彦四郎の中国生活

中国滞在記

「反日」でも「親日」でもなく「知日」―「知日」というキーワード

2015-06-04 11:07:59 | 滞在記

 日本の近畿地方も梅雨入りというニュースを、インターネットで見た。亜熱帯気候の福州は、梅雨の最中だから雨がよく降る。降らない時は、蒸し風呂状態で、たまりたまった湿気が「ドカーン」と天から大雨となって降って来る。中国のインターネットを今朝見ていると、昨日、南京市の大雨の様子が報道されていた。道路上のバスが半分陥水し、バスの中まで浸水している様子が写真で報じられていた。おそらく、バスの運転手が「行ける。大丈夫だ。」と思って直進したのだろう。水没でエンジンが止まって動けない。日本では、ありえないことだろうが、中国のバス運転手ならやりかねない人もいる----。
 福州の「古街」に「三坊七巷」という地区がある。先週、久しぶりに行ってみた。茶館で読書しながら喫茶する女性の様子がさまになっていた。景徳鎮の陶器(貝片も使用している)の色彩がとても美しいと思った。

 中国で毎月1回の割合で出されている『知日』という題名の月刊雑誌本。この本が中国でじわじわと売れているようだ。中国といえば、「反日感情」がいまだ強いのだろうなあと想像したり、いや親日の人も多少はいるのだろうと考えたりする人が多いだろうと思う。また、昨年度から日本への中国人観光客が激増しているから、「反日」が薄まってきているのかなと感じているかもしれない。
 本の題名は、『反日』でも『親日』でもなく、『知日』。「日本を知る」「日本を学ぶ」という意味のこの本が売れる理由は何だろう。実は、この「知日」という言葉が、今の中国人の日本に対する思いを表す「キーワード」ではないかと思っている。「日本のことを知りたい。」という、日本に対する関心が、よくも悪くも高いのである。そして、若い年齢層は、「日本のことを知り、学びたい。」という思いをもつ人が多い。

 この『知日』という雑誌。35元(約700円)と、中国の人々にとっては決して安くないが、毎月5万~10万部程度売れているという。日本人の感覚なら、1500円ほどの日本の雑誌を買う感覚に近い。買うのは20代後半から30代半ばの年齢層が最も多いという。「尖閣列島」問題が起きた、2011年に創刊され、現在までに30号以上が発刊されている。
 今年の2月に、NHKのクローズアップ現代という番組でも取り上げられたこの『知日』。編集長の蘇静さんは、20代後半の男性だ。日本に来たこともないし、日本語もほとんどできない。日本に、「主筆」の中国人がいる。どんな雑誌の内容にするかは、「編集会議」で゜決められている。今までのテーマとしては、各種多岐にわたっている。例えば、「武士道」「礼儀「本の国」「暴走」「もえる」「制服」「明治維新」「猫」「犬」などだ。

 3月中旬に北京に行った際、大型書店に行き、『知日』の一冊を買った。この号は「森女」の特集。「森女」という特集名からして、最初は「山ガール」(登山好きの女性たち)の特集化と思ったが、違っていた。自然の多い場所にいるようなイメージのナチュラルな感じを受ける女性の、考えやファッションを特集したものだった。若い日本女性の「ファッション」について結構詳しく特集されていた。

 先月の5月23日、北京の人民大会堂で「日中友好交流大会」が開かれた。自民党り二階氏を団長とする3000人の日本側。ここに、習近平主席が長時間出席し、講和(スピーチ)を行った。翌日の「人民日報」の一面トップ記事となっていた。
 今年の4月22日の安倍・習の第二回目「日中首脳会談」で、友好ムードがかなり出始めた日中の政治関係。1年ほど前までは、中国のテレビをつければ、連日「日本批判」「安倍批判」が流されていたが、昨年の11月の日中首脳会談後からは、これらの報道が日をおうごとに減少し、現在ではほとんど報道が止まっている状況だ。