梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

No.42 <2日目のような初日のような…>

2007年08月23日 | 芝居
『合同公演』2日目にしてB・C班の初日。これまでにない公演形態にちょっととまどう出演者もちらほらです。
ついに1日3部公演の幕が開きましたが、おかげさまで無事に打ち出すことができました。
今日の私のスケジュール。A班→受付 C班→『勧進帳』後見 B班→『乗合船』鳥追い。朝から働いております!(自分で言うことじゃないか)

『勧進帳』の後見、富樫役の升一さんが無事勤めおおせてくれるかそれだけが心配で、いつになく、そして自分のことでもないのに緊張してしまいました~。普段肚の据わっている升一さんも、「やっぱり緊張するよ~」と出の前まで言っていましたが、なかなかどうして、下手お幕から出てきてからはホント堂々たる演技。勉強会で仲間内の芝居を誉めるのはおかしいことかもしれませんが、『やっぱり升一さん!!』と嬉しくなりました。
もちろん出演者全員懸命の演技です。お客様がグッと集中してご覧頂いているのが伝わってまいりました。名題、名題下俳優のみでの『勧進帳』上演は、本邦初と申しても過言ではないでしょう。その初日の舞台にふさわしい、ピンと張りつめた空気、この場に立ち会えた幸せ、一から『勧進帳』を勉強できた有難さは、忘れられないものになると思います。

なにせ小劇場ですので照明もガンガンあたり、後見で座っていても汗が流れました。このぶんでは『乗合船』までに汗をかききってしまうのではないかしらと思いましたが、そうは甘くはないですね。朝11時から照明の熱であたためられ続けた舞台の温度は午後8時のB班『乗合船』で最高潮! 幕が開く前からじっとりと…。
とにかく落ち着いて、楽しく明るく! と意気込んで始まった『乗合船』ですが、やっぱり緊張が襲ってきました。でも幕開きの、船の中での一くさりが終わるとだいぶ楽になりました。さあこの流れで、とはじめたシヌキ(ソロパート)、手拭を肩にかけるところで、鬘の髷に引っ掛かってしまい…。『!$Å@≒?』とビビりかけましたけども、いけないいけない、ここで慌ててどうする梅之、やり直したらうまく外れて間もこけないで次の振りに移れました。あ~よかった~(しみじみ)。
まだまだ小道具に<使われて>しまっております。大反省です。明日からは絶対繰り返しません!

初日の興奮からか、それとも出の前にみんなで「楽しくやろうね!」と声を掛け合ったおかげか、終演後はみんな一様に「緊張したけど楽しかった!」という声。もちろん、楽しんでるだけではいけないことは承知ですが、御宗家の「とにかく楽しそうに踊って下さい」というお言葉を、全員で体現できたら嬉しいな。個々の課題は課題として、チームワークも大切に! です。

明日は11時開演の部。昨日より進歩! をスローガンに、11人の乗客一同、無事<向こう岸>にたどり着けるよう精進します!