メキシコのサルビアとプラントハンターの物語 No46
ヒントン父子が採取したサルビアでこれまで記載してこなかったものをアルファベット順に紹介する。
14.Salvia galinsogifolia Fernald (1900) サルビア・ガリンソギフォーリア
このサルビアの種小名“galinsogifolia”は、“端がザラザラした葉”を意味し、ヨーロッパのカヤツリグサを呼ぶ名前として使われているので、このカヤツリグサのような葉を持つサルビアということだろう。
このサルビア・ガリンソギフォーリアを最初に採取したのは、パーマー(Palmer,Edward 1831-1911)で、1885年にチワワ州で採取している。ヒントンは、1937年11月にゲレーロ州でこのサルビアを採取しているが実物の写真がない。
パーマーが採取した植物標本がニューヨーク植物園にあり、これを見る限り路傍に生えているひょろっとしたカヤツリグサとの形態の類似性は感じられないので、葉の端がザラザラしていることだけが似ているのだろう。
(出典)ニューヨーク植物園
花はといえばこの標本からはわからないが、正式に認められた学名が「Salvia lasiocephala Hook. & Arn.(1838)」であり、この写真から見ると細長い総状花序に薄いブルーの花が咲く。メキシコだけでなく中南米一帯に生息する1年草のサルビアだ。
(写真)Salvia lasiocephala Hook. & Arn.(1838)
命名者は、グラスゴー大学教授・キュー植物園の園長Hooker, William Jackson (1785-1865)、グラスゴー大学での弟子・後に教授Arnott, George Arnott Walker (1799-1868)
(出典)ミズリー植物園
15.Salvia gesneriiflora Lindl. & Paxton(1851) サルビア・ジェスネリーフローラ
(出典)サンフランシスコ植物園
Salvia gesneriifloraまたは、Salvia gesneraefloraは、初春からスカーレットオレンジの見事な花を咲かせる。この品種には2つのタイプがあり、紫色の萼(がく)を持つものと、緑色の萼を持つものがあり、ハート型の葉は芳しい香りがするという。樹高は最大で300cmにもなり木質化するのでシーズンオフには刈り込む必要がある。
種小名の“gesneriiflora”は、“gesneriad”(イワタバコ科のツル性の植物)に似た葉を持っているので名づけられた。
命名者は、英国の植物学者で王立園芸協会が初めて開催したフラワーショーの提唱者、リンドレイ(John Lindley 1799-1865)と巨大なガラスで作った温室クリスタルパレスの設計者パクストン(Joseph Paxton1803-1865)だった。
園芸市場を革新した二人が命名しただけのサルビアという感がする。
ヒントンは、このサルビアを1932年2月にメヒコ州で採取したのを皮切りにゲレーロ州、ミチョアカン州でも数多く採取している。
日本でも馴染みとなった「サルビア・パープルマジェスティ(Salvia ‘Purple Majesty’)」は、このサルビアとブラジル原産の「サルビア・ガラニチカ(S. guaranitica A.St.-Hil. ex Benth)」が偶然に交配して誕生した。
ということをすっかり忘れていた。
16.Salvia gracilis Benth.(1833) サルビア・グラシリス
(出典)conabio
サルビア・グラシリスは、草丈最大で150㎝、濃い紫色の花と先の尖った卵形で濃緑色の葉のコントラストがマッチしている。
このサルビアの最初の採取者は、セッセとモシニョー(Sessé & Mociño)のようだ。
種小名の“gracilis”は、アイビーの古い種にグラシリスというのがあるが、1800年頃はアイビーの品種が少なかったこともあり“優雅な外見”という賛辞が与えられていた。
今日でも十分通用する美しさだが、産業革命後のスモックで汚れたロンドンではもっとその美しさが際立っていたのだろう。
ヒントンは、1932年5月にメヒコ州で採取してから数多くこのサルビアを採取している。
しかしこのサルビアの正式な学名は「Salvia carnea var. carnea」で、フンボルト探検隊が最初の採取者となる。
17.Salvia gravida Epling(1940) サルビア・ガビダ
(出典)flickr
高さ360cmの巨大なサルビアからぶどうの房のように花穂が垂れ下がり、チェリー色の花が咲く。しかも冬場に咲くので開花したときの感激はひとしおだろう。葉からは、サルビア特有の薬くさい香気がかなり強くするというので、中毒症状の私にとっては欲しい一品となる。
しかし、育てるのは難しそうだ。霜が苦手のようであり温室でないと育たなさそうだ。
種小名の“gravida”は、ラテン語で“子供と”、スペイン語では“妊婦”を意味するが、さてさて何を指しているのだろうか?
このサルビアを最初に採取したのはヒントンで、1938年10月にミチョアカン州で採取している。
ヒントン父子が採取したサルビアでこれまで記載してこなかったものをアルファベット順に紹介する。
14.Salvia galinsogifolia Fernald (1900) サルビア・ガリンソギフォーリア
このサルビアの種小名“galinsogifolia”は、“端がザラザラした葉”を意味し、ヨーロッパのカヤツリグサを呼ぶ名前として使われているので、このカヤツリグサのような葉を持つサルビアということだろう。
このサルビア・ガリンソギフォーリアを最初に採取したのは、パーマー(Palmer,Edward 1831-1911)で、1885年にチワワ州で採取している。ヒントンは、1937年11月にゲレーロ州でこのサルビアを採取しているが実物の写真がない。
パーマーが採取した植物標本がニューヨーク植物園にあり、これを見る限り路傍に生えているひょろっとしたカヤツリグサとの形態の類似性は感じられないので、葉の端がザラザラしていることだけが似ているのだろう。
(出典)ニューヨーク植物園
花はといえばこの標本からはわからないが、正式に認められた学名が「Salvia lasiocephala Hook. & Arn.(1838)」であり、この写真から見ると細長い総状花序に薄いブルーの花が咲く。メキシコだけでなく中南米一帯に生息する1年草のサルビアだ。
(写真)Salvia lasiocephala Hook. & Arn.(1838)
命名者は、グラスゴー大学教授・キュー植物園の園長Hooker, William Jackson (1785-1865)、グラスゴー大学での弟子・後に教授Arnott, George Arnott Walker (1799-1868)
(出典)ミズリー植物園
15.Salvia gesneriiflora Lindl. & Paxton(1851) サルビア・ジェスネリーフローラ
(出典)サンフランシスコ植物園
Salvia gesneriifloraまたは、Salvia gesneraefloraは、初春からスカーレットオレンジの見事な花を咲かせる。この品種には2つのタイプがあり、紫色の萼(がく)を持つものと、緑色の萼を持つものがあり、ハート型の葉は芳しい香りがするという。樹高は最大で300cmにもなり木質化するのでシーズンオフには刈り込む必要がある。
種小名の“gesneriiflora”は、“gesneriad”(イワタバコ科のツル性の植物)に似た葉を持っているので名づけられた。
命名者は、英国の植物学者で王立園芸協会が初めて開催したフラワーショーの提唱者、リンドレイ(John Lindley 1799-1865)と巨大なガラスで作った温室クリスタルパレスの設計者パクストン(Joseph Paxton1803-1865)だった。
園芸市場を革新した二人が命名しただけのサルビアという感がする。
ヒントンは、このサルビアを1932年2月にメヒコ州で採取したのを皮切りにゲレーロ州、ミチョアカン州でも数多く採取している。
日本でも馴染みとなった「サルビア・パープルマジェスティ(Salvia ‘Purple Majesty’)」は、このサルビアとブラジル原産の「サルビア・ガラニチカ(S. guaranitica A.St.-Hil. ex Benth)」が偶然に交配して誕生した。
ということをすっかり忘れていた。
16.Salvia gracilis Benth.(1833) サルビア・グラシリス
(出典)conabio
サルビア・グラシリスは、草丈最大で150㎝、濃い紫色の花と先の尖った卵形で濃緑色の葉のコントラストがマッチしている。
このサルビアの最初の採取者は、セッセとモシニョー(Sessé & Mociño)のようだ。
種小名の“gracilis”は、アイビーの古い種にグラシリスというのがあるが、1800年頃はアイビーの品種が少なかったこともあり“優雅な外見”という賛辞が与えられていた。
今日でも十分通用する美しさだが、産業革命後のスモックで汚れたロンドンではもっとその美しさが際立っていたのだろう。
ヒントンは、1932年5月にメヒコ州で採取してから数多くこのサルビアを採取している。
しかしこのサルビアの正式な学名は「Salvia carnea var. carnea」で、フンボルト探検隊が最初の採取者となる。
17.Salvia gravida Epling(1940) サルビア・ガビダ
(出典)flickr
高さ360cmの巨大なサルビアからぶどうの房のように花穂が垂れ下がり、チェリー色の花が咲く。しかも冬場に咲くので開花したときの感激はひとしおだろう。葉からは、サルビア特有の薬くさい香気がかなり強くするというので、中毒症状の私にとっては欲しい一品となる。
しかし、育てるのは難しそうだ。霜が苦手のようであり温室でないと育たなさそうだ。
種小名の“gravida”は、ラテン語で“子供と”、スペイン語では“妊婦”を意味するが、さてさて何を指しているのだろうか?
このサルビアを最初に採取したのはヒントンで、1938年10月にミチョアカン州で採取している。
rはどこにったんですか?