モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

ときめきの植物雑学 その1 花卉画の誕生

2007-12-08 10:26:37 | ときめきの植物雑学ノート
ときめきの植物雑学
その1:花卉画の誕生

1632年にオランダ・デルフトで生まれた画家『フェルメール』のことを調べていて
大航海時代⇒コレクション熱⇒博物館・美術館・動物園・植物園⇒知の専門化
という図式があり、
もともと関心があった“セージ・ハーブ”の中世・近世の状況がおぼろげながら見えてきた。

いまは、セージ・ハーブ栽培の農閑期でもあり、
この期に、ハーブと社会とのかかわりについてリサーチしてみようと思い立った。

そのもやもやとした好奇心の序章でもある。

1492年、コロンブスがバハマ諸島に到着し、ヨーロッパ人で初めてアメリカ大陸を発見した。
その6年後の1498年には、バスコ・ダ・ガマがインドのカリカットに到着し、
あらゆる“New”に好奇心と欲が沸騰していく時代が始まった。

様々なスパイス・ジャガイモ・サツマイモ・トウモロコシなどの、
のちの主要産物がヨーロッパに伝播した時期でもあり、
この15世紀後半から17世紀中頃までを“大航海時代”といっている。

この時代は、ポルトガル、スペイン、オランダが活躍した時代であり、
オランダだけが歴史上でも突出した異色な社会であり、
裕福な市民が誕生し、政治的にも共和国という近代社会が登場した。

オランダは、
巨大な王権で統治する帝国主義型の国家に対する対抗軸の国家観として、
古代ギリシャ・古代ローマに近い統治のメカニズムがあったようだ。
だから、ポルトガル・スペインそしてイギリス・フランスとは異なる文化を育んだ。

この大航海時代の日本では、
1582年織田信長が本能寺の変で自害、享年47歳であった。
織田信長は、商業を活発にするために規制緩和をおこない、
自由な市場と既得権益の座の破壊をおこなった。
これが世に言う“楽市・楽座”であり、
誰に学ぶことなく、オランダの生き方を同時代で実践していたとも言える。
時間の流れに“IF(もし)”はないが、信長が長生きしていたら、
1602年に設立されたオランダ東インド会社等と東南アジア貿易でぶつかっていたのかもわからない。
或いは、徳川家康同様に宗教の怖さをわかっているだけに、“鎖国”に近い統治をし、
プロテスタント国家(オランダ)とのみ交易をしたのかもわからない。


『フェルメールとその時代のオランダ』を書いていて、
ルネッサンス(14世紀~16世紀のイタリア)、大航海時代(15世紀後半~17世紀中頃)、
そしてオランダ(16世紀~17世紀)はおもしろい。
と思った。


ヤン・ブリューゲル(Jan Bruegel the Elder)
『木桶の花束』(1606年) Alte Pinakothek München所蔵

ヤン・ブリューゲル(1568~1625)、
16世紀を代表する画家(1525?~1569)ピーテル・ブリューゲルの次男。
「花のブリューゲル」とも言われる。

これ以前に、花が主役となる絵はない。というから驚きだ。
“これ”というのはあいまいだが、“16世紀オランダ”としておこう。

普通のヒトの生活が主役となる“風俗画”が、16世紀以降のオランダで興り、
写真のようなリアリズムで描かれた。
“風俗画”の対象は広がり、“花”を主役とする“花卉画(かきが)”も誕生した。

ヤン・ブリューゲルが花卉画を描き始めたのは、1600年に入ってからといわれており、
この時期は、オランダの大航海時代隆盛の時期でもあり、
世界各国から、珍しい物資(植物・動物・鉱物・産品)、情報がオランダに集まった。

その中で、
植物への関心が高まり、花への関心が高まったから絵の主役になり得たともいえる。
確かに、この時期のオランダでは、チューリップへの関心が高まり、
世界初の球根バブルとその崩壊を招くなど、民衆を巻き込んだ珍しい植物熱があった。

16世紀後半から17世紀初頭には、絵の対象となった植物。
この時期以前は、どんな状態だったのだろうか?
これが、好奇心の出発点だ。

特に、日本の場合は、
1603年~1867年までの江戸時代が鎖国政策であったため、
海外植物品種及び情報の流入は、中国・韓国などの大陸、南東諸島及びオランダ経由と
ルートが限定されると同時に、知識・情報の蓄積に遅れをとっていたのではないだろうか?
こんな疑問も解いてみたい。

農閑期にはいいテーマだと思い、古書店・図書館あさりを始めた。



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2 コメント

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面白いですね (kazuko)
2009-07-31 08:54:06
石のアーチの絵も、木桶の花束も、しかし見事な絵ですね。花が生き生きとしていまにも動き出しそうです。これほど詳しく特徴をとらえられるということは相当植物の研究も発達していたのではないかと思うのですが、絵がこのころから初めて中心画材として描かれているのでは、そんなに詳しくは研究されてないのでしょうね。ひとえに画家の器量なのでしょうか。植物画の本は少し持ってるのですが、そのままになってます。読み進むきっかけをいただきました。有難うございます。
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和さん (tetsuo)
2009-07-31 09:32:17
ボタニカルアートは浮世絵と同じようにヨーロッパでは希少価値があるようです。
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