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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「続・夢幻章伝」55

2021年07月20日 | 物語「続・夢幻章伝」
「怪我は無いかい?」
「ええ」
「それなら、良かった」

クリミアをタクトに託し、立ち上がるマツバ父。

慌ててマイクを握る司会者。

「皆さん無事でなによりです。
 しかし、豆乳料理対決は、残念ですが……」

料理爆発により、会場の全ての食材は炭と化している。

「いや、待ってくれ!!」

マツバ父は自分の作業スペースに戻り
確かめるようにオーブンを開ける。

「余った食材で仕込んでいたが
 良かった、無事だった様だな」

取り出したるはクッキー。
それは豆乳クッキー。
クリミアの爆発の熱とか何やらにより、
偶然の産物としてクッキーが焼けた。

「いやいやいやいや!!!」
「そうはならんだろ!!!!????」
「豆乳クッキーって
 前回マツバが作ろうとしたやつキコキコ」

「さあ、みんなでこのクッキーを食べよう」

わあああああ(歓声)。

「素敵だわ。
 あら、クッキーも美味しい!!!」

クリミアがほう、と息をつく。

「タクト、あんな大人の男性を目指して」
「そうだな、クリミア。
 けれど、俺は無口で無骨なライバルポジションだから
 ちょっと難しいな」

ヒロインは主人公じゃなく、
こっちとくっついて欲しいという派閥も居る
そういう立ち位置の。

血筋?

「うん、君、こ、………お父さんそっくりだよ」

タクトの父を知っているマツバ父は頷く。
性格が似ているかどうかは別として。

「俺にも息子が居れば
 似ていたのかな、なんて」

どこか寂しげに微笑みつつ
そう、呟く。

「なんというかキコキコ」

一連の様子を見守っていた
へび呼ロイドは言う。

「マツバのお父さんも
 だいぶこじらせているキコキコ」

体が弱く、村では役立たずといわれ、
ふがいなさを感じた日々。

作品一本分の妻と娘とのやるせない過去。

娘と同じ年頃の子に
美味しいご飯を食べさせて、喜んで貰う事で
心の平静を保っている的な。

「マツバ、あのさ
 うちよりマシとか言ってごめんな」

ちょっと申し訳無さそうな、アヅチ。

「やめええええええええい!!!」

意味深な、今後の流れの布石?という展開を
マツバが強制終了する。

「さっさと行くわよ、アヅチ、へび呼ロイド!!」
「おおおおおおお」
「マツバ、今日は叫んでばっかりキコキコ」

アヅチがステージを振り返ると
マツバ父が司会者から優勝トロフィーを貰っていた。
うん。残った料理それだけだし。

「前フリが長すぎたけど
 私達まだ何にも出場してないのよ!!!」

つまりノースタンプ。

アヅチとへび呼ロイドの首根っこを引っ張りつつ進むマツバ。

「これ以上出遅れるわけにはいかない」
「まぁ、そうだな」
「オイラは失格だったのでスタンプ貰えなかったキコキコ」

「簡単で!!すぐ終わるやつ!!」

もはやイベントは楽しむ物では無く、
数をこなす物になっている。

「ええっと」

広場のインフォメーションで
イベント一覧を吟味するマツバ。

「あら、これ良いじゃない」

と、指差したのは。

「え??キコキコ」
「ま、マツバ、お前!?」

そこに書かれているのは

“ミス&ミスター水辺コンテスト”

出るの!?ミスコン!!???

「得意分野だわ」

「得意!???」
「分野、キコキコ!?????」

「あれ、また会ったね?」

声をかけてきたのは西一族チドリ。
そして、従姉妹という北一族ケート。

「おや。マツバ、それに出るんだ」
「あら、悪い?」
「いいえ、でも優勝は難しいかも、
 だってチドリが出るんだもの」
「ケート、そんな事言っちゃ可哀想だよ」

「おおお、お前も出るのか!?」
「自信たっぷりキコキコ!?」

見えない所で飛び交う火花。

「おおっと、姉さん達。
 その言葉は聞き捨てならないな」

さらに別の声が。

「その声は、確か」
「アマちゃん、たっちゃん!!キコキコ」

離れた場所にある柱に
何だか決めポーズで佇む東一族タツキ
そして、今回も村で待つという妹に
お土産を沢山買っているアマキ。

「聞き捨てならないとは?キコキコ」
「まさか、お前達も!???」

ふふん、と頷くタツキ。

「その大会にはアマキが出るんだ。
 悪いけど、2人には諦めて貰う」

バチバチ!!!
さらにアマキが加わり、飛び交う火花といったら。

「まままま、まじか~」
「どういう戦いになるキコキコ!!???」

アヅチとへび呼ロイド、よく見るんだ。
3人出場するの、多分ミスコンの隣に書いてある
線香花火長持ち対決だから。


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