ペンギンのひとりごと。

とにかく何事にも好奇心旺盛なペンギンのひとりごと。

今月の1冊「日本人の矜持―九人との対話」藤原正彦著 新潮文庫

2010-01-27 23:04:52 | 書評
ひっさびさの書評である。
私はとにかくほぼ毎日本を買って読んでいるのだが、なにせ書評を書くのは面倒なのだ。

先の金曜日、吉祥寺の第一ホテル手前にある若者向けステーキ屋に初めて入店し、
300g¥1,050と超格安のステーキを食べたのだが、
やはり「肉」の力は絶大で土曜日曜はやたらとカラダを動かしたくなり、
手っ取り早いウォーキングを2日間合計22kmも歩いてしまった。
仕事をばりばりしているうちは草食だなんて言ってる場合じゃないね。

さて、藤原先生の新刊文庫である。
これがめっぽう面白い。
これまで「国家の品格」「祖国とは国語」「この国のけじめ」と一貫して、
読み書きそろばんを主体とする教育論や武士道に基づく道徳観を主張してきた藤原先生が、
今回はさまざまなカテゴリーの有識者と対談。
というか、文章のバランスが藤原先生8に対して相手が2ほど割合になっており、
有無を言わせず持論に引き込んでしまうあたり、藤原先生も相当な肉好きなのではと思えてしまう。

こういう今時珍しい頑固一徹な人には、ぜひこれからも頑張っていただきたい。


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今月の1冊「遥かなアメリカ-ある歴史家の回想」猿谷要著 実業之日本社

2009-02-01 22:56:39 | 書評
久々の書評である。
といっても相変わらず本は毎日読んでいるのだが、ただ書くのが面倒なだけ。

アメリカではついに史上初の黒人大統領が誕生したのだが、
周知のようにここまでの道のりは長く険しかった・・・。

猿谷氏はアメリカ史研究の第一人者で、吉祥寺に近い東京女子大の元教授。
出身は東大西洋史学科で、私の大好きな鉄道文学者宮脇俊三氏の後輩にあたる。
本書は猿谷氏が自らの生い立ちを、夫人とともに過ごしたアメリカ滞在や旅行を交えて回想するものである。
第二次大戦中陸軍のパイロットだった猿谷氏は、終戦間近に北海道の基地の防空壕で、低空飛行してきたグラマンからちらりと見えた少年飛行兵のあどけない顔に敵国アメリカへの興味が芽生え、それがアメリカ研究者になるきっかけだったという。
白人と黒人、ネイティブアメリカン、日系移民、ラテン系移民、南部と北部、ミシシッピ川、ハワイ・・・。
現地を体験することによるアメリカへのさまざまな考察が興味深く、
それは今回の大統領選の結果にも続いている。
猿谷氏は歴史学者ではあるが優れたノンフィクション作家でもあるようで、夫人とともに過ごす滞在記や旅行記はわかりやすく読みやすかった。
本書とともに「ミシシッピ川紀行」(文芸春秋)、「アメリカの風」(実業の日本社)も読了。



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今月の1冊 アジアン・ジャパニーズ 小林紀晴著(新潮文庫)

2007-01-26 15:24:38 | 書評
今月は先に何か1冊書いたような気がするが、まあいいか。
さて、ちょっと前にどこかのメディアで、あのホリエモンが拘置所内で大量の本を読んでいるというのを見かけた。
彼の読書スタイルは、まず読もうとする本の最後にある出版広告を見て、次に読む本を決めてからその本を読み始めるというものだった。
それに対してコメンテーターは、“普段あまり読書をしない人の読み方ですねえ。”と言っていたが、私もまさに、このウン十年まったくそのとおりの読み方をしており、ある特定の作家あるいはジャンルだけに固執することなく、さまざまな方面に興味が湧いてしまうのだ。
◎アジアン・ジャパニーズ 小林紀晴著(新潮文庫)
実はまだ読み始めたばかりなのだが、間違いなく面白そうなので書評を先に書いてしまおう。
本日、ランチに行く前に古本屋ランキング2位のT書店で購入(¥200)。
例によってまず、カバー裏の“新潮文庫 旅の本”を見る。
池澤夏樹、池波正太郎、大路和子、ううむ、読んでないなあ。
大槻ケンジ読んだ、海高健読んだ、北杜夫読んだ、関川夏央読んだ、妹尾河童読んだ、玉村豊男読んだ、野田知祐読んだ、藤原正彦読んだ、素樹文生読んだ・・・。
ようやく本文である。
作者は1968年生まれ(おっ、けっこう若いじゃん)のカメラマンで23歳の時、会社を辞めアジアへ旅立つ。
初めて訪れたアジアで、自らの体験とともに、そこに暮らす日本人達を写真と文章で描いている。
冒頭は私も良く訪れるバンコクからだ。
おなじみのドンムアン空港(いかにも蒸し暑そうな名前だ)に降り立つった彼は、どこにも行く宛がなく、たまたま声をかけられた外国人旅行者とともにホァランポーン行きの列車に乗る・・・。
旅は人生そのものだと良くいわれるが、この作者の場合も同様で、会社という行き先の見えるポジションを破棄し、アジアの未知に身を置くことにより、自らを理解するために出かけたのではないか。
それにしてもカメラマンはみな文章がうまい。(うまいから本になっているのか)
こういう本がわずかな金額で手に入るから古本屋巡りはやめられないのだ。
ああ、私もまたどこかへ行きたくなってきた。



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今年も読書はやめられない・・・。

2007-01-13 16:38:15 | 書評
友人が世界一周の旅に出てから早くも9ヶ月が過ぎた。
それまでにも、かなりの頻度であっちこっちに出かけていた彼なのだが、行き先を、旅行会社のカウンターでかわいい子が担当している方面を選んでしまうようなところがあった。
今回もコースやスケジュールはまったく決めない、行き当たりばったりの旅なので、まだ、インドをうろちょろしているのである・・・。
「インド大修業時代」山田和著(講談社文庫)
本書は今から30年以上も前、1974年に作者が初めてインドを旅した時の記録である。
インドは、友人がたまに送信してくるメールとまったく同様の混沌や不条理の連続で、30年どころか数百年以上も変化がないように思える。
しかも作者は、安宿を渡り歩く友人とは違い、かなり贅沢な旅をしているのでそのギャップも大きかったようだ。
“耳かき屋だってすごい、と僕は思った。・・・こんなささやかな商売が成り立つ国を豊かだと呼ばなければ、何と呼ぶのだろう。僕は思った。”(P276)
私もたまにアジアへ出かけることがあるのだが、衣食住などのさまざまを、日本と比較しての豊かさについて考えさせられてしまう。
現在はグローバル化という名のアメリカ主導の弱肉強食経済であり、日本はその数少ないポジションに居残るためがんばっているようだが、特に社会に出る前の若者達には、このような、実は世界の大部分を占める国々を、自分の目で確かめてきてもらいたいと思う。
なんちゃって、私はまだインドには行ったことがありましぇーん。


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今月の一冊(その6)「自暴自伝」村上“ポンタ”秀一

2006-06-30 14:14:02 | 書評
「文章からもグルーブが伝わってくる」
私の読書スペースは主に通勤電車の中だ。
読書に夢中になるあまり、降車駅に気づかず乗り過ごしてしまうことがたまにある。
途中で読書を中断するのが嫌で、わざと乗り過ごすこともたまにはある。
本書はそんな、わざと降車駅を乗り過ごしたくなるほど夢中になれる本である。
「自暴自伝」村上“ポンタ”秀一 (構成者 真保みゆき)
“ポンタ”さんは私の敬愛する数少ない日本人ドラマーのひとりであり、
J-POPを裏方の中心として30年以上に渡り支えてきた人である。
ポンタさんのプレイを始めて耳にし驚嘆したのは、1975年頃、五輪真弓のライブアルバム「冬ざれた街」だったと思う。
アマチュアバンドのドラマーだった私は、そのグルーブ感やテクニック、手数の多さの割に決して歌を邪魔せず盛り上げる構成など、それまでの日本人ドラマーとは一線を画す演奏を、むさぼるように聴いたものだ。
本書はそんなポンタさんの生い立ちから現在までを、口語調の文章で熱く伝えてくれる。
“赤い鳥”から始まり、山下達郎、吉田美奈子、松田聖子、山口百恵、矢沢永吉などから、現在の「堂本兄弟」のバックバンドにいたるまで数千回を越えるレコーディングやライブ演奏と、それらに関わった膨大な数のミュージシャン達・・・。
優秀なミュージシャンは、ほぼみんな“変”だと思うのだが、もちろんポンタさんも例外ではない。
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今月の一冊(その5)「満月 空に満月」海老沢泰久著

2006-05-27 16:05:56 | 書評
「この才能がうらやましい・・・。」
古今東西を問わず、占いなどの“予測術”は、TVや雑誌などさまざまなメディアにおいて欠くことのできない重要なコンテンツであろう。人間はその予測不可能な「未来」や「運命」を探求し、精神の安堵を得ようとしてきたのだ。もし本当に「運命」や「天命」というものがあるならば、この主人公は生まれながらにして、現在の地位を獲得する「運命」を持っていたと言わざるを得ない・・・。「満月 空に満月」海老沢泰久著。 作者の海老沢氏はこれまで「F1 地上の夢」で新田次郎文学賞を、「帰郷」で直木賞を受賞した名手であり、私はスポーツライターとしての印象が強かったのだが、本書により、スポーツに限らず、人間の本質を引き出す名手なのだと知った。主人公は井上陽水、フォークソングの大御所である。持って生まれた声質と音楽的才能は幼少時から発揮されていたようだが、本人は高校を卒業するまであまり自覚していなかったらしい。「運命」が開花するのは、歯科医である父親の後継を拒否する浪人時代だ。いとも簡単にオーディションに合格。その後数年間は売れなかったようだが、その才能を見いだすディレクターとの出会いからは、あっという間にスターダムにのしあがった・・・。作者の、淡々と、しかし深い本質を描く筆力に感激の一冊。
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今月の一冊(その4)「小さなスナック」リリー・フランキー、ナンシー関 共著

2006-05-17 19:03:56 | 書評
「尽きない世間話を楽しむ」
人間には食欲・睡眠欲・性欲の他に“知欲”があると言ったのは、“知の巨人”立花隆氏であったが、このふたりのそれも凄い。本書は今や「東京タワー・・・」でベストセラー作家となったリリー・フランキー氏と、消しゴム版画家ナンシー関氏(2002年逝去)の対談集。リリー氏が話題になったので注目していたら古本屋で発見。アサヒ芸能か、週間大衆か、女性自身か・・・。お二人ともよくもまあこれだけいろいろと世間の上辺を探索していることか。世間知らずではなく世間知りすぎである。「バンドエイド」か「サピオ」かという世代・地域ギャップの話から始まり、事件、業界、流行、ファッション、クルマ、占い等々、好奇心の固まりとはこの二人のことを指すのだろう。イラストレーターと版画家という、元々画像をクリエイトする商売であることもあるのだろうか。また、そういったネタを求められることが多かったからだろうか。お互いほとんどの話題をズレなく共有できてしまうところが凄い。ナンシーさんにはもう少し生きていていただいて、最近の話題(東京タワー、国家の品格など)を肴に再度の対談をして欲しかった。
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今月の一冊(その3)「99.9%は仮説」竹内薫著

2006-04-19 15:02:41 | 書評
私は飛行機に乗るのが大好きだ。しかも“魔の時間帯”といわれる離陸時が最も好きなのである。飛行機がゆっくりと誘導路からメイン滑走路の端にたどりつき、いったん停止。次の瞬間、エンジン出力を最大に上げ一気に加速、そしてフワっと上昇・・・。あの加速感がたまらない。最近のクルマにも絶対スピードでは同じようなものがあるが、あれだけの巨体がフル加速し空中に浮くのである。上空での巡航スピードは900kmを越え、眼下にはパノラマのような日本列島が見える。宇宙にはまだ行ったことはないが、「神」の領域に近づけるような気がするのだ。もちろんその飛行機は現代の最先端科学の粋を集めて作られ、最新のシステムによって運行されているはずだ・・・。と思っていたらそうでもないのである。「99.9%は仮説」によれば冒頭から“飛行機はなぜ飛ぶのか・・・実はよくわかってない。”というのだ。著者の竹内氏は東大理学部出身の科学作家であり、世の中のさまざまな現象は仮説に過ぎないと科学者の立場から訴える。頭の柔らかい人はその仮説を疑い、さらなる仮説を構築してゆくのに対し、頭の固い人はその仮説を、真実として思いこんでしまうのだ、と。ちょっと前に養老先生の「バカの壁」がベストセラーになったが、主旨としては大いに通じるものがあるだろう・・・。あ、いかん、これを書いていたら頭が固く凝ってきた。
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今日の一冊(その2)「地図の遊び方」今尾恵介著

2006-03-30 19:29:11 | 書評
私が読む本はほとんどが古本屋で購入したものだ。(作家のみなさんごめんなさい。)幸いなことに我が吉祥寺の街には多数の古本屋があり、しかも安い。私は毎日のようにそれらの古本屋めぐりをしているため、各店の棚をほとんど覚えている。(購入するのは店頭の100円コーナーが多いんですけど・・・。古本屋さんごめんなさい。)今回もそうして見つけた本です。「地図の遊び方」百年前ここは何だった?新潮OH文庫-今尾恵介著。パラパラと立ち読みしたら、たまたま実家のそばの項目があったので思わず買ってしまったのだが、この本がめっぽう面白い。私は子どもの頃から散歩や旅が好きで地図を眺めるのも大好きだし、小学校の時に社会科の授業で地名探しをやったとき、先生より詳しくてあきれられた覚えがある。しかし地図マニアではないので、著者のような視点で遊んだことはなかったのだ。地形図、記号、地名の変遷など興味深い内容ばかりなのと、図表も豊富で非常に楽しい本だ。こういう本は何冊か手に入れて友人に配りたくなっちゃうんだよなあ。
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今日の一冊(その1)「アジア罰当たり旅行」

2006-03-24 18:01:11 | 書評
私は読書が好きだ。毎日なにかしら読んでいる、いわゆる活字中毒者である。毎朝通勤時には「東京中日スポーツ」(F1ファンなのだ)と他に週刊誌を一冊。帰宅時には文庫・新書などの書籍を読む。鞄の中に3冊以上ないと落ち着いて電車に乗れないのだ。これまではそうして読みちらかしてきた大量の本の感想をしたためたことはなかったが、最近いささか記憶力が弱ってきたこともあり、たまにこのブログに書いておこうと思う。さて第1回の本日は「アジア罰当たり旅行」丸山ゴンザレス著。昨日、知人から借りた本だ。作者は1977年生まれと若く、タイやインドなどアジアを旅する旅するバックパッカー。話は安宿での盗難やタクシーでのぼったくりなど、旅先でのトラブル集という感じか。この種の本は下川裕治さんが有名でほとんど読んでいるが、作者は沢木耕太朗「深夜特急」のファンであるらしい。私もアジアにはたびたび出掛けるのでかなりの部分を実感できるのだが、どうも安宿には泊まる気にはならない。旅行の目的のひとつにホテルの快適性や食事を求めることと、やはり安全・衛生面が気になるからだ。でもいっぺんぐらいは泊まってみたい気もするなあ。で、○○や××や△△をしてみたい。
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