梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

No.45 <心から御礼申し上げます!!>

2007年08月26日 | 芝居
本日、『第13回 稚魚の会 歌舞伎会 合同公演』千穐楽。
B、C班の2公演を、無事に終えることができました。
私にとりまして今年の8月は、『一心會』にはじまり『子供歌舞伎体験教室』『音の会』『合同公演』『苫舟の会』と、幾つもの仕事、舞台を同時進行でこなしてきた試練の月でした。大変だったこともございましたが、仲間たちのおかげでなんとか乗り越えてまいりました。
そんな大切な仲間とも、今日を最後に離ればなれになるんだな、また来年も、一緒に勉強できるのかな…と考えると、寂しい思いもつのり、その一方で、拙いながらもなんとか最後まで公演を乗り切れた嬉しさ、喜びもあり、『乗合船』の幕切れ、全員でキマった瞬間、胸の内には様々な感情がこみ上げてきまして、ひとしおの感慨がございました。

『勧進帳』でも、後見を勤めながら、新蔵さんの弁慶も、左字郎さんの義経も、そして升一さんの富樫も、今日で終わってしまうんだ…と考えてしまい、そんな思いを抱きながら<延年の舞>を後見座からソッと見ていると、お役との《一期一会》ということを切に考えてしまいました。勉強会で演じた役と、再び巡り会うのはいつのことになるだろう、おそらく一生ないのかもしれないけれど、今このとき、この仲間たちと共に大役を勉強できた<経験>だけは、将来へつながる大事な糧として、ずっと忘れないでおこうと思うのです。
短い期間の舞台ゆえの寂しさ、物足りなさもあるのですが、逆に短いゆえのインパクトも、出演者一同は大きく受けているのです。

女形を勉強するようになって初めての勉強会で、大好きな踊りを勤めさせて頂きましたが、計4回の舞台は本当に楽しゅうございました。いやむしろ、仲のよい先輩後輩が11人揃い、みんなで色々考え合いながら稽古を重ねてこられたその過程からして、和気藹々、笑いもありの超ポジティブ稽古でした。
ご指導下さいました藤間勘祖師はじめ宗家藤間流の皆様に、この場をかりて御礼申し上げますとともに、ご来場下さいました多くのお客樣方へ、厚く厚く感謝申し上げる次第です。

今後とも、未熟な私たちをどうぞよろしくお願い申し上げます。