浜に打ち上げられ、亡くなるまでの3日間だ。静かで重々しい語り口調が、読むものに感動を与えてくれる。
息子は、動物が大好き。とりわけ、イルカや鯨が大好きだ。テレビに映る彼らは、美しく雄大で、息子を惹き付けてやまない。けれど、実際の自然は、美しいだけではない。
この本でもそうだ。少年を魅了した鯨は、死という悲しい結末を迎える。人間達は、ロープを使って沖に逃がしてやろうと試みるが、偉大な自然の摂理には、逆らうことができないのだ。
私たちにできるのは、自然の不思議に、ただ、耳をすませ、目をこらすこと。

とうとう鯨が亡くなったとき、読みながら涙がこぼれた。悲しいとか、そういう涙じゃない。言葉にできないのだけれど、ただ、ただ、大きな力に感動してしまったのだ。先に泣き出してしまった母の横で、息子は、黙ってきいていた。もしかしたら、素晴らしい写真に、釘付けになっていたのかもしれない。白黒の写真の中の鯨は、まっすぐ、こちらを見つめていたから。

キャンプに行く前の日に読むには、ちょっと、重すぎたかもしれないな。
けれど、きっと、この感動は、きっと心の中に残るだろう。ずっと、ずっと。