いつかも家の近くのロケ宿で
弟が泥酔し、
まわりでは手に負えず
助けて欲しいという連絡がきて
出かけていったら、
床柱を背にしてロケ隊の幹部に
弟が酒を強いている。
杯は床の間にあった
生け花の水盤の花と剣山をとって捨て、
それになみなみ注いでは
一気飲みを強制していました。
監督や出演俳優たちは
二度三度と強いられて
縁側まで這っていって吐いている。
私が顔を見せたらやっと笑って
「おう兄貴きたな、そろそろ来ると思ってたよ」
「馬鹿者っ、もうさっさと寝ろ」
怒鳴ったら案外そのままうなずいて
手枕でいびきをかいて寝てしまったものだった
「老いてこそ人生」
石原 慎太郎 著
ユウさんの酒乱の様子が
手に取るように見えてくる
ロケ隊とは石原軍団のことなのだろうか
ならばやられているのはあの専務にあの俳優かも
なんて想像するとおかしくなる
それほどボスには絶対服従
そんな人間関係が垣間見えるが、
一気飲みの強要は罪深い
軍団だから吐く程度で済むが
今の新採の男の子くらいなら
死んでしまいかねない
それも酒の入っているコップ
で一気飲みを強要するのはまだ分かるが
生け花の鉢で一気飲みさせるなど、
一升瓶でさせるよりたちが悪い
正義の味方、強面のユウさん、
酒乱ぶりは専制君主だったのかも...?
それにしても著者が登場して静まるとは
可愛らしいではないか
兄とは一目おく存在、
僕も弟とたった二人だけの兄弟
僕を見る弟の目はどうなのか気になるところ
早起き鳥
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