通訳のプージェーが触らないほうがいいよとアドバイスをくれる。
モンゴルで飼われている牧畜犬は、狂犬病の予防注射などされてないから、噛まれたら大変だという。
モンゴルの人たちは飼っている犬を、ゲル周辺を警備し、余所者の侵入を防ぐ忠犬としてゲルの成員に加えてはいるものの、その扱いはそっけない。
おじいちゃんのゲルにも2匹のモンゴル犬がいるのだが、ワンコたちと家族の接点はおばあちゃんがくれる羊の骨のご飯だけ。
あとは互いに無関心だ。子供たちが外で何をしようが、ワンコたちは目をやることもなく、冬の日差しを浴びて丸くなって寝ている。
もちろん、牧畜犬として立派な仕事をする。朝の牛追いの時は、左右に広がろうとする牛たちをコントロールして一塊にして、後ろから追うおじいちゃんを助ける。
夕方、牛たちが帰ってくると、ほえて誘導し家畜小屋へ急がせる。それも誰の指示も受けずに彼らだけでやる。
プージェーがワンコたちに対して無関心なのは、狂犬病の心配以外に、モンゴルではかつて遊牧民の間で人糞を犬に食べさせて飼育する風習があったことからかもしれない。
プージェーが小さいころ、そんな風にして育てられたワンコたちを見ていたとすれば、犬に近づきたくないのも理解できる。
夜中に起き出して外で星空の写真を撮っていたら、真っ暗な中、ワンコの一匹が三脚のにおいを嗅ぎにきた。外はマイナス30℃以下。
顔の周りは息が凍って白くなってる。思わず抱きしめてあげると、ワンコは困った様子。きっと、人に抱かれるなんて子犬のとき以来なのだろう。
でかい体のモンゴル・ワンコの困った様子を見ると、なおさらかわいく思えてくる。なので、きつく抱きしめてやる。
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