梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

『苫舟の会』に出演いたしました

2007年08月28日 | 芝居
8月27・28日と、日本橋劇場にて《第2回 苫舟の会》が開催されました。
《苫舟の会》は、当代藤間勘十郎師のリサイタルで、<苫舟(とまぶね)>の筆名をもつ勘十郎師による、作、構成、演出、振付による、新作の発表の場となっております。
今回も清元節『卯月夢醒死神譚(うづきのゆめさめ しにがみばなし)』と、常磐津節『新書小町桜容姿(いまようざくら すがたのいろどり)』という2作品が書き下ろされましたが、この公演に私も参加させて頂き、得難い勉強をさせて頂きました。

河竹黙阿弥作の『女書生』の浄瑠璃『夕立碑春電』を<余所事浄瑠璃>として使い、深川芸者と死神の奇妙な道行を描く『卯月夢醒~』では、なんと<人力車夫>を演じさせて頂きました。これで当分立役を演じることはないと思うのですが、最後の最後が散切りものとは思いもよりませんでした。とはいえ、深川芸者美代吉役の、劇団新派の川上やよいさんと、勘十郎師との3人で幕切れをとるという本当に有難いお役で、緊張いたしました~!

続く『新書小町~』は、ご存知『関の扉』を、原作の顔見世狂言『重重一重小町桜』に基づいて二幕四場に再構成し、よりお芝居らしくしたてたもの。勘十郎師が<関兵衛実は大伴黒主>と<斉頼の鷹>、萬屋(梅枝)さんが<傾城墨染実は小町桜の精>と<良岑宗貞>、成駒屋(壱太郎)さんが<五位之助安貞>と<小野小町姫>というように、主演者3人が各幕ごとに男女を演じ分けるのがミソとなっています。

ここでは後見として色々と仕事をさせて頂きました。100分の大作ですので用事もいっぱい。とはいえ『関の扉』はよく知っている狂言ですから、そんなに慌てず勤めることができました。
この演目では、澤村國矢さん、市川左字郎さん、中村蝶之介さん、中村蝶三郎さんがお役で出演。それぞれ立ち回りをなさいましたが、國矢さん左字郎さんの討手を相手の、成駒屋さん演じる安貞の大立ち回りはちょいと<泉水の立廻り>風で、3人のイキも合って大いに盛り上がりました。

こういう舞台にお声をかけて頂き、普段体験できない色々な仕事を学べたことは本当に有難いことでございました。普段からお世話になっている藤間の御宗家の舞台に、微力ながらもお手伝いができて嬉しいです。

…これで8月の仕事は全て終わり! いや~ホント<熱い夏>でした。

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3 コメント

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お疲れさまです (さくら)
2007-08-29 19:17:17
昨日も一昨日もお仕事だったのですか!?
それも本番の舞台とは。役者さんってホントにすごいですね~。
勘十郎さんの新作、素晴らしいものだったことと思います。良いご経験をなさいましたね(^^)
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Unknown (寅女)
2007-08-29 22:19:37
拝見しました。こちらの気のせいではないと思いますが、一心会の時から比べても、皆様、ほっそり、そして一回りも大きくなられたように感じました。
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私も拝見 (けい)
2007-08-29 23:11:26
鳥追いと車夫のギャップにひとり吹き出しそうそうでした。元々立役さんですもんね。切り替えができちゃうところがすごいですね。ご宗家の死神と鷹が可愛かったです。すぐ巡業に出られるとのこと、西の方はまだまだ暑いようですので、体調だけは気をつけて下さいませ。
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