５０両の勝負で吹っかけた岡田屋さん、
千両で切り替えしてきた新三郎さんの豪胆さに真っ青！
貸元さん！俺にも千両用立ててくれるか
御冗談でしょう
そんな馬鹿げた勝負は無しだ
良く聞こえねえ
勝負は無しだと言ったんだ
だったら降り賃を払え
なんだ降り賃とは！
そんなもの払う言われはない
あんたに無くってもこっちにはある
勝負を仕掛けてきた者がてめえから降りるときは
賭け金の一割が相場だ
先に千両積んでるんだ、降りてえなら勝手にしろ
とうした岡田屋さん
銭がねえのかい
百両がねえんなら、その最初の５０両にくわえてお前さんの５本の指だ
俺の大事なおりゅうさんをおめえは散々コケにしたんだ
５０両と指５本で、命だけは勘弁してやらあ
おりゅうはそっと伸ばした自分の手を新三郎の手に重ねた
峠越え 山本 一力
てきやも女郎も元締めは豪胆さが何よりの売り物である
めったなことでは弱音を吐いたり、ものに驚いたりしない
それだけの鍛錬は積んでいなくちゃ元締めは勤まらない
峠越え
苦労は買ってでもしろって言うけれど、
経験豊富、辛い経験をたくさんしている人は
自然と備わった胆力の強さが豪胆さとして光ってくる
そんな人になるには、平々凡々と苦労知らずではなれっこ無い！
頑張れ早起き鳥
