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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」238

2020年09月18日 | 物語「約束の夜」
動かない手。

動かない身体。

「・・・・・・っっ!!」

センの身体は、すでに、満樹と翼の剣が貫いている。

「!!?」

センは血を吐く。

その剣の傷と、毒と。

「やった!?」
「油断するな!」

センの身体が崩れ落ちる。

距離を取り、満樹と翼はセンを見る。
センは魔法を使うことが出来ない。
治癒の魔法など、もってのほか。

この傷が、この場で治るなど、あり得ない。

「くっ・・・、誰かっ」

「誰も来ないよ」

センの言葉に、翼が云う。

「こう云う場だ。下の者には動かないよう伝えてある」
「何を」
「そもそも、この場所はある程度以上の者しか知らない」

翼はちらりとチドリを見る。

「な、チドリ」

チドリは杖を握りしめる。

「だが」
「何だ」

「俺がいる!」

そう、センに杖を向ける。

「お前ら、まだっ!」

治癒の魔法。

「!!?」

・・・・・・。
・・・・・・。

「何!?」

「はは。もう一度ぐらい役に立つよ」

ツイナが立ち上がっている。

「ツイナ!」

けれども、その足下はふらふらとしている。

「無理をするな!」
「大丈夫っ!」

ツイナは笑う。

「ヨシノが手伝ってくれるから!」

チドリの周りを、光が囲む。
術封じ。

「私だって苦手なだけで、ちょっとは出来るんだから!」
「ナイスヨシノ!」
「まぁね!」
「俺たちナイスカッ、」
「気を付けろ!!」

ツイナの言葉は、満樹にかき消される。

「チドリがこの術封じに負けるとは思えない!」
「判ってる!」

ツイナが云う。

「先ほどと同じだよ! 足止め程度なんだから!」

「ラストチャンスか」

翼が云う。





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